古事記上巻・伊邪那岐伊邪那美4

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古事記上巻・伊邪那岐伊邪那美の読み下し文
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1 奈良の子 3517 D+ 3.8 91.6% 587.6 2273 206 35 2024/12/21

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問題文

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(ここにいざなぎのみこと、はかせるとつかのつるぎをぬきて、)

ここに伊邪那岐命、御佩せる十拳剣を抜きて、

(そのこかぐつちのかみのくびをきりたまひき。)

その子迦具土神の頚を斬りたまひき。

(ここにそのみはかしのさきにつけるち、ゆついはむらにたばしりつきて、)

ここにその御刀の前に著ける血、湯津石村に走り就きて、

(なれるかみのなは、いはさくのかみ。つぎにねさくのかみ。つぎにいはつつのをのかみ。みはしらのかみ。)

成れる神の名は、石拆神。次に根拆神。次に石筒之男神。三はしらの神。

(つぎにみはかしのもとにつけるちもまた、ゆついはむらにたばしりつきて、)

次に御刀の本に著ける血も亦、湯津石村に走り就きて、

(なれるかみのなは、みかはやひのかみ。つぎにひのはやひのかみ。つぎにたけみかづちのをのかみ。)

成れる神の名は、甕速日神。次に樋速日神。次に建御雷之男神。

(またのなはたけふつのかみ。またのなはとよふつのかみ。みはしらのかみ。)

亦の名は建布都神。亦の名は豊布都神。三はしらの神。

(つぎにみはかしのたがみにあつまれるち、たなまたよりくきいでて、)

次に御刀の手上に集まれる血、手俣より漏き出でて、

(なれるかみのなは、くらおかみのかみ。つぎにくらみつはのかみ。)

成れる神の名は、闇淤加美神。次に闇御津羽神。

(かみのくだりのいはさくのかみよりしも、くらみつはのかみよりさき、あはせてやはしらのかみは、)

上の件の石拆神以下、闇御津羽神以前、幷せて八はしらの神は、

(みはかしによりてなれるかみなり。)

御刀によりて生れる神なり。

(ころさえしかぐつちのかみのかしらになれるかみのなは、まさかやまつみのかみ。)

殺さえし迦具土神の頭に成れる神の名は、正鹿山津見神。

(つぎにむねになれるかみのなは、おどやまつみのかみ。)

次に胸に成れる神の名は、淤縢山津見神。

(つぎにはらになれるかみのなは、おくやまつみのかみ。つぎにほとになれるかみのなは、くらやまつみのかみ。)

次に腹に成れる神の名は、奥山津見神。次に陰に成れる神の名は、闇山津見神。

(つぎにひだりのてになれるかみのなは、しぎやまつみのかみ。)

次に左の手に成れる神の名は、志芸山津見神。

(つぎにみぎのてになれるかみのなは、はやまつみのかみ。)

次に右の手に成れる神の名は、羽山津見神。

(つぎにひだりのあしになれるかみのなは、はらやまつみのかみ。)

次に左の足に成れる神の名は、原山津見神。

(つぎにみぎのあしになれるかみのなは、とやまつみのかみ。)

次に右の足に成れる神の名は、戸山津見神。

(まさかやまつみのかみよりとやまつみのかみまで、あはせてやはしらのかみ。)

正鹿山津見神より戸山津見神まで、幷せて八はしらの神。

(かれ、きりたまひしたちのなは、あめのをはばりといひ、またのなはいつのをはばりといふ。)

故、斬りたまひし刀の名は、天之尾羽張と謂ひ、亦の名は伊都尾羽張と謂ふ。

など

(ここにそのいもいざなみのみことをあひみむとおもひて、よみのくににおひゆきき。)

ここにその妹伊邪那美命を相見むと欲ひて、黄泉国に追ひ往きき。

(ここにとののあげとよりいでむかへしとき、いざなぎのみこと、かたらひのたまりたまひしく、)

ここに殿の騰戸より出で向かへし時、伊邪那岐命、語らひ詔りたまひしく、

(うつくしきわがなにものみこと、あれといましとつくれるくに、いまだつくりをへず。)

愛しき我が汝妹の命、吾と汝と作れる国、未だ作り竟へず。

(かれ、かへるべしとのたまひき。)

故、還るべしとのたまひき。

(ここにいざなみのみことこたへまをししく、くやしきかも、とくこずて。)

ここに伊邪那美命答へ白ししく、悔しきかも、速く来ずて。

(あはよもつへふひしつ。しかれどもうつくしきあがなせのみこと、いりきませることかしこし。)

吾は黄泉戸喫しつ。然れども愛しき我が汝夫の命、入り来ませること恐し。

(かれ、かへらむとおもふを、しばらくよもつかみとあげつらはむ。あをなみたまひそとまをしき。)

故、還らむと欲ふを、且く黄泉神と相論はむ。我をな視たまひそとまをしき。

(かくまをしてそのとののうちにかへりいりしいひだ、いとひさしくてまちかねたまひき。)

かく白してその殿の内に還り入りし間、甚久しくて待ち難たまひき。

(かれ、ひだりのみみづらにさせるゆつつまぐしのをばしらひとつとりかきて、)

故、左の御角髪に刺せる湯津津間櫛の男柱一箇取り闕きて、

(ひとつびともしていりみたまひしとき、うじたかれころろきて、)

一つ火燭して入り見たまひし時、蛆たかれころろきて、

(かしらにはおほいかづちをり、むねにはほのいかづちをり、はらにはくろいかづちをり、ほとにはさきいかづちをり、)

頭には大雷居り、胸には火雷居り、腹には黒雷居り、陰には拆雷居り、

(ひだりのてにはわかいかづちをり、みぎのてにはつちいかづちをり、)

左の手には若雷居り、右の手には土雷居り、

(ひだりのあしにはなりいかづちをり、みぎのあしにはふしいかづちをり、あはせてやはしらのいかづちかみなりをりき。)

左の足には鳴雷居り、右の足には伏雷居り、幷せて八はしらの雷神成り居りき。

(ここにいざなぎのみこと、みかしこみてにげかへるとき、そのいもいざなみのみこと、)

ここに伊邪那岐命、見畏みて逃げ還る時、その妹伊邪那美命、

(あれにはぢみせつといひき。)

吾に辱見せつと言ひき。

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