彩

(すききらい)

好き　嫌い

(はなびらでごまかすこいくらい)

花弁で誤魔化す　恋くらい

(ゆるしてください)

許してください

(ねえとおくあなたへちらせる)

ねえ　遠く　あなたへ散らせる

(このおもいはくちなしいろ)

この想いは　梔子色

(ないてよおもってよ)

泣いてよ　想ってよ

(とどかないかなわない)

届かない叶わない

(ほほをなでては)

頬を撫でては

(すぎさりゆくこいだとしても)

過ぎ去りゆく　恋だとしても

(ふくらんではじけたあかいかじつを)

膨らんで弾けた赤い果実を

(はんぶんこあるいたかえりみち)

半分こ　歩いた帰り道

(へいじょうのみやこまでとおいとおいゆめ)

平城の都まで　遠い遠い夢

(うそついてかくしてまつりのあと)

噓ついて隠して　祭りの後

(うるしのみずさしでそそぎましょ)

漆の水差しでそそぎましょ

(こんるりはくるりのるのつぎ)

紺瑠璃白瑠璃の瑠璃杯

(かいざいくかがみがうつしだすのは)

貝細工鏡が映し出すのは

(ごげんびわのねなりひびいたきぬのみち)

五弦琵琶の音　鳴り響いた絹の道

(ねえまた)

ねえ　また

(はなびらでごまかすこいなら)

花弁で誤魔化す　恋なら

(すててください)

捨ててください

(ああとおくあなたへさかせる)

ああ　遠く　あなたへ咲かせる

(このおもいはくれないいろ)

この想いは　紅色

(よんでようたってよ)

詠んでよ歌ってよ

(とどかないかなわない)

届かない　叶わない

(そでぬらしては)

袖濡らしては

(かわかぬままこがれるだけ)

かわかぬまま　焦がれるだけ

(よりそってかわしたあまいあまいみつ)

寄り添って交わした　甘い甘い密

(よあけおとずれてかよいみち)

夜明け訪れて　通い道

(へいあんのみやこまであわいあわいゆめ)

平安の都まで　淡い淡い夢

(どこかかくしておもいだせない)

何処か隠して思い出せない

(かいがらたきものであそびましょ)

貝殻　薫物で遊びましょ

(かなもじにのせてつづるおもい)

仮名文字に乗せて綴る想い

(じゅうにひとえからいろあざやかただようのは)

十二単から色鮮やか漂うのは

(きょうにふいたくにのかぜ)

京に吹いた国の風

(うつろってながれて)

うつろって　流れて

(みじかいこいじも)

短い恋路も

(さめてくずれてはかなきゆめ)

醒めて崩れて儚き夢

(きみをけしたはなだいろ)

君を消した　縹色

(すききらい)

好き　嫌い

(すれちがうかおり)

すれ違う薫り

(おもいちがいかすむいろ)

思い違い？　霞む色

(そうほらこころをわらうのは)

そう　ほら　心を嘲笑うのは

(つめたいいざよい)

冷たい　十六夜

(かなたへおもいをなげれば)

彼方へ　想いを投げれば

(いろづくもえぎいろ)

色付く　萌黄色

(いくとせまちわびてかれて)

幾年　待ち侘びて涸れて

(このおもいはあおにびいろ)

この想いは　青鈍色

(よんでもおもっても)

詠んでも想っても

(ないてもうたっても)

泣いても歌っても

(ゆめうたかたに)

夢　泡沫に

(そだたないならかれゆくなら)

育たないなら　枯れゆくなら

(みのらないようにめばえないように)

実らないように　芽生えないように

(ふくらんではじけた)

膨らんで弾けた

(あまいあまいみつ)

甘い甘い密

(あのひいまよういろの)

あの日　今様色の

(ふたりのかげ)

二人の影