海が呼んだ話 小川未明 ①

投稿者ヒマヒマ マヒマヒプレイ回数000
難易度(4.5) 4546打 長文タグ小川未明 長文 小説
怖い話。暇つぶしにどうぞ。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 じゃじゃ 6450 S 6.7 96.3% 664.8 4458 170 80 2020/12/11
2 コウシ 5478 B++ 5.6 96.6% 786.1 4460 153 80 2020/11/26
3 mo-mo- 4896 B 5.1 95.5% 868.3 4459 207 80 2020/11/19
4 ぶんた 4604 C++ 4.7 97.0% 952.5 4522 136 80 2020/11/17
5 moonstar 117 G 0.1 91.8% 35393.2 4554 406 80 2020/12/01

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問題文

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(じてんしゃやのおじさんが、こんどいなかへかえることになりました。)

自転車屋のおじさんが、こんど田舎へ帰ることになりました。

(せいきちや、しょうじにとって、したしみのふかいおじさんだったのです。)

清吉や、正二にとって、親しみの深いおじさんだったのです。

(さんりんしゃのしゅうぜんもしてもらえば、ごむまりのぱんくしたのをなおしてもくれました。)

三輪車の修繕もしてもらえば、ゴムまりのパンクしたのを直してもくれました。

(また、そのいえのゆうちゃんとはおともだちでもありました。おじさんは、)

また、その家の勇ちゃんとはお友だちでもありました。おじさんは、

(いぬや、ねこがすきでした。いいひとというものは、みんないきものを)

犬や、ねこが好きでした。いい人というものは、みんな生き物を

(かわいがるとみえます。ゆうちゃんは、こんどいなかのしょうがっこうへ)

かわいがるとみえます。勇ちゃんは、こんど田舎の小学校へ

(あがるといいました。「ゆうちゃん、いなかへいくのうれしい?」)

上がるといいました。「勇ちゃん、田舎へいくのうれしい?」

(「おともだちがなくて、さびしいや。ぼくも、おかあさんも、いきたくないんだよ。」)

「お友だちがなくて、さびしいや。僕も、お母さんも、いきたくないんだよ。」

(「どうして、いなかへいくの。」「おじいさんが、だんだんとしをとって、)

「どうして、田舎へいくの。」「おじいさんが、だんだん年をとって、

(もうひとりでいなかにおくことができないからさ。おじいさんは、とうきょうへくるのは、)

もう一人で田舎におくことができないからさ。おじいさんは、東京へくるのは、

(いやだというのだ。そして、むかしからすんでいるところにいたいというので、)

いやだというのだ。そして、昔から住んでいるところにいたいというので、

(しかたなくおとうさんが、かえることにしたのだよ。」ゆうちゃんのはなしをきいて、)

しかたなくお父さんが、帰ることにしたのだよ。」 勇ちゃんの話を聞きいて、

(せいきちも、しょうじも、ゆうちゃんのおとうさんをおやこうこうだとおもいました。)

清吉も、正二も、勇ちゃんのお父さんを親孝行だと思いました。

(「このいえへは、しんるいのおじさんがはいるのだから、ぼく、またあそびにくるよ。」と、)

「この家へは、親類の叔父さんが入るのだから、僕、また遊びにくるよ。」と、

(ゆうちゃんはいいました。)

勇ちゃんはいいました。

(「おじさんのおうちは、どこにあるの。」と、しょうじが、ききました。)

「叔父さんのお家は、どこにあるの。」と、正二が、聞きました。

(「おじさんのいえは、ここからにじゅうりもあちらのはまなんだ。)

「叔父さんの家は、ここから二十里もあちらの浜なんだ。

(たいだの、さばだのあみにかかってくるって、ぼくのおとうさんが、いった。」)

たいだの、さばだの網にかかってくるって、僕のお父さんが、いった。」

(「そのおじさんは、またじてんしゃやをやるの。」と、せいきちがたずねました。)

「その叔父さんは、また自転車屋をやるの。」と、清吉がたずねました。

(「さあ、それはわからないな。」ゆうちゃんのはなしぶりでも、とおいはまから、)

「さあ、それはわからないな。」勇ちゃんの話ぶりでも、遠い浜から、

など

(まちへでてくるには、なにかしさいがあるようにかんじられたのです。)

町へ出てくるには、なにか子細があるように感じられたのです。

(しかし、そのわけは、わかりませんでした。)

しかし、そのわけは、わかりませんでした。

(ただ、にぎやかなまちから、さびしいいなかへかえるものと、また、ひろびろとした)

