卒業18

(じゅけんはめのまえ。)

受験は目の前。

(わたしはふあんでいっぱいになっている。)

私は不安で一杯になっている。

(９がつにはいって、どうきゅうなまのみんなのかおもいつものかおとはすこしちがっている。)

9月に入って、同級生のみんなの顔もいつもの顔とは少し違っている。

(そんななか、しゅうがくりょこうできょうとなら２はく３にち。)

そんな中、修学旅行で京都奈良2泊3日。

(ごうかくいわいにつれていってくれるとはいえ、)

合格祝いに連れて行ってくれるとはいえ、

(わたしのだいすきなきょうと。)

私の大好きな京都。

(べんきょうをわすれられるひとときだ。)

勉強を忘れられるひと時だ。

(としひこくんとおさむさんにおみやげをかっていこうと、)

俊彦君と修さんにお土産を買って行こうと、

(あれこれかんがえただけでたのしい。)

あれこれ考えただけで楽しい。

(じぶんにもごほうびかっちゃおう。)

自分にもご褒美買っちゃおう。

(じゆうこうどうでてつがくのみちをあるいていると、ともだちがおなかがいたいといいだした。)

自由行動で哲学の道を歩いていると、友達がお腹が痛いと言い出した。

(「だいじょうぶ？くすりかってこようか？」)

「大丈夫？薬買ってこようか？」

(「あの、どうかなさいましたか？」)

「あの、どうかなさいましたか？」

(きれいなかみのおんなのひとがこえをかけてきた。)

綺麗な髪の女の人が声をかけてきた。

(「ともだちがおなかがいたいらしくて、このちかくにやっきょくはありませんか？」)

「友達がお腹が痛いらしくて、この近くに薬局はありませんか？」

(「おくすりなら、いえへおいでやす。」)

「お薬なら、家へおいでやす。」

(そういうとそのひとはいえまであんないしてくれた。)

そう言うとその人は家まで案内してくれた。

(やくをもらって、しばらくやすませてもらった。)

薬をもらって、しばらく休ませてもらった。

(わたしはせんせいにれんらくをして、しゅうごうじかんにおくれることをはなした。)

私は先生に連絡をして、集合時間に遅れることを話した。

(「だいじょうぶですか。」)

「大丈夫ですか。」

(「ありがとうございます、たすかりました。」)

「ありがとうございます、助かりました。」

(「しゅうがくりょこうですか？」)

「修学旅行ですか？」

(「はい。」)

「はい。」

(「どこから？」)

「何処から？」

(「しずおかけんです。」)

「静岡県です。」

(「そうどすか。うちもだいがくがしずおかだったんですよ。」)

「そうどすか。うちも大学が静岡だったんですよ。」

(「そうなんですか？」)

「そうなんですか？」

(「ともだちがなんにんかいますよ。」)

「友達が何人かいますよ。」

(「あったりするんですか？」)

「会ったりするんですか？」

(「しごとがあったり、けっこんしたりでなかなかあえないんですけどね、)

「仕事があったり、結婚したりでなかなか会えないんですけどね、

(だからがくせいのころがなつかしくなるんですよ。」)

だから学生の頃が懐かしくなるんですよ。」

(「こんにちは。」)

「こんにちは。」

(せんせいがむかえにきてくれた。)

先生が迎えに来てくれた。

(「せいとがおせわになりました。」)

「生徒がお世話になりました。」

(「いえ、こまったときはおたがいさまですから。」)

「いえ、困ったときはお互い様ですから。」

(「ありがとうございました。」)

「ありがとうございました。」

(おれいをいってりょかんへかえった。)

お礼を言って旅館へ帰った。

(それにしてもきれいなおんなのひとだったな。)

それにしてもきれいな女の人だったな。

(あんなふうなおとなになりたいな。)

あんな風な大人になりたいな。

(よる、しんきょうごくでおみやげものをえらんだ。)

夜、新京極でお土産物を選んだ。

(としひこくんにはていきいれとわたしとおそろいできーほるだー。)

俊彦君には定期入れと私とお揃いでキーホルダー。

(おさむさんにはたばこいれとはんかちをえらんだ。)

修さんには煙草入れとハンカチを選んだ。

(じぶんには、においぶくろとてかがみとくしとにしじんおりのぽーちをかった。)

自分には、匂袋と手鏡とくしと西陣織のポーチを買った。

(かうべるのますたーとおさむさんのおみせのひとたちにもおみやげをかった。)

カウベルのマスターと修さんのお店の人達にもお土産を買った。

(しゅうがくりょこうがおわるとがくりょくてすとがまっている、)

修学旅行が終わると学力テストが待っている、

(このけっかによってはしぼうこうをかえなければならい。)

この結果によっては志望校を変えなければならい。

(ぎりぎりのらいんにいるわたしはよゆうなどない、)

ギリギリのラインにいる私は余裕などない、

(そうおもうとふあんとあせりでいたたまれなくなる。)

そう思うと不安と焦りでいたたまれなくなる。

(がくりょくてすとのあと、しんろしどうのせんせいとたんにんのせんせいとのめんだんある。)

学力テストの後、進路指導の先生と担任の先生との面談ある。

(わたしはきんちょうしてしんろしどうしつへむかった。)

私は緊張して進路指導室へ向かった。

(「しつれいします。」)

「失礼します。」

(「はいりなさい。」)

「入りなさい。」

(あたまをさげてなかへはいった。)

頭を下げて中へ入った。

(「すわりなさい。」)

「座りなさい。」

(「しつれいします。」)

「失礼します。」

(「きみは、ひがしこうこうきぼうだったね。」)

「君は、東高校希望だったね。」

(「はい。」)

「はい。」

(せんせいはてんすうのかいてあるだろうしょるいをみながら、)

先生は点数の書いてあるだろう書類を見ながら、

(「よくがんばったな、これならじゅけんしてもいいだろう。」)

「よく頑張ったな、これなら受験してもいいだろう。」

(「よかったなこばやし。」)

「良かったな小林。」

(「ありがとうございます。」)

「ありがとうございます。」

(「だがほんばんはこれからだ、きをゆるめずあとすこしがんばれ。」)

「だが本番はこれからだ、気を緩めずあと少しがんばれ。」

(「はい。」)

「はい。」

(あたまをさげてしんろしどうしつをあとにした。)

頭を下げて進路指導室を後にした。

(１つはーどるをこえた、でもすたーとらいんにたったにすぎない。)

1つハードルを越えた、でもスタートラインに立ったに過ぎない。

(わたしはいままでむりだといわれてきていたのだ、)

私は今まで無理だと言われてきていたのだ、

(じゅけんしてもいいといわれただけで、ごうかくけんないといわれたわけではない。)

受験してもいいと言われただけで、合格圏内と言われたわけではない。

(まだまだごうかくまではひとがんばりもふたがんばりもしなければならない。)

まだまだ合格まではひと頑張りも二頑張りもしなければならない。

(でもどこかでほっとしているじぶんがいた。)

でもどこかでホッとしている自分がいた。