こだまことだま

(このあたりいちばんみはらしのいい)

このあたりイチバン見晴らしの良い

(あのきにのぼって)

あの木に登って

(あのこがわらうむじゃきにわらうゆめをみる)

あの子が笑う　無邪気に笑う　夢を見る

(そらをおよいださかなのむこう)

空を泳いだ魚の向こう

(じっとめをこらせば)

じっと目を凝らせば

(まちのすみっこいろあせてゆくひびがある)

町の隅っこ色褪せてゆく日々がある

(ゆびきりしたままでさよならしても)

ゆびきりしたままでサヨナラしても

(はたされるひをまってこのきにやどるよ)

果たされる日を待ってこの木に宿るよ

(なんかいもくりかえすそのたびなみだする)

何回も繰り返す　そのたび涙する

(とまってうごきだす)

止まって動き出す

(そのすべてをたしかめるように)

そのすべてを確かめるように

(ほらやまびこがきこえるよ)

ほら　やまびこが聴こえるよ

(おはようげんき？もしもし)

おはよう　元気？　もしもし

(あのねばいばいおやすみなさい)

あのね　バイバイ　おやすみなさい

(まちがねむったしじまにそっとめをさます)

町が眠った静寂にそっと目を覚ます

(よるとあさのすきのひみつがひとつ)

夜と朝の隙のヒミツがヒトツ

(はこからとびだしてことばにやどるよ)

箱から飛び出してコトバに宿るよ

(なんかいもくりかえすそうしていきをする)

何回も繰り返す　そうして息をする

(もどってあるきだす)

戻って歩き出す

(たからものをとじこめるばしょをさがして)

宝物を閉じ込める場所を探して

(このきにまだやどるよ)

この木にまだ宿るよ

(ことばにただやどすよ)

コトバにただ宿すよ

(わすれものをしようそろわないように)

忘れ物をしよう　揃わないように

(かたっぽあずけるよ)

片っぽ預けるよ

(またあえたならはたそう)

また会えたなら果たそう

(おわってしまうこと)

終わってしまうこと

(かわってしまうこと)

変わってしまうこと

(だからそだってしまうこと)

だから育ってしまうこと

(そのすべてをだきしめるように)

そのすべてを抱きしめるように

(ほらやまびこがきこえるよ)

ほら　やまびこが聴こえるよ

(このあたりいちばんみはらしのいい)

このあたりイチバン見晴らしの良い

(あのきにのぼって)

あの木に登って

(あのことわらうむじゃきにわらうゆめをみた)

あの子と笑う　無邪気に笑う　夢を見た