はじまりさえ歌えない

(ふとめをとじればあすふぁるとのみちばたに)

ふと目を閉じれば　アスファルトの道端に

(うずくまりたそがれのかげにてをのばしなにかもとめてた)

うずくまり黄昏の影に手を伸ばし何か求めてた

(ほこりだらけのびるでぃんぐういすきーのにおいがするよ)

埃りだらけのビルディング　ウイスキーの匂いがするよ

(おれのこころのなかにはもとめるものがひとつもうつらないよ)

俺の心の中には　求めるものがひとつも映らないよ

(きみのひくぴあのまだおぼつかない)

君の弾くピアノ　まだ覚束ない

(しげきのつよすぎるこのまちではこころがにぶくなってゆくよ)

刺激の強すぎるこの街では心が鈍くなってゆくよ

(きみをだきしめはなしたくない)

君を抱きしめ離したくない

(あいのひかりをともしつづけたい)

愛の光をともし続けたい

(からからにかわいたのどへたばるまではしるのかい)

カラカラに乾いた喉　へたばるまで走るのかい

(ひとりぼっちのあせはだれのめにもとまらない)

ひとりぼっちの汗は　誰の眼にもとまらない

(むしあついそうこのなかで３０ぷんのきゅうけいをとり)

蒸し暑い倉庫の中で30分の休憩をとり

(つめこむだけのめしをたべてとどかないまどにてをのばしている)

つめ込むだけのメシを食べて届かない窓に手を伸ばしている

(なけなしのかねのためのあるばいと)

なけなしの金のためのアルバイト

(たのしくやるにはこのまちではかねだけがたよりだよ)

楽しくやるにはこの街では金だけがたよりだよ

(きみのためならしねるさきっと)

君のためなら死ねるさ　きっと

(あいこそすべてだとおれはしんじてる)

愛こそすべてだと俺は信じてる

(このまちじゃおれたちまだまだせけんしらずさ)

この街じゃ俺達まだまだ世間知らずさ

(じょうねつはからまわりのつかみどころのないかげ)

情熱は空回りの把みどころのない影

(はしりだしてはいつもろとうにまよいこんで)

走り出してはいつも路頭に迷い込んで

(つかむものもなにもなくてはじまりさえうたえないおれがいる)

把むものも何もなくて　はじまりさえ歌えない俺がいる

(たどりつくといつもさいしゅうのでんしゃ)

辿り着くといつも最終の電車

(よいどれのひとりごとはこのまちではよくぼうにくずれてゆく)

酔いどれのひとり言はこの街では欲望に崩れてゆく

(このまちからきみをまもりたい)

この街から君を守りたい

(あいのひかりをともしつづけたい)

愛の光をともし続けたい

(きみをだきしめはなしたくない)

君を抱きしめ離したくない

(あいのひかりをともしつづけたい)

愛の光をともし続けたい