ただ、にぎやかな町から、さびしい田舎へ帰るものと、また、ひろびろとした

(うみのせいかつから、せまくるしいまちへやってこなければならぬものと、)

海の生活から、せまくるしい町へやってこなければならぬものと、

(にんげんのいっしょうのくらしには、いろいろのへんかがあるものだと、こどもたちにも、)

人間の一生の暮らしには、いろいろの変化があるものだと、子供たちにも、

(かんぜられたのでした。ゆうちゃんのいえが、いなかへひっこしてしまってから、)

感ぜられたのでした。勇ちゃんの家が、田舎へ引っ越してしまってから、

(しばらく、じてんしゃやのあとは、あきやになっていました。)

しばらく、自転車屋のあとは、空家になっていました。

(「いつ、ゆうちゃんのおじさんは、ひっこしてくるんだろうな。」と、しょうじも、)

「いつ、勇ちゃんの叔父さんは、引っ越してくるんだろうな。」と、正二も、

(せいきちも、しまっているいえのまえをとおるたびに、ふりむきながらおもいました。)

清吉も、閉まっている家の前を通るたびに、振り向きながら思いました。

(そのうちにだいくがはいって、みせのもようをかえたり、)

そのうちに大工が入って、店の模様を変かえたり、

(こわれたところをなおしたりしていましたが、)

こわれたところを直したりしていましたが、

(それができあがると、いつのまにかこざっぱりとした、)

それができあがると、いつのまにかこざっぱりとした、

(かんぶつやになりました。そして、ちんどんやなどがまわって、かいてんのひろうを)

乾物屋になりました。そして、チンドン屋などがまわって、開店の披露を

(したのであります。かいさんぶつのほかに、おちゃやたまごをうっていました。)

したのであります。海産物のほかに、お茶や卵を売っていました。

(おじさんというのは、まだわかく、やっとさんじゅうをこしたくらいにみえました。)

おじさんというのは、まだ若く、やっと三十をこしたくらいに見えました。

(それにひとりもので、いつもみせにさびしそうにすわっていました。)

それにひとり者で、いつも店にさびしそうにすわっていました。

(「おじさん。」といって、せいきちや、しょうじや、ほかのこどもたちが、じきにあそびに)

「おじさん。」といって、清吉や、正二や、ほかの子供たちが、じきに遊びに

(いくようになったのも、ひとつは、ゆうちゃんのおじさんだったというので、)

いくようになったのも、一つは、勇ちゃんの叔父さんだったというので、

(まったくたにんのようなきがしなかったからでもありましょう。)

まったく他人のような気がしなかったからでもありましょう。

(なんでもめずらしいことをしりたがるこどもたちは、このみせへやってくると、)

なんでも珍らしいことを知りたがる子供たちは、この店へやってくると、

(「おじさん、うみのはなしをしてよ。」といいました。)

「おじさん、海の話をしてよ。」といいました。

(「は、は、は。」と、むくちのおじさんは、わらっています。)

「は、は、は。」と、無口のおじさんは、笑っています。

(「おじさんは、うみのそこへはいったことがある?」と、しょうじが、ききました。)

「おじさんは、海の底へ入ったことがある?」と、正二が、聞きました。

(「は、は、は。うみのなかへは、まいにちのようにはいったし、ちいさなふねにのって、)

「は、は、は。海の中へは、毎日のように入ったし、小さな舟に乗って、

(とおくへつりにいったこともある。」と、おじさんが、こたえました。)

遠くへ釣りにいったこともある。」と、おじさんが、答えました。

(「しょうちゃん、おじさんは、うみへくぐるのが、めいじんだって。そして、さんごや、)

「正ちゃん、おじさんは、海へくぐるのが、名人だって。そして、さんごや、

(いろんなかいや、さかななど、なんでもてでとってくることができるんだって、)

いろんな貝や、魚など、なんでも手で取ってくることができるんだって、

(いつかゆうちゃんがいったよ。」と、せいきちがそばからいいました。)

いつか勇ちゃんがいったよ。」と、清吉がそばからいいました。

(「え、おじさん、ほんとう?」「うん、ほんとうだ。」)

「え、おじさん、ほんとう?」「うん、ほんとうだ。」

(「うみのなか、どんなだい。うつくしい?みずのなかでは、いきができないだろう。」)

「海の中、どんなだい。美くしい?水の中では、息ができないだろう。」

(「ふねから、きかいでくうきをおくるんだねえ、おじさん。」「そうなんだよ。)

「舟から、機械で空気を送るんだねえ、おじさん。」「そうなんだよ。

(うみのなかは、あかるくて、きれいさあ。」と、おじさんが、こたえました。)

