実験用3
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問題文
(じぶんはそれからにわへおりて、しんじゅがいであなをほった。)
自分はそれから庭へ下りて、真珠貝で穴を掘った。
(しんじゅがいはおおきななめらかなふちのするどいかいであった。)
真珠貝は大きな滑かな縁の鋭どい貝であった。
(つちをすくうたびに、かいのうらにつきのひかりがさしてきらきらした。)
土をすくうたびに、貝の裏に月の光が差してきらきらした。
(しめったつちのにおいもした。あなはしばらくしてほれた。おんなをそのなかにいれた。)
湿った土の匂もした。穴はしばらくして掘れた。女をその中に入れた。
(そうしてやわらかいつちを、うえからそっとかけた。)
そうして柔らかい土を、上からそっと掛けた。
(かけるたびにしんじゅがいのうらにつきのひかりがさした。)
掛けるたびに真珠貝の裏に月の光が差した。
(それからほしのかけのおちたのをひろってきて、かろくつちのうえへのせた。)
それから星の破片の落ちたのを拾って来て、かろく土の上へ乗せた。
(ほしのかけはまるかった。)
星の破片は丸かった。
(ながいあいだおおぞらをおちているまに、かどがとれてなめらかになったんだろうとおもった。)
長い間大空を落ちている間に、角が取れて滑かになったんだろうと思った。
(だきあげてつちのうえへおくうちに、じぶんのむねとてがすこしあたたかくなった。)
抱き上げて土の上へ置くうちに、自分の胸と手が少し暖くなった。
(じぶんはこけのうえにすわった。)
自分は苔の上に坐った。
(これからひゃくねんのあいだこうしてまっているんだなとかんがえながら、)
これから百年の間こうして待っているんだなと考えながら、
(うでぐみをして、まるいはかいしをながめていた。)
腕組をして、丸い墓石を眺めていた。
(そのうちに、おんなのいったとおりひがひがしからでた。)
そのうちに、女の云った通り日が東から出た。
(おおきなあかいひであった。)
大きな赤い日であった。
(それがまたおんなのいったとおり、やがてにしへおちた。)
それがまた女の云った通り、やがて西へ落ちた。
(あかいまんまでのっとおちていった。ひとつとじぶんはかんじょうした。)
赤いまんまでのっと落ちて行った。一つと自分は勘定した。