美由紀と美雪5

(いつもはげんきにあいさつしてくるのにきょうはちがう。)

いつもは元気に挨拶してくるのに今日は違う。

(あきとなかはらくんがけっそうをかえてわたしのところへきた。)

亜紀と中原君が血相を変えて私のところへ来た。

(「みゆき、すぐぱそこんひらいて！！」)

「美由紀、すぐパソコン開いて！！」

(そうせかされてぱそこんがめんをひらいてがくぜんとなった。)

そう急かされてパソコン画面を開いて愕然となった。

(けいこく！！！！)

警告！！！！

(あさのみゆきはましょうのおんな！！)

浅野美由紀は魔性の女！！

(かめんのなかのかおはおとこをくいものにするましょうのおんな。)

仮面の中の顔は男を食い物にする魔性の女。

(いっしょにくらしたおとこをすてたおんな。)

一緒に暮らした男を捨てた女。

(いまはとししたのこもちのおとこをたぶらかしている。)

今は年下の子持ちの男を誑かしている。

(こんなおんなをやとっていると、わざわいのもとになる。)

こんな女を雇っていると、災いのもとになる。

(けいこく！！！けいこく！！！)

警告！！！警告！！！

(てんぷされているがぞうはわたしのしゃしん。)

添付されている画像は私の写真。

(しゃいんりょこうにいったときかくしどりをしたであろうわんしょっと)

社員旅行に行った時隠し撮りをしたであろうワンショット

(「あさのくん、ちょっといいか。」)

「浅野君、ちょっといいか。」

(ぶちょうによばれぶちょうしつへ。)

部長に呼ばれ部長室へ。

(「ぶちょうごめいわくをおかけしています。」)

「部長ご迷惑をおかけしています。」

(「これはしんじつではないね。」)

「これは真実ではないね。」

(「いちぶをのぞいてはすべてちがいます。」)

「一部を除いてはすべて違います。」

(「いちぶというのは？」)

「一部というのは？」

(「いっしょにくらしたのぶぶんです。わたしはかれといたらじぶんがだめになると)

「一緒に暮らしたの部分です。私は彼といたら自分が駄目になると

(おもいかれにてがみをかいてへやをでました。」)

思い彼に手紙を書いて部屋を出ました。」

(「そういうことか、あいてはわかっているのか？」)

「そういう事か、相手はわかっているのか？」

(「はい、じつはせんじつのしゃいんりょこうでりようした、つあーがいしゃの)

「はい、実は先日の社員旅行で利用した、ツアー会社の

(しゃいんです、わたしもおどろいたのですが、りょこうにてんじょうしていたので、)

社員です、私も驚いたのですが、旅行に添乗していたので、

(しゃしんもそのときにかくしどりされたのだとおもいます。」)

写真もその時に隠し撮りされたのだと思います。」

(「わかった、きみはみのまわりにきけんがおよばないように)

「わかった、君は身の回りに危険が及ばないように

(きをつけなさい、わたしはこのじたいをなんとかおさえるよう)

気をつけなさい、私はこの事態を何とか抑えるよう

(うごいてみる。」)

動いてみる。」

(「ぶちょうたいへんもうしわけございません。」)

「部長大変申し訳ございません。」

(ふかぶかとあたまをさげ、ですくへもどった。)

深々と頭を下げ、デスクへ戻った。

(「みゆきだいじょうぶ？」)

「美由紀大丈夫？」

(「みんなめいわくかけておどろかせてごめんなさい。」)

「みんな迷惑かけて驚かせてごめんなさい。」

(わたしはしょくばのみんなにもあたまをさげた。)

私は職場のみんなにも頭を下げた。

(「あいつですよね？しゃいんりょこうのつあこんのやまもとってやつ。」)

「あいつですよね？社員旅行のツアコンの山本ってやつ。」

(「えっ？！あのひとですか？」)

「えっ？！あの人ですか？」

(「みんなごめんね・・・。」)

「みんなごめんね・・・。」

(「けいさつにとどけましょう。こんなやりかたひきょうすぎる！！」)

「警察に届けましょう。こんなやり方卑怯すぎる！！」

(あきがけいさつにれんらくをした。)

亜紀が警察に連絡をした。

(ほどなくけいじさんがやってきた。)

程なく刑事さんがやってきた。

(ぱそこんのなかのぶんしょうとしゃしんをしらべるといって、)

パソコンの中の文章と写真を調べると言って、

(わたしのですくのぱそこんをもっていった。)

