ねこにゃんこ(へそ天の壁)

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一人と一匹暮らしの日常
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問題文

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(きなこはとてもよくできたいいにゃんこでうまれてこのかた)

きなこはとてもよくできたいいにゃんこで生まれてこのかた

(せいちょうがとまってからずっと4.5きろで)

成長が止まってからずっと4.5キロで

(100ぐらむのごさもなくたいじゅうかんりができている。)

100グラムの誤差もなく体重管理ができている。

(かぜもひいたことなどないしなんのびょうきにもかかったことはない。)

風邪も引いたことなどないしなんの病気にもかかったことはない。

(それにひきかえぼくはというと)

それに引き換え僕はというと

(ころなかのなかおうちじかんがふえた。それとひれいしてぼくのたいじゅうもふえた。)

コロナ禍の中おウチ時間が増えた。それと比例して僕の体重も増えた。

(ころなかのまえはなんだかんだいって1にち5000ぽ~8000ぽくらいあるいていた。)

コロナ禍の前はなんだかんだ言って1日5000歩~8000歩位歩いていた。

(それがいまではなんと1にち200ぽ~300ぽになってしまった。)

それが今ではなんと1日200歩~300歩になってしまった。

(これでたべるりょうはかわらないのでとうぜんのけっかである。)

これで食べる量は変わらないので当然の結果である。

(べすとたいじゅうが62きろにたいしていまは68きろある。)

ベスト体重が62キロに対して今は68キロある。

(かといってたくとれとかうんどうするきにもならない。)

かといって宅トレとか運動する気にもならない。

(そこでせめてじゅうなんたいそうでもやるかとおもい。かいきゃくしてのぜんくつからやりはじめた。)

そこでせめて柔軟体操でもやるかと思い。開脚しての前屈からやり始めた。

(さいしょはとうぜんかっちかちであしを90どくらいにひらいてやったが)

最初は当然カッチカチで足を90度くらいに開いてやったが

(おでこをつけるなんてまったくむりなじょうきょう。)

おでこを付けるなんてまったく無理な状況。

(とりあえずこのじょうきょうでおでこをつけられるようになろうともくひょうをきめた。)

とりあえずこの状況でおでこを付けられるようになろうと目標を決めた。

(すこしずつでもやらないよりましだなとおもいすこしずつやりはじめた。)

少しずつでもやらないよりましだなと思い少しずつやり始めた。

(やがてどりょくはすこしずつむくわれゆかまであと10すうせんちのところまできた。)

やがて努力は少しずつ報われ床まであと10数センチのところまで来た。

(するととつぜんきなこがぼくがかいきゃくしたあしのあいだにきてへそてんをしはじめたのだ。)

すると突然きなこが僕が開脚した足の間に来てへそ天をし始めたのだ。

(へそてんとはねこずきならごぞんじだろうがあおむけになっておなかをみせる)

へそ天とは猫好きならご存じだろうが仰向けになっておなかを見せる

(というにゃんこがしんらいしているあいてにしかみせないこうどうのひとつである。)

というにゃんこが信頼している相手にしか見せない行動のひとつである。

など

(それはそれでうれしいことなのだがこのばあいどうかんがえても)

それはそれで嬉しい事なのだがこの場合どう考えても

(じゃまをされているとしかおもえない。)

邪魔をされているとしか思えない。

(これもねこあるあるでかまってほしいときにさまざまなじゃまをする。)

これも猫あるあるでかまって欲しい時に様々な邪魔をする。

(ゆうめいなのはぱそこんうってるとぱそこんのうえにのってくるとか)

有名なのはパソコン打ってるとパソコンの上に乗ってくるとか

(しんぶんよんでるとのっかってくるとかである。)

新聞読んでると乗っかって来るとかである。

(「にゃろめ」とおもいつつぜんくつをはじめたがきなこはまったくうごくけはいがない。)

