常世国龍蛇伝

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原神書籍「常世国龍蛇伝」のタイピングです。
原神書籍「常世国龍蛇伝」のタイピングです。genshin_テキスト保管庫様よりテキストをお借りしています。読み方については製作者独自の読み方になります。間違っていたらコメントにてご指摘ください。

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問題文

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(とこよこくりょうだでん)

常世国龍蛇伝

(ぞうけはしんぴをみつとし、たいようとつきはきっきょうをしめさん。)

造化は神秘を密とし、太陽と月は吉凶を示さん。

(みすみはやみをきりはなし、ごせいはこくうにかくれん。)

三隅は闇を切り離し、五聖は虚空に隠れん。

(うちゅうには、はじまりもおわりもない。かつてのだいちもそうだった。)

「宇宙には、始まりも終わりもない。かつての大地もそうだった。」

(ただ、わたしたちにとってはなんのいみもない。)

「ただ、私たちにとっては何の意味もない。」

(わたしたちをはぐくんだとちは、もうおわりなきえいえんとはかんけいがないのだから。)

「私たちを育んだ土地は、もう終わりなき永遠とは関係がないのだから。」

(ゆいつのけんじゃであるあべらくは、しょだいのたいようのもうしごにそういった。)

唯一の賢者である阿倍良久は、初代の太陽の申し子にそう言った。

(たいようのもうしごは、かねてよりあべらくをこらしめるつもりであった。)

太陽の申し子は、かねてより阿倍良久を懲らしめるつもりであった。

(そのひ、もんどうのためによびだされたのは、)

その日、問答のため呼び出したのは、

(ただかれをこまらせてこうりゅうしようとしたためである。)

ただ彼を困らせて拘留しようとしたためである。

(いいつたえによれば、あべらくはとこよのおおかみよりけいじをうけ、)

言い伝えによれば、阿倍良久は常世の大神より啓示を受け、

(たいようのみえないえんかのみやからひかりをほりだしたという。)

太陽の見えない淵下宮から光を掘り出したという。

(しかし、たいようのもうしごはかれのさいのうにしっとし、)

しかし、太陽の申し子は彼の才能に嫉妬し、

(さいごのときをむかえるまでかれをかんきんしたそうだ。)

最期の時を迎えるまで彼を監禁したそうだ。

(だがたいようのもうしごたちはきづいていなかった、)

だが太陽の申し子たちは気付いていなかった、

(かれがちかにたいようをつくっていなければ、)

彼が地下に太陽を作っていなければ、

(じぶんたちもそんざいしていなかったことを。)

自分たちも存在していなかったことを。

(てんとちはもともとたまごのようで、りゅうとへびもひとつであった。)

「…天と地は元々卵のようで、龍と蛇も一つであった。」

(このことばをはっして、すぐ、)

この言葉を発して、すぐ、

(けんじゃあべらくはまちぶせをしていたへいしたちにおしたおされてしまった。)

賢者阿倍良久は待ち伏せをしていた兵士たちに押し倒されてしまった。

など

(たいようのしゅつげんにより、えんかのみやにいきをするよゆうができたのはこのときだった。)

太陽の出現により、淵下宮に息をする余裕ができたのはこの時だった。

(やみにちかく、ひかりをおそれるりゅうのこうけいしゃもほうらつなこうどうをできなくなった。)

闇に近く、光を恐れる龍の後継者も放埒な行動をできなくなった。

(それがひきがねとなり、りゅうのこうけいしゃがひとびとをしはいし、)

それが引き金となり、龍の後継者が人々を支配し、

(ひとのいのちをそまつにするじだいはしゅうえんをむかえた。)

人の命を粗末にする時代は終焉を迎えた。

(えんかのみやのたみたちはりゅうのこうけいしゃにあらがえるようになったのだ。)

淵下宮の民たちは龍の後継者に抗えるようになったのだ。

(しかし、このかくれたわざわいがこんぜつするまえに、ひとびとのくろいぶぶんがろていしてしまった。)

しかし、この隠れた災いが根絶する前に、人間の黒い部分が露呈してしまった。

(ひとびとはたいようのもうしごをせんしゅつし、かれをおうとしてあがめた。)

人々は「太陽の申し子」を選出し、彼を王として崇めた。

(だがかれはしんこうしゃたちをせいふくしじゅうりんしたのである。)

だが彼は信仰者を征服し蹂躙したのである。

(すうねんがたち、えんかのみやのあるしょうねんがなかまとかけをした。)

数年が経ち、淵下宮のある少年が仲間と賭けをした。

(たったひとりで、りゅうのこうけいしゃのこんせきをさけながら)

たった一人で、龍の後継者の痕跡を避けながら

(みすみのそとへもぐり、りゅうこつかをさがしにいったのだ。)

三隅の外へ潜り、龍骨花を探しに行ったのだ。

(しかし、かれはみたこともないようなだいじゃとどうくつでであった。)

しかし、彼は見たこともないような大蛇と洞窟で出会った。

(しょうねんはきょだいでぶきみなへびをみても、)

少年は巨大で不気味な蛇を見ても、

(なぜかこわさをかんじず、むしろしんきんかんをおぼえていた。)

なぜか怖さを感じず、むしろ親近感を覚えていた。

(われはじゃしんであり、いくひゃくいくせんのけんぞくをしたがえている、)

「我は蛇神であり、幾百幾千の眷属を従えている、」

(われのかげにすむしんこうしゃはひとりもいない。)

「我の影に住む信仰者は一人もいない。」

(きょうここにおちてなんじにであったのもひとつのえんであろう。)

「今日ここに落ちて汝に出会ったのも一つの縁であろう。」

(なんじはわれのたみではないが、それでもにんげんのこである。)

「汝は我の民ではないが、それでも人間の子である。」

(なにかのぞみがあればいうがよい。)

「何か望みがあれば言うがよい。」

(しんえんのそこにいるわれわれのかみになれるだろうか?)

「深淵の底にいる我々の神になれるだろうか?」

(こうしてたいようのもうしごがもつおうけんや)

こうして、太陽の申し子が持つ王権や

(りゅうのこうけいしゃのしんりゃくへとたちむかうこととなり、)

龍の後継者の侵略へと立ち向かうこととなり、

(ひととへびのものがたりがはじまるのであった。)

人と蛇の物語が始まるのであった。

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