不思議の国のアリス 11
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問題文
(「わたしはずっとかいがんにすんで、まいにちまいにちないています。)
「私はずっと海岸に住んで、毎日毎日泣いています。
(えびのようにおどりたいのにおどれないことをおもうと、かなしくてたまりません」)
エビのように踊りたいのに踊れないことを思うと、悲しくてたまりません」
(にせうみがめは、ぐずぐずとはなみずをすすりながらつづけました。)
にせ海亀は、ぐずぐずと鼻水をすすりながら続けました。
(「わたしはずっとまっているんです。いつかだれかが、えびのおどりを)
「私はずっと待っているんです。いつか誰かが、エビの踊りを
(おしえてくれるだろうと。だれかがおしえてくれれば、わたしはにせうみがめのあいてとして)
教えてくれるだろうと。誰かが教えてくれれば、私はにせ海亀の相手として
(いっしょにおどってやります。そうすれば、こいつはなきやめるでしょう」)
一緒に踊ってやります。そうすれば、こいつは泣きやめるでしょう」
(ぐりふぉんがいいました。)
グリフォンが言いました。
(「ところでおじょうさん、あなたはえびのおどりをしりませんか?」)
「ところでお嬢さん、あなたはエビの踊りを知りませんか?」
(きかれて、ありすはこまってしまいました。)
聞かれて、アリスは困ってしまいました。
(「わたし、えびがためならしっているけど、えびおどりはしらないわ」)
「私、エビがためなら知っているけど、エビ踊りは知らないわ」
(ありすがいうと、にせうみがめがおおよろこびでこたえました。)
アリスが言うと、にせ海亀が大喜びで答えました。
(「そいつをどうかおしえてください。えびがためでもえびおどりでも、)
「そいつをどうか教えてください。えびがためでもえび踊りでも、
(おなじようなものです」)
おなじようなものです」
(「いいわ、おしえてあげましょう」)
「いいわ、教えてあげましょう」
(ありすはいいかげんに、ぐりふぉんとにせうみがめをくみあわせて)
アリスはいい加減に、グリフォンとにせ海亀を組み合わせて
(でたらめにうたいました。)
でたらめに歌いました。
(「えびのおどりは、いちばんはじめに、みぎあしあげてそれっ、つぎはくるりとひとまわり。)
「エビの踊りは、一番初めに、右足あげてそれっ、次はくるりとひと回り。
(それからとまって、あしぶみとん!」)
それから止まって、足踏みとん!」
(ぐりふぉんとにせうみがめは、おどっておどって、おどりつづけました。)
グリフォンとにせ海亀は、踊って踊って、踊り続けました。
(ありすは、うたってうたって、うたいつづけました。)
アリスは、歌って歌って、歌い続けました。
(おしまいには、みんなへとへとにつかれて、ぐりふぉんとにせうみがめは)
おしまいには、みんなへとへとに疲れて、グリフォンとにせ海亀は
(すわりこんでしまいました。)
座り込んでしまいました。
(「おじょうさんは、なんてものしりなんだろう。きっとうみのそこで)
「お嬢さんは、なんて物知りなんだろう。きっと海の底で
(くらしていたことがあるんですね」にせうみがめがいいました。)
暮らしていたことがあるんですね」にせ海亀が言いました。
(「うみのそこでくらしていたから、えびのおどりをしっているんでしょう?)
「海の底で暮らしていたから、えびの踊りを知っているんでしょう?
(うみのそこで、どうやっていきをするんですか?」)
海の底で、どうやって息をするんですか?」
(「わたしはうみのそこでくらしたことなんて、いちどもないわ。)
「私は海の底で暮らしたことなんて、一度もないわ。
(えびのおどりはがっこうでならったのよ」)
エビの踊りは学校で習ったのよ」
(ありすは、いいかげんにこたえました。)
アリスは、いい加減に答えました。
(「へえ、がっこうとはどこのことですか?」)
「へえ、学校とはどこのことですか?」
(「どこのことって、わたしのまちにあるのよ」)
「どこのことって、私の町にあるのよ」
(「へえ、まちががっこうにあるんですか」)
「へえ、町が学校にあるんですか」
(「ちがうのよ、がっこうがまちにあるのよ」)
「違うのよ、学校が町にあるのよ」
(ありすがいらいらしたとき、こうしゃくふじんがよびにきました。)
アリスがいらいらしたとき、侯爵夫人が呼びに来ました。
(「みんな、おいで。さいばんがはじまるよ」)
「みんな、おいで。裁判が始まるよ」