私のデスクのパソコンを持って行った。

(わたしもじじょうをきくというのでけいさつへ。)

私も事情を聴くというので警察へ。

(２ねんまえいっしょにくらしていたこと、てがみをのこしてまちをでたこと、)

２年前一緒に暮らしていた事、手紙を残して街を出た事、

(がいしゃのりょこうでてんじょうしてきたかれにさいかいしたこと、)

会社の旅行で添乗してきた彼に再開した事、

(がいしゃにたのんでいないぴざがとどいたり、じたくにきたてがみのこともはなした。)

会社に頼んでいないピザが届いたり、自宅に来た手紙の事も話した。

(ごでしらべてわかったことだけれど、)

後で調べて分かったことだけれど、

(てがみのもじのあかは、なにかのいきもののちでかかれたものだった。)

手紙の文字の赤は、何かの生き物の血で書かれたものだった。

(けいさつもいたずらやいやがらせにしてはたびがすぎているといっていた。)

警察も悪戯や嫌がらせにしては度が過ぎていると言っていた。

(じたくもしられているかのうせいがあるため、とうちょうきがしかけられていないか)

自宅も知られている可能性があるため、盗聴器が仕掛けられていないか

(しらべさせてほしいといわれた。)

調べさせてほしいと言われた。

(こんかいのそうどうのせきにんをとるかたちで、わたしは１しゅうかんのきんしんになった。)

今回の騒動の責任を取る形で、私は一週間の謹慎になった。

(ねんまつしょうせんのまっただなかみんなにめいわくかけてしまう。)

年末商戦の真っただ中みんなに迷惑かけてしまう。

(ゆきやがゆるせなかった。)

幸也が許せなかった。

(くりすますいぶ、きょうはみゆきちゃんのたんじょうび。)

クリスマスイブ、今日は美雪ちゃんの誕生日。

(なかはらくんとみゆきちゃんとまちにたんじょうびぷれぜんとをかいにでた。)

中原君と美雪ちゃんと街に誕生日プレゼントを買いに出た。

(「みゆきちゃんはなにがすきなの？」)

「美雪ちゃんは何が好きなの？」

(「ほいくえんでは、おうちのせっとみたいなのであそんでるみたいですよ。」)

「保育園では、おうちのセットみたいなので遊んでるみたいですよ。」

(「わかったわ。わたしみてくるからどこかでまちあわせましょう。」)

「わかったわ。私見てくるからどこかで待ち合わせましょう。」

(「このびるの５かいのきっさてんにいますね。」)

「このビルの５階の喫茶店にいますね。」

(「わかったわ。」)

「わかったわ。」

(わたしはなかはらくんとわかれておもちゃやさんにいった。)

私は中原君と別れておもちゃ屋さんに行った。

(さいきんのおもちゃはかんたんにこどものおもちゃとかたづけるには)

最近のおもちゃは簡単に子供のおもちゃと片付けるには

(きのうがすごいものがある。)

機能がすごいものがある。

(ほんとうにみずがでたり、ほっとけーきやくっきーができたりするものもある)

本当に水が出たり、ホットケーキやクッキーが出来たりするものもある

(どれがいいのかまよってしまう。)

どれがいいのか迷ってしまう。

(いちばんうれているものをこうにゅうした。)

一番売れているものを購入した。

(きっさてんにいくえれべーたーほーるでわたしはゆきやのすがたをみつけた。)

喫茶店に行くエレベーターホールで私は幸也の姿を見つけた。

(がいしゃのひとたちといっしょにうえのかいへいこうとしている。)

会社の人達と一緒に上の階へ行こうとしている。

(わたしはひとつごのえれべーたーでうえのかいへいくことにした。)

私は一つ後のエレベーターで上の階へ行くことにした。

(すこしはなれたばしょでゆきやがえれべーたにのりこんだのをかくにんして)

少し離れた場所で幸也がエレベータに乗り込んだのを確認して

(えれべーたーほーるへむかった。)

エレベーターホールへ向かった。

(つぎのえれべーたーがめのまえにとまり、とびらがあいた。)

次のエレベーターが目の前に止まり、扉が開いた。

(のりこもうとしたときうでをつかまれた。)

乗り込もうとしたとき腕を掴まれた。

(「ぐうぜんだね、」)

「偶然だね、」

(わたしのからだはこおりついたようにうごかなかった。)

私の体は凍り付いたように動かなかった。