howl8

(ほんとうのとしにもどしてあげただけです。もうまりょくはありません)

本当の年に戻してあげただけです。もう魔力はありません

(そのひともむかしは、とてもすばらしいまほうつかいでした)

その人も昔は、とても素晴らしい魔法使いでした

(あくまととりひきをして、ながいあいだにみもこころもくいつくされてしまったのです)

悪魔と取引をして、長い間に身も心も食い尽くされてしまったのです

(いま、おうこくはいかがわしいまほうつかいやまじょをのばなしにはできません)

今、王国はいかがわしい魔法使いや魔女を野放しにはできません

(はうるがここへきて、おうこくのためにつくすなら、あくまとてをきるほうほうをおしえます)

ハウルがここへ来て、王国のために尽くすなら、悪魔と手を切る方法を教えます

(こないならちからをうばいとります。そのおんなのように)

来ないなら力を奪い取ります。その女のように

(おことばですが！はうるがなぜここへきたがらないのか、わかりました)

お言葉ですが！ハウルがなぜここへ来たがらないのか、分かりました

(ここはへんです)

ここは変です

(まねいておきながらとしよりにかいだんをのぼらせたり、へんなへやにつれこんだり)

招いておきながら年寄りに会談を登らせたり、変な部屋に連れ込んだり

(まるでわなだわ)

まるで罠だわ

(はうるにこころがないですって？)

ハウルに心がないですって？

(たしかに、わがままでおくびょうで、なにをかんがえているかわからないわ)

確かに、わがままで臆病で、何を考えているか分からないわ

(でもあのひとはまっすぐよ。じゆうにいきたいだけ)

でもあの人はまっすぐよ。自由に生きたいだけ

(はうるはきません。まおうにもなりません)

ハウルは来ません。魔王にもなりません

(あくまとのことは、きっとじぶんでなんとかします。わたしはそうしんじます！)

悪魔とのことは、きっと自分でなんとかします。私はそう信じます！

(おかあさま、はうるにこいしてるのね)

お母様、ハウルに恋してるのね

(はっ！)

はっ！

(はうる！はうるがくるのかい？ほしいよ、はうるのしんぞうがほしい)

ハウル！ハウルが来るのかい？欲しいよ、ハウルの心臓が欲しい

(あんたいいかげんにしなさい！はうるはこないのよ！)

あんたいい加減にしなさい！ハウルは来ないのよ！

(はうるはきますよ。はうるのじゃくてんもみつかったわ)

ハウルは来ますよ。ハウルの弱点も見つかったわ

(おうへいか)

王陛下

(いや、そのまま。どうだ、からだのぐあいは？)

いや、そのまま。どうだ、体の具合は？

(おそれいります)

恐れ入ります

(かいぎはつまらぬ。いきぬきにひととびしてきたのだ)

会議はつまらぬ。息抜きにひと飛びしてきたのだ

(それはそれは)

それはそれは

(このものたちは？)

この者たちは？

(まほうつかいはうるのははぎみです)

魔法使いハウルの母君です

(おお)

おお

(せっかくだがな、わたしはまほうでいくさにかとうとはおもわんのだ)

せっかくだがな、私は魔法で戦に勝とうとは思わんのだ

(たしかに、このおうきゅうにはさりまんのちからでてきのばくだんはあたらない)

確かに、この王宮にはサリマンの力で敵の爆弾は当たらない

(そのかわり、まわりのまちにおちるのだ)

その代わり、周りの街に落ちるのだ

(まほうとはそういうものだ。なあ、さりまん)

魔法とはそういうものだ。なあ、サリマン

(きょうのへいかはのうべんですこと)

今日の陛下は能弁ですこと

(さーりまん！)

サーリマン！

(えっ？ええっ！？)

えっ？ええっ！？

(いよいよけっせんだぞ！こんどこそたたきのめしてやる！お？)

いよいよ決戦だぞ！今度こそ叩きのめしてやる！お？

(はっはははは、さりまん、こんどのかげむしゃはよくできてるな！いいしらせをまて！)

はっはははは、サリマン、今度の影武者はよくできてるな！いい知らせを待て！

(おそれいります)

