意味がわかると怖い話 いないはずの男の子

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意味がわかると怖い話です。
「ゴールデンウイーク」に観ていた番組で「遺体発見から明日で12年」「殺害は発見の1時間前」と紹介されているということは、友田信広がこ〇されたのは12年前の5月ということです。語り手が「12年前の雛祭り」前後に遊んでいた相手が本当に友田信広ならば、彼女の家にいたのは「遊び相手が欲しくて彷徨っていた信広の霊」ではなく、「生きた信広」だったはずなのです。

 そして彼が誘拐されたのは「12年前の正月休み」ですから

語り手の父親は当時、妻の長期入院で経済的に緊迫していたと想像できます。彼はその頃、娘に「友達を家に連れてくるな」と厳命していました。

 語り手は、開けてはいけない記憶の扉に手をかけてしまったようです。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 モロ 5398 B++ 5.5 97.1% 686.7 3819 112 63 2024/10/27
2 a 4945 B 5.4 91.4% 700.5 3823 359 63 2024/10/06
3 daifuku 3523 D+ 3.8 92.4% 996.7 3822 310 63 2024/10/26
4 daifuku 3485 D 3.7 93.7% 1024.1 3824 255 63 2024/10/05

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問題文

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(こうこうにねんのなつやすみ。きゅうににわのものおきをせいりしようとおもいたったははを)

高校2年の夏休み。急に庭の物置を整理しようと思い立った母を

(てつだったときのことだ。えたいのしれないけんこうきぐのしたじきになって、)

手伝った時のことだ。得体のしれない健康器具の下敷きになって、

(おおきなきりばこがでてきた。はははなつかしそうにめをほそめ、)

大きな桐箱が出てきた。母は懐かしそうに目を細め、

(「ひなにんぎょうよ。むかしはまいとしかざってたんだけど、ぱぱがへんなこといって)

「雛人形よ。昔は毎年飾ってたんだけど、パパが変なこと言って

(かざるのをいやがってね。ぱぱったら・・・・・・」)

飾るのを嫌がってね。パパったら……」

(ははのはなしをききながしながらはこをはこびだし、あけてみる。)

母の話を聞き流しながら箱を運び出し、開けてみる。

(ひとえもつややかなおひなさまをてにとったとき、とうとつに「きおく」がよみがえった。)

単衣も艶やかなお雛様を手に取った時、唐突に「記憶」が蘇った。

(「・・・・・・ねえ、まま。うち、おとうといなかったっけ?」)

「……ねえ、ママ。うち、弟いなかったっけ?」

(りょうしんがしんしつにつかっているわしつ。おおきなひなかざり。)

両親が寝室に使っている和室。大きな雛飾り。

(へやのすみにあかいらんどせるがほうりだされているーー)

部屋の隅に赤いランドセルが放り出されているーー

(そう、しょうがっこうにあがったとしのことだ。わたしはうすぐらいわしつで、おとこのことあそんでいる。)

そう、小学校に上がった年のことだ。私は薄暗い和室で、男の子と遊んでいる。

(わたしはひとりっこ。そんなことはわかっている。)

私は一人っ子。そんなことは分かっている。

(でもわたしは「かれ」のなまえも、かおもおもいだしていた。)

でも私は「彼」の名前も、顔も思い出していた。

(「なにいってるの?」とこまったようにわらうははに、わたしはいいつのった。)

「何言ってるの?」と困ったように笑う母に、私は言い募った。

(「いたはずなの。のぶひろっておとこのこが」)

「いたはずなの。ノブヒロって男の子が」

(あるひにたまたまあそびにきたよそのこじゃない。かれはうちにすんでいた。)

ある日にたまたま遊びに来た他所の子じゃない。彼はうちに住んでいた。

(いっしょにひなまつりをいわった。ふたりでおふろにはいり、おなじふとんでねた。)

一緒に雛祭りを祝った。ふたりでお風呂に入り、同じ布団で寝た。

(ふたつしたのよんさいで、たまごぼーろがすきだったのぶひろ・・・・・・。)

