DUGOUT/RADWIMPS

(ははのはらをさいてまででてきたこのしゃばこのせかいに)

母の腹を裂いてまで出てきたこの娑婆この世界に

(ははのいたみにみあうだけのいみをいぎをのこせるきもしなくて)

母の痛みに見合うだけの 意味を意義を遺せる気もしなくて

(おなかのへそのおがとれたときからもうひとはみんなまいご)

お腹のへその緒がとれた時からもう人は皆迷子

(たとえていうならそれはまるでひものとれたたこがそらにはばたくよう)

喩えて言うならそれはまるで紐のとれた凧が空に羽ばたく様

(さいきんよくもどりたくなるよさんどうとおってかえりたくなるよ)

最近よく戻りたくなるよ 産道通って還りたくなるよ

(でっかくなってもどってきたよといって)

でっかくなって戻って来たよと言って

(さがしたっていばしょはないよそんなもんどこにもない)

探したって居場所はないよ そんなもんどこにもない

(ここにあるのはみわたすかぎりのうちゅうだけ)

ここにあるのは見渡す限りの宇宙だけ

(このこうだいなせかいのまんなかにこのちいさなしゃかいのすみっこに)

この広大な世界の真ん中に この小さな社会の隅っこに

(おきざりにされたこのみのやりばをしるすべもなくて)

置き去りにされたこの身のやり場を知る術もなくて

(まいごとまいごがすれちがうたびひとつまたひとつとみちはふえて)

迷子と迷子が擦れ違うたび一つ また一つと道は増えて

(いりくんでゆくだけのめいろをだれかがふとせかいとよんでみたんだ)

入り組んでゆくだけの迷路を誰かがふと世界と呼んでみたんだ

(あっちいこうよこっちにいこうよ)

「あっち行こうよ」「こっちに行こうよ」

(あっちいけよこっちくるなよ)

「あっち行けよ こっち来るなよ」

(それならばあっちにいこうよねぇそうしようよ)

「それならばあっちに行こうよ ねぇそうしようよ」

(どっちにいこうとふくろこうじみつかりっこないひろこうじ)

どっちに行こうと袋小路 見つかりっこない広小路

(うしろふりかえればはてのないれきしが)

後ろ振り返れば果てのない歴史が

(つみあがったさいげつのせんとうにくちてゆくじだいのさいこうびに)

積み上がった歳月の先頭に 朽ちてゆく時代の最後尾に

(おきわすれられたこのみのふりかたしるすべもなくて)

置き忘れられたこの身の振り方 知る術もなくて

(まいごがだしたこたえのかずだけみちができた)

迷子が出した答えの数だけ道が出来た

(みちがまじったとこにいさかいがうまれたんだ)

道が混じったとこに諍いが生まれたんだ

(いつだってしょうしゃののこしたことばがれきしになった)

いつだって勝者の遺した言葉が歴史になった

(そうぼくみたいなはいしゃがのこしたことばなんか)

そう僕みたいな敗者が残した言葉なんか

(けむにまかれてゆくながれてゆくほうむられてゆく)

けむに巻かれてゆく 流れてゆく 葬られてゆく

(まいにちなにかをたべてまでしがみついているこのせかいに)

毎日何かを食べてまで しがみついているこの世界に

(あやめたいのちにみあうだけのかちがいみが)

殺めた命に見合うだけの価値が意味が

(あるとはとうていおもえるはずもなくて)

あるとは到底思えるはずもなくて

(こえてきたひびゆらいだとて)

超えてきた日々揺らいだとて

(たてたちかいがあすをとざしたとて)

建てた誓いが明日を閉ざしたとて

(なぐさめだろうかばつなのかときはながれをはやめるの)

慰めだろうか 罰なのか 時は流れを速めるの

(なにいわれようがそのてそのあししばられようが)

何言われようが その手その脚縛られようが

(そのあしがむいたほうがいつなんときだってまえになんだ)

その脚が向いた方が いつ何時だって前になんだ

(まえならえっていわれようがきづいたらばびりになっていようが)

前倣えって言われようが 気づいたらばビリになっていようが

(うしろふりかえってみりゃほらせんとうにぶっちぎってたってるんだ)

後ろ振り返ってみりゃ ほら先頭にブッチギって立ってるんだ