「にゃろめ」と思いつつ前屈を始めたがきなこはまったく動く気配がない。

(きなこのせなかからおなかまでちょうど10すうせんちだ。)

きなこの背中からおなかまでちょうど10数センチだ。

(やっとのことでもくひょうまでたどりつきそうだってのに)

やっとの事で目標までたどり着きそうだってのに

(ぜつみょうのたいみんぐでじゃましにきやがる。)

絶妙のタイミングで邪魔しに来やがる。

(「おい、きなこ。それならそれでぼくにもかんがえがあるぞ」とぼくはいった。)

「おい、きなこ。それならそれで僕にも考えがあるぞ」と僕は言った。

(ぼくはぜんくつをはじめきなこのおなかにゆっくりとおでこでふれると)

僕は前屈をはじめきなこのおなかにゆっくりとおでこで触れると

(「うりうりうりうりうり」といいながらおでこでおなかをなでてやった。)

「うりうりうりうりうり」と言いながらおでこでおなかを撫でてやった。

(はたからみたらとてつもなくばからしいこういである。)

はたから見たらとてつもなくバカらしい行為である。

(もともとおなかはねこのじゃくてんなのでさわられるのをいやがるはずなのだ。)

もともとおなかは猫の弱点なので触られるのを嫌がるはずなのだ。

(たしょうひっかかれることはかくごしていた。)

多少引っかかれることは覚悟していた。

(しかし、きなこはおちついてうごかない。「あれ、おかしいな」)

しかし、きなこは落ち着いて動かない。「あれ、おかしいな」

(ぼくはもいちど「うりうりうり」をくりかえした。やはりきなこはうごかない。)

僕はも一度「うりうりうり」を繰り返した。やはりきなこは動かない。

(そしてよくきなこのひょうじょうをみるとなんとめをほそめてきもちよさそうに)

そしてよくきなこの表情を見るとなんと目を細めて気持ちよさそうに

(しているではないか。)

しているではないか。

(むかついたがどうしてもにゃんこのまほうで「ま、いっか」となってしまう。)

ムカついたがどうしてもにゃんこの魔法で「ま、いっか」となってしまう。

(けっきょくすうかいやったあと、きなこはあきてどこかへいってしまった。)

結局数回やった後、きなこは飽きてどこかへ行ってしまった。

(さて、じゅうなんをさいかいするぞとおもったがすこしあせばんだぼくのおでこには)

さて、柔軟を再開するぞと思ったが少し汗ばんだ僕のおでこには

(きなこのけがいっぱいついてきもちがわるくてさいかいするどころではなかった。)

きなこの毛がいっぱいついて気持ちが悪くて再開するどころではなかった。

(ぼくはかおをあらいにせんめんじょへいった。)

僕は顔を洗いに洗面所へ行った。

(つぎのひ、またはじめようとしてあしをひろげると)

次の日、また始めようとして足を広げると

(どこからともなくきなこがやってくる。)

どこからともなくきなこがやってくる。

(どうやってさっちするのかはわからないがやってくる。かならずやってくる。)

どうやって察知するのかはわからないがやってくる。必ずやってくる。

(けっきょく、ぼくはきょうも「うりうりうり」をやるはめになった。)

結局、僕は今日も「うりうりうり」をやる羽目になった。

(きなこにきにいられてしまった。)

きなこに気に入られてしまった。

(きなこがこのあそびにあきるまで)

きなこがこの遊びに飽きるまで

(かいきゃくしてのぜんくつのもくひょうたっせいはおあずけになりそうだ。)

開脚しての前屈の目標達成はお預けになりそうだ。

(ごーるちょくぜんにかべにぶちあたるだろうとはよそくしていたが)

ゴール直前に壁にぶち当たるだろうとは予測していたが

(それがまさかきなこだとはそうぞうしていなかった。)

それがまさかきなこだとは想像していなかった。

(ぼくはまだまだみじゅくものである。)

僕はまだまだ未熟者である。

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