風時計

(いきをすってはきだしたことばも)

息を吸って吐き出した言葉も

(もういらないなきっとしまいこんできみをまつ)

もう要らないなきっと 仕舞い込んで君を待つ

(いまもずっとしんじられないな)

今もずっと信じられないな

(あのひいらいのときのながれがはやいから)

あの日以来の時の流れが速いから

(そまっていくこのはのようにひらひらながれていった)

染まっていく木の葉のように ひらひら流れていった

(ひとつふたつなきだしたそらにただひきとめられている)

一つ二つ泣き出した空に ただ引き留められている

(かそくするかぜこのせつなをとりこぼさないようにずっと)

加速する風 この刹那を取り零さないように ずっと

(うつりかわるそらこのまちをあらいさらいゆくとおりあめ)

移り変わる空 この街を洗い浚いゆく通り雨

(むかいかぜにうくぼうしがとばないようにつかんだまま)

向かい風に浮く帽子が 飛ばないように掴んだまま

(ながれすぎるときかぜのようにさからえないからどうせならさ)

流れ過ぎる時 風のように逆らえないからどうせならさ

(おもうままにながしていくって)

思うままに流していくって

(まだひとりきりそうぞうもできずに)

まだ独りきり 想像も出来ずに

(またとおざかっていってしまうあるけばあるくほど)

また遠ざかっていってしまう 歩けば歩くほど

(せいかいもぜんぶいらないからそのときまで)

正解も全部要らないからその時まで

(あらがっていたいとおもってもそれをのぞまないこと)

抗っていたいと思っても それを望まないこと

(それでまだつながっていたんだ)

それでまだ繋がっていたんだ

(うつりかわるそらこのまちをあらいさらいゆくとおりあめ)

移り変わる空 この街を洗い浚いゆく通り雨

(たえまなくいくせかいをわるくないなんておもってしまう)

絶え間なく行く世界を 悪くないなんて思ってしまう

(かたちもないようなきょうのなかをいきさきもいみもわからないで)

形もないような今日の中を 行き先も意味も分からないで

(ねがうだけはあるいてみたいんだ)

願うだけは歩いてみたいんだ

(もうこれからをくやまないようにさ)

もうこれからを悔やまないようにさ