ふたつ下の4歳で、卵ボーロが好きだったノブヒロ……。

(ただ、いつかれがいなくなったのかが、きりにかすんだみたいにおもいだせなかった。)

ただ、いつ彼がいなくなったのかが、霧にかすんだみたいに思い出せなかった。

(いっしょにいたのはいっしゅうかんほどだったきもするし、なんねんもくらしていた)

一緒にいたのは一週間ほどだった気もするし、何年も暮らしていた

など

(ようにもおもえてくる。ゆうしょくのせきでちちにもおなじはなしをして、こういわれた。)

ようにも思えてくる。夕食の席で父にも同じ話をして、こう言われた。

(「さきこがしょうがっこうにあがってさいしょのひなまつりってことは、かあさんがにゅういんしたころの)

「紗紀子が小学校に上がって最初の雛祭りってことは、母さんが入院してた頃の

(ことだろ?そんなときにともだちをとまりがけでよばせるなんてこともないしな。)

ことだろ? そんな時に友達を泊まりがけで呼ばせるなんてこともないしな。

(とうさん、おまえのせわでていっぱいだったから」)

父さん、お前の世話で手いっぱいだったから」

(そうだ、しょういちのとしのくれに、ははがくもまっかしゅっけつでたおれはんとしほどにゅういんしていたのだ)

そうだ、小1の年の暮れに、母がくも膜下出血で倒れ半年ほど入院していたのだ

(わたしはちちから、「いえにともだちをつれてきちゃいけないよ」ときつくいわれていた。)

私は父から、「家に友達を連れてきちゃいけないよ」ときつく言われていた。

(さいわいこういしょうものこらず、げんきなははとくらすうちにすっかりわすれていた。)

幸い後遺症も残らず、元気な母と暮らすうちにすっかり忘れていた。

(「いまじなりーふれんど、ってやつかもな」)

「イマジナリーフレンド、ってやつかもな」

(なんにちかたって、ちちがねっとでいろいろしらべてくれたらしいぷりんとをもってきた。)

何日か経って、父がネットで色々調べてくれたらしいプリントを持ってきた。

(ひとりきりでいるじかんがながいじどうにみられる「くうそうじょうのゆうじん」。)

ひとりきりでいる時間が長い児童に見られる「空想上の友人」。

(ほんにんにとってはつよいじつざいかんをともなうが、こどくがかいしょうされるときえることがおおい・・・・・・)

本人にとっては強い実在感を伴うが、孤独が解消されると消えることが多い……

(「そういえばあのころ、さきこがわしつでひとりでしゃべっているのをみたおぼえがあるよ)

「そういえばあの頃、紗紀子が和室でひとりで喋っているのを見た覚えがあるよ

(ままごとあそびだとおもってたが」)

ままごと遊びだと思ってたが」

(「ままのにゅういんちゅう、さみしいおもいさせちゃってごめんね、さきちゃん」)

「ママの入院中、寂しい想いさせちゃってごめんね、サキちゃん」

(しゃくぜんとしないものをかんじたがうまくことばにできなくて、)

釈然としないものを感じたがうまく言葉に出来なくて、

(それからふたりのまえでのぶひろのはなしはしていない。)

それからふたりの前でノブヒロの話はしていない。

(・・・・・・とないのだいがくにしんがくし、ひとりぐらしをはじめたごーるでんうぃーくのことだ。)

……都内の大学に進学し、独り暮らしを始めたゴールデンウイークのことだ。

(なにげなくつけていた「みかいけつじけんふぁいる」というてれびばんぐみで)

何気なく点けていた「未解決事件ファイル」というテレビ番組で

(とりあげられたようじのしゃしんにわたしのめはくぎづけになった。)

取り上げられた幼児の写真に私の目は釘付けになった。

(「のぶひろちゃんじけんでは、しょどうそうさのふてぎわがとわれました・・・・・・」)

