問わず語り

(だれもいなくてもだいちはそこにある)

誰もいなくても　大地はそこにある

(だれもいなくてもそらはそこにある)

誰もいなくても　空はそこにある

(だれもいなくてもかぜはふきあれる)

誰もいなくても　風は吹き荒れる

(でもだれかがいなくてはうたはうまれない)

でも誰かがいなくては　歌は生まれない

(だれもいなくてもひはのぼりしずむ)

誰もいなくても　日は昇り沈む

(だれもいなくてもときはとまらねえ)

誰もいなくても　時は止まらねえ

(だれもいないならさがしにゆこう)

誰もいないなら　探しに行こう

(だれかがいるふうけいだれかといるけしき)

誰かがいる風景　誰かといる景色

(おりふしのおもいつづるにっきのように)

折節の思い綴る　日記のように

(こころにきざまれたふうけいこころがおぼえてるけしき)

心に刻まれた風景　心が覚えてる景色

(ぐんじょうのそら)

群青の空

(こがねいろのなみ)

黄金色の波

(たなびくみずほ)

たなびく瑞穂

(みのりいのり)

実り　祈り

(だれかがいったおぼえておいてと)

誰かが言った　覚えておいて と

(だれかがいったわすれてくれと)

誰かが言った　忘れてくれ と

(これはとわずがたり)

これは　問わず語り

(みみのおくでくすぶるうた)

耳の奥でくすぶる唄

(これはとわずがたり)

これは　問わず語り

(まぶたのうらでゆれるざんぞう)

瞼の裏で揺れる残像

(まっかなだいち)

真っ赤な大地

(すんだくらやみ)

澄んだ暗闇

(それともくちはてたいのち)

それとも朽ち果てた命

(だれかがいったみつけてくれと)

誰かが言った　見つけてくれ と

(だれかがいったかくしてくれと)

誰かが言った　隠してくれ と

(これはとわずがたり)

これは　問わず語り

(こころにきざまれたふうけい)

心に刻まれた風景

(これはとわずがたり)

これは　問わず語り

(こころがおぼえているけしき)

心が覚えている景色

(これはとわずがたり)

これは　問わず語り

(わすれえぬあのひとのなまえ)

忘れ得ぬあの人の名前

(これはとわずがたり)

これは　問わず語り

(わすれえぬあのひとのぬくもり)

忘れ得ぬあの人のぬくもり

(これはとわずがたり)

これは　問わず語り

(きいてほしかった)

聞いてほしかった

(ひとりごと)

ひとりごと