煙る

(きえないできえてしまいそうなの)

消えないで 消えてしまいそうなの

(わせりんのにおいがするへやがきおくにうきあがった)

ワセリンの匂いがする部屋が記憶に浮き上がった

(さいごまではおもいだせないけどさ)

最後までは思い出せないけどさ

(なんとなくがかくしんにかわるころこわくなっていくよかんがしたんだ)

なんとなくが確信に変わる頃 怖くなっていく予感がしたんだ

(でもなぜだろうねえなぜだろううごきだすしんたいがとめられない)

でも何故だろうねえ何故だろう 動き出す身体が止められない

(あきらめるかこのさいだしいとをたぐりよせた)

諦めるかこの際だし 糸を手繰り寄せた

(はだをよせたきおくさえもどうもあいまいにけむった)

肌を寄せた記憶さえも どうも曖昧に煙った

(どこもかしこもみえないものだらけ)

どこもかしこも見えないものだらけ

(きえかかるまでたいせつさにきづけなかった)

消えかかるまで 大切さに気付けなかった

(きえかかるこえやさしいおもいにとぎすます)

消えかかる声 優しい想いに研ぎ澄ます

(きえかかるまでないたりなんてしなかったのに)

消えかかるまで 泣いたりなんてしなかったのに

(なくなりそうになっていざぶつけるなんてずるいよね)

なくなりそうになって いざぶつけるなんて狡いよね

(いますぐになんてむちゃはしないでってきっというんだろうな)

今すぐになんて無茶はしないでってきっと言うんだろうな

(ひかえめなんていわないでよってかおをあからめてわらうんだろうな)

控えめなんて言わないでよって顔を赤らめて笑うんだろうな

(「いまからむかえにいくから」「そうね、まにあうかしら」)

「今から迎えに行くから」「そうね、間に合うかしら」

(「いなくなるなんていわないでね」)

「いなくなるなんて言わないでね」

(「そういえばきょうはやけにからだがかるいの」)

「そう言えば今日はやけに身体が軽いの」

(「そうか、それはよかった」)

「そうか、それは良かった」

(「でもあなたのことをわすれそうなの」「じつはおなじなんだ」)

「でもあなたの事を忘れそうなの」「実は同じなんだ」

(きえかかるまでたいせつさにきづけなかった)

消えかかるまで 大切さに気付けなかった

(きえかかるこえやさしいおもいにとぎすます)

消えかかる声 優しい想いに研ぎ澄ます

(きえかかるまでないたりなんてしなかったのに)

消えかかるまで 泣いたりなんてしなかったのに

(なくなりそうになっていざぶつけるなんてずるいよね)

なくなりそうになって　いざぶつけるなんて狡いよね