『信広ちゃん事件では、初動捜査の不手際が問われました……』

(じゅうにねんまえのしょうがつやすみにおこったゆうかいさつじんじけん。げんばはじっかのりんけんだった。)

12年前の正月休みに起こった誘拐殺人事件。現場は実家の隣県だった。

(しさんかのむすこでとうじよんさいのともだのぶひろが、こうえんにあそびにいったきりしっそうした。)

資産家の息子で当時4歳の友田信広が、公園に遊びに行ったきり失踪した。

(よくじつ、みのしろきんをようきゅうするでんわがあるも、うけわたしにしっぱい。)

翌日、身代金を要求する電話があるも、受け渡しに失敗。

(そのご、したいでみつかったという。・・・・・・このてのじけんにありがちな)

その後、死体で見つかったという。……この手の事件にありがちな

(「みのしろきんようきゅうじてんですでにころされていた」けーすとちがい、)

「身代金要求時点で既に殺されていた」ケースと違い、

(しぼうすいていじこくははっけんの1じかんまえだとわかったため、ひがいしゃしぼうでほうどうきょうていがかいじょ)

死亡推定時刻は発見の1時間前だと分かったため、被害者死亡で報道協定が解除

(されると「たすけられたのではないか」とのひなんがけいさつにかずおおくよせられたそうだ)

されると「助けられたのではないか」との非難が警察に数多く寄せられたそうだ

(ひがいしゃとしてしょうかいされたしゃしんは、まちがいなく「かれ」だった。)

被害者として紹介された写真は、間違いなく「彼」だった。

(のぶひろというなまえ、じゅうにねんまえによんさいというとしまわりもぴったりだ。)

ノブヒロという名前、12年前に4歳という年回りもぴったりだ。

(ただ、じけんがおこったのはしょうがつだという。)

ただ、事件が起こったのは正月だという。

(じゃあ、わたしがいっしょにひなまつりをいわったのは・・・・・・。)

じゃあ、私が一緒に雛祭りを祝ったのは……。

(あのひ、ははがいっていたことをおもいだして、じっかにでんわした。)

あの日、母が言っていたことを思い出して、実家に電話した。

(「まま。うちがひなにんぎょうをかざらなくなったのはぱぱがいやがったからだっていってた)

「ママ。うちが雛人形を飾らなくなったのはパパが嫌がったからだって言ってた

(よね?ぱぱが、おばけをみたって」)

よね? パパが、おばけを見たって」

(「ええ。さきちゃんがしょうにのときのおせっくだったかしら。ひなかざりをだしてからまいばん)

『ええ。サキちゃんが小二の時のお節句だったかしら。雛飾りを出してから毎晩

(まくらもとにおとこのこがたつんだってぱぱがいいだして。だからあのとき、)

枕元に男の子が立つんだってパパが言い出して。だからあの時、

(さきちゃんに「うちにおとこのこがいた」っていわれてまま、びっくりしたのよ」)

サキちゃんに『うちに男の子がいた』って言われてママ、びっくりしたのよ』

(「・・・・・・ねえ、らいねんはおひなさま、かざろうよ」よんさいでころされてしまったあのこの)

「……ねえ、来年はお雛様、飾ろうよ」4歳で殺されてしまったあの子の

(れいは、あそびあいてがほしくてさまよっていたのだろう。)

霊は、遊び相手が欲しくて彷徨っていたのだろう。

(そして、ははがいなくてさみしがっていたわたしにであった。)

そして、母がいなくて寂しがっていた私に出会った。

(ひなにんぎょうをかざったら、またあえるかもしれない。)

雛人形を飾ったら、また会えるかもしれない。

(かれがすきだったたまごぼーろをいっぱいかってかえろう。)

彼が好きだった卵ボーロをいっぱい買って帰ろう。

(がめんにうつしだされたのぶひろのしゃしんをみながらそうおもった。)

画面に映し出されたノブヒロの写真を見ながらそう思った。

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