第四解剖室 スティーヴン・キング 13

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(「ヴぉりゅーむをさげて」どくたーしすこが、こっけいなほどおおきな)

「ヴォリュームをさげて」ドクター・シスコが、滑稽なほど大きな

(こえでさけぶ。このけんそうのなかでは、わたしがはなからだしたおと、)

声で叫ぶ。この喧噪の中では、私が鼻から出した音、

(わらにもすがるおもいでびこうをつかうはみんぐでだしたこえなど、)

わらにもすがる思いで鼻孔を使うハミングで出した声など、

(いものこうじょうでのささやきごえよりもかぼそくなってしまう、)

鋳物工場でのささやき声よりもか細くなってしまう、

(じょいがふたたびかおをちかづけてくると、わたしはまたあたらしいきょうふにおそわれる。)

女医が再び顔を近づけてくると、私はまた新しい恐怖に襲われる。

(じょいがきょうかがらすせいのあいぷろてくたーをそうちゃくし、)

女医が強化ガラス製のアイプロテクターを装着し、

(くちもとをすっぽりがーぜのますくでおおっているからだ。じょいはあたまを)

口元をすっぽりガーゼのマスクで覆っているからだ。女医は頭を

(うしろにむける。「わたしがふくをぬがせておくわ」じょいはぴーとに)

後ろに向ける。「私が服を脱がせておくわ」女医はピートに

(はなしかけると、てぶくろをしたてにめすをひからせ、すとーんずの)

話しかけると、手袋をした手にメスを光らせ、ストーンズの

(ぎたーさうんどのなかをわたしのほうにかがみこんでくる。)

ギター・サウンドのなかを私の方にかがみ込んでくる。

(わたしはひっしではなごえをだそうとする。しかし、なんのやくにもたたない。)

私は必死で鼻声を出そうとする。しかし、何の役にも立たない。

(じぶんのみみにさえきこえないていどのこえ。めすがわたしのからだのうえを)

自分の耳にさえ聞こえない程度の声。メスが私の体の上を

(ただよいうごき、きりさく。わたしはあたまのなかでひめいをあげる。しかし、げきつうは)

漂い動き、切り裂く。私は頭の中で悲鳴を上げる。しかし、激痛は

(かんじない。ただ、きているぽろしゃつがきりさかれて、さゆうに)

感じない。ただ、着ているポロシャツが切り裂かれて、左右に

(ひらかれただけ。ぴーとがじぶんできづかぬまま、しょうがいでさいしょの)

開かれただけ。ピートが自分で気づかぬまま、生涯で最初の

(せいたいきょうかくせっかいにとりかかれば、ぽろしゃつとどうように)

生体胸郭切開に取りかかれば、ポロシャツと同様に

(わたしのろっこつもぱっくりさゆうにひらくことになる。からだがもちあげられる。)

私の肋骨もぱっくり左右に開くことになる。体がもちあげられる。

(あたまがごろりとうしろにのけぞり、そのせいでいっしゅんだがぴーとのさかさまに)

頭がごろりと後ろにのけぞり、そのせいで一瞬だがピートの逆さまに

(なったすがたがめにとびこんでくる。ぴーともきょうかがらすのあいぷろてくたー)

なった姿が目に飛び込んでくる。ピートも強化ガラスのアイプロテクター

(をかけてすちーるせいのかーとのよこにたち、みるからにおそろしいどうぐ)

をかけてスチール製のカートの横に立ち、見るからに恐ろしい道具

など

(のかずかずのてんけんによねんがない。そのどうぐのなかでも、ひときわめだつのが)

の数々の点検に余念がない。その道具の中でも、ひときわ目立つのが

(きょだいなはさみ。ちらりとみえるだけ。はのぶぶんがむじひなきぬのように)

巨大なハサミ。ちらりと見えるだけ。刃の部分が無慈悲な絹のように

(こうたくをおびている。それからわたしのからだはまたおろされてすいへいになる。)

光沢を帯びている。それから私の体はまた下ろされて水平になる。

(すでにしゃつはぬがされている。じょうはんしんはすっかりはだかだ。このへやは)

すでにシャツは脱がされている。上半身はすっかり裸だ。この部屋は

(うそさむい。<おれのむねをみろ!>わたしはじょいにさけびかける。)

うそ寒い。<俺の胸を見ろ!>私は女医に叫びかける。

(<いくらこきゅうがあさいといっても、むねがじょうげにうごいているのくらいは)

<いくら呼吸が浅いと言っても、胸が上下に動いているのくらいは

(みえるだろう!ああ、なんたってあんたはせんもんかなんだから!>)

見えるだろう!ああ、なんたってあんたは専門家なんだから!>

(しかしじょいはへやのはんたいがわにめをむけながら、おんがくにまけじとこえを)

しかし女医は部屋の反対側に目を向けながら、音楽に負けじと声を

(はりあげる。「どっちにかける?とらんくす?それともぶりーふ?」)

張り上げる。「どっちに賭ける?トランクス?それともブリーフ?」

(こんぜんいったいとなってこみあげるきょうふといかりをかんじながら、わたしはいっしゅんにして)

渾然一体となってこみ上げる恐怖と怒りを感じながら、私は一瞬にして

(ふたりのかいわのいみをさとる。「とらんくす!」とぴーとがさけびかえす。)

二人の会話の意味を悟る。「トランクス!」とピートが叫び返す。

(「きまってるじゃないか!そんなの、こいつをひとめみればわかるさ」)

「決まってるじゃないか!そんなの、こいつを一目見ればわかるさ」

(<おおばかやろう!>そうさけびたいしんきょうだ。)

<大馬鹿野郎!>そう叫びたい心境だ。

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