恐れ入ります

(しょうぐんたちはあつまったか！？)

将軍たちは集まったか！？

(はい！)

はい！

(はうる、ひさしぶりね)

ハウル、久しぶりね

(せんせいもおげんきそうでなによりです)

先生もお元気そうで何よりです

(はじめからわかっていましたよ)

初めから分かっていましたよ

(ちかいはまもりました。せんせいとたたかいたくありません。ははをつれていきます)

誓いは守りました。先生と戦いたくありません。母を連れていきます

(にがしませんよ)

逃がしませんよ

(したをみないで。すごいちからだ)

下を見ないで。すごい力だ

(おかあさまにそなたのしょうたいをみせてあげよう)

お母様にそなたの正体を見せてあげよう

(はうるだめ！わなよ！)

ハウルだめ！罠よ！

(つかまって！そふぃー、まえへうつれ！あーあ、そふぃーがみんなつれてきちゃったなあ)

掴まって！ソフィー、前へ移れ！あーあ、ソフィーが皆連れて来ちゃったなあ

(わんちゃん)

わんちゃん

(ひん、あんたはさりまんのまわしものでしょ)

ヒン、あんたはサリマンの回し者でしょ

(しょうがないわねえ、いまさらおろせないじゃない)

しょうがないわねえ、今更おろせないじゃない

(そふぃー、かじをとれ)

ソフィー、舵を取れ

(えー、できないわよそんなこと！)

えー、できないわよそんなこと！

(おいかけてきた！)

追いかけてきた！

(え？)

え？

(ぼくがあいてをする。そふぃーはこのままあれちのしろまでとぶんだ)

僕が相手をする。ソフィーはこのまま荒れ地の城まで飛ぶんだ

(えー、そんなのむりよ！)

えー、そんなの無理よ！

(だいじょうぶ、ほうこうはゆびわがおしえてくれる。かるしふぁーをこころのなかでよぶんだ)

大丈夫、方向は指輪が教えてくれる。カルシファーを心の中で呼ぶんだ

(かるしふぁーを？)

カルシファーを？

(ひかりのさすほうへとべばいいんだ。よるにはつく)

光の指す方へ飛べばいいんだ。夜には着く

(なによ！はうるがくるならわたしがくることなかったのよ！)

なによ！ハウルが来るなら私が来ることなかったのよ！

(そふぃーがいるとおもうからいけたんだ)

ソフィーがいると思うからいけたんだ

(あんなこわいひとのところへひとりでいけるもんか)

あんな怖い人のところへ一人で行けるもんか

(おかげでたすかった。さっきはほんとうにあぶなかったんだ)

おかげで助かった。さっきは本当に危なかったんだ

(あああ、はなさないで、きゃあ！うわわわ！)

あああ、離さないで、きゃあ！うわわわ！

(うまいじゃないか！)

上手いじゃないか！

(どこが！)

どこが！

(ちょっとひきはなした。５ふんかんだけみえなくするから、そのあいだにいきなさい)

ちょっと引き離した。５分間だけ見えなくするから、その間に行きなさい

(うーわわわ！はうるー！)

うーわわわ！ハウルー！

(いえ、いらないわ。はい、ありがとう)

いえ、いらないわ。はい、ありがとう

(ひさしぶりにわくわくしたわ。はうるはにげたつもりでしょうけど)

久しぶりにわくわくしたわ。ハウルは逃げたつもりでしょうけど

(ふふ、ずいぶんわかいおかあさまだったこと)

ふふ、ずいぶん若いお母様だったこと

(ん？もうすぐよ、わたしのうまれたまちだわ)

ん？もうすぐよ、私の生まれた街だわ

(ひん！)

ヒン！

(なれなれしくしないで、あんたはしんようしてないからね)

馴れ馴れしくしないで、あんたは信用してないからね

(おしろだわ、むかえにきてくれた！)

お城だわ、迎えに来てくれた！

(そーふぃー！)

ソーフィー！

(まるくるたいへん、あたしとめかたしらないのー！)

マルクル大変、あたし止め方知らないのー！