よその子

(あたたかなあかりがともるちいさないえのまどのそとに)

温かな明かりがともる　小さな家の窓の外に

(きみはたたずみのぞきこんでるささやかなかぞくのゆうげ)

君は佇み覗きこんでる　ささやかな家族の夕餉

(ちちとははとふたりのこどもわずかなすきまそのすきまに)

父と母と二人の子供　わずかな隙間その隙間に

(きみはどんなにすわりたいだろうとざされたかぞくのじかん)

君はどんなに座りたいだろう　閉ざされた家族の時間

(だれかいるよゆびさすおとうとふりむくちちとははとあねと)

「誰かいるよ」指さす弟　振り向く父と母と姉と

(けっしてあかないがらすのむこうよびかけるこえはくぐもる)

決してあかないガラスの向こう　呼びかける声はくぐもる

(どうしたのどこからきたのはやくおかえりうちへおかえり)

どうしたの　何処から来たの　早くお帰り　うちへお帰り

(うなずいてあるきだすきみひぐれのみちをかげになって)

うなずいて歩き出す君　日暮れの道を影になって

(たどりつくのはまたべつのいえのぞきこむかぞくのじかん)

たどり着くのは　