古事記上巻・大国主命2

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古事記上巻・大国主命の読み下し文
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問題文

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(ここにやかみひめ、やそかみにこたへていひしく、)

ここに八上比売、八十神に答へて言ひしく、

(われはいましたちのことはきかじ。おほあなむぢのかみにあはむといひき。)

吾は汝等の言は聞かじ。大穴牟遅神に嫁はむといひき。

(かれここにやそかみいかりて、おほあなむぢのかみをころさむとともにはかりて、)

故ここに八十神怒りて、大穴牟遅神を殺さむと共に議りて、

(ははきのくにのてまのやまのもとにいたりていひしく、)

伯伎国の手間の山本に至りて云ひしく、

(あかきいこのやまにあり。かれ、われともにおひおろしなば、)

赤き猪この山にあり。故、われ共に追ひ下しなば、

(なれまちとれ。もしまちとらずは、かならずなれをころさむといひて、)

汝待ち取れ。もし待ち取らずは、必ず汝を殺さむと云ひて、

(ひをもちていににたるおほいしをやきて、まろばしおとしき。)

火をもちて猪に似たる大石を焼きて、転ばし落しき。

(ここにおひおろすをとるとき、すなはちそのいしにやきつかえてしにき。)

ここに追ひ下すを取る時、すなはちその石に焼き著かえて死にき。

(ここにそのみおやのみこと、なきうれひて、あめにまいのぼりて、)

ここにその御祖の命、哭き患ひて、天に参上りて、

(かみむすひのみことにまをししとき、すなはちきさがひひめと)

神産巣日之命に請しし時、すなはちキサ貝比売と

(うむぎひめとをつかはして、つくりいかさしめたまひき。)

蛤貝比売とを遣はして、作り活かさしめたまひき。

(ここにきさがひひめ、ささげあつめて、うむぎひめ、まちうけて、)

ここにキサ貝比売、岐佐宜集めて、蛤貝比売、待ち承けて、

(おものちしるをぬりしかば、うるはしきをとこになりて、いであそびき。)

母の乳汁を塗りしかば、麗しき壮夫に成りて、出で遊行びき。

(ここにやそかみみて、またあざむきてやまにいていりて、)

ここに八十神見て、また欺きて山に率て入りて、

(おほきをきりふせ、ひめやをそのきにうちたて、)

大樹を切り伏せ、茹矢をその木に打ち立て、

(そのなかにいらしむるすなはち、そのひめやをうちはなちて、うちころしき。)

その中に入らしむる即ち、その氷目矢を打ち離ちて、拷ち殺しき。

(ここにまた、そのみおやのみこと、なきつつまげば、みえて、)

ここにまた、その御祖の命、哭きつつ求げば、見得て、

(すなはちそのきををりてとりいでいかして、そのこにつげていひしく、)

すなはちその木を折りて取り出で活かして、その子に告げて言ひしく、

(いましここにあらば、ついにやそかみのためにほろぼさえなむといひて、)

汝此間にあらば、遂に八十神のために滅ぼさえなむといひて、

(すなはちきのくにのおほやびこのかみのみもとへたがへやりき。)

すなはち木国の大屋毘古神の御所に違へ遣りき。

など

(ここにやそかみまぎおひいたりて、やざしこふときに、)

ここに八十神覓ぎ追ひ臻りて、矢刺し乞ふ時に、

(きのまたよりくきにがしてのりたまひしく、)

木の俣より漏き逃がして云りたまひしく、

(すさのをのみことのましますねのかたすくににまいむかふべし。)

須佐能男命の坐します根の堅州国に参向ふべし。

(かならずそのおほかみ、はかりたまひなむとのりたまひき。)

必ずその大神、議りたまひなむとのりたまひき。

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