海の中は、明るくて、きれいさあ。」と、おじさんが、答えました。

(「どんなに、きれい?」「そうだな、あおじろく、ぼうっとして、)

「どんなに、きれい?」「そうだな、青白く、ぼうっとして、

(ちょっとくちにはいえないなあ。」「いろんなさかながおよいでいるの。」)

ちょっと口にはいえないなあ。」「いろんな魚が泳いでいるの。」

(「うん、うえのほうには、くらげが、かさのようなかたちをして、およいでいるし、)

「うん、上の方には、くらげが、傘のような形をして、泳いでいるし、

(すこししたのいわかげには、たこがうでぐみをして、かんがえこんでいるしな。)

すこし下の岩陰には、たこが腕組みをして、考え込んでいるしな。

(もっとしたのほうへいくと、あかいさかなだのあおいさかなだのいろいろのやつが、)

もっと下の方へいくと、赤い魚だの青い魚だのいろいろのやつが、

(まるではやしのなかをくぐるように、ものあいだをいったり、きたりしているのだ。」)

まるで林の中をくぐるように、藻の間をいったり、きたりしているのだ。」

(「ふうん、きれいだな。すいぞくかんへいってみたようなんだね。」)

「ふうん、きれいだな。水族館へいってみたようなんだね。」

(「すいぞくかんって、まだみたことがないが、たぶんおなじものだろうよ。」)

「水族館って、まだ見たことがないが、たぶん同じものだろうよ。」

(「おじさん、それでも、うみよりか、まちのほうがいいの?」)

「おじさん、それでも、海よりか、町のほうがいいの?」

(「それは、うみのほうがいいさ。」「そんなら、なぜ、まちへこしてきたの?」)

「それは、海のほうがいいさ。」「そんなら、なぜ、町へ越してきたの?」

(こう、こどもたちがとうと、おじさんは、それにはこたえずに、)

こう、子供たちが問うと、おじさんは、それには答えずに、

(ただ、さびしそうに、わらっていました。ゆうちゃんのおじさんは、としがわかく、)

ただ、さびしそうに、笑っていました。勇ちゃんの叔父さんは、年が若く、

(くちかずはすくなかったけれど、まじめでありましたから、)

口数は少なかったけれど、まじめでありましたから、

(まちのひとたちもだんだんこのみせをひいきにするようになりました。)

町の人たちもだんだんこの店をひいきにするようになりました。

(あるひのこと、せいきちのおとうさんは、ゆうちゃんのおじさんが、うみのせいかつをやめて、)

ある日のこと、清吉のお父さんは、勇ちゃんの叔父さんが、海の生活をやめて、

(こちらへくるようになったわけを、そとからきいてきたのであります。)

こちらへくるようになったわけを、外から聞いてきたのであります。

(「せいきち、こんなはなしは、あまりひとにするでないぞ。おとうさんが、あるところで)

「清吉、こんな話は、あまり人にするでないぞ。お父さんが、あるところで

(きいてきたのだからな。」「おそろしいはなし?」)

聞いてきたのだからな。」「怖しい話?」

(「せいちゃん、だまって、きいていらっしゃい。」と、)

「清ちゃん、だまって、聞いていらっしゃい。」と、

(そばから、ねえさんがいいました。「あるひのこと、)

そばから、姉さんがいいました。「ある日のこと、

(おきあいで、きせんがしょうとつして、いっそうはしずみ、ついにゆくえふめいのものが、)

沖合で、汽船が衝突して、一そうは沈み、ついに行方不明のものが、

(はちにんあったそうだ。あのひとは、うみへくぐるめいじんだってな。)

八人あったそうだ。あの人は、海へくぐる名人だってな。

(それで、たぶんそのふねといっしょにしずんでしまったのだろうから、)

それで、たぶんその船といっしょに沈んでしまったのだろうから、

(なかへはいって、しがいをさがしてくれとたのまれたのだ。」)

中へ入って、死骸をさがしてくれと頼まれたのだ。」

(「あのおじさん、はいったのかい。」「だれも、そこがふかいし、きみわるがって、)

「あのおじさん、入ったのかい。」「だれも、底が深いし、気味悪るがって、

(いいへんじをしたものがないのを、あのひとは、ひとりではいったのだ。」)

いい返事をしたものがないのを、あの人は、一人で入ったのだ。」

(「えらいなあ。」「えらいとも。」「いいから、せいちゃん、だまって)

「えらいなあ。」「えらいとも。」「いいから、清ちゃん、だまって

(きいていらっしゃい。」と、おねえさんが、またいいました。)

聞いていらっしゃい。」と、お姉さんが、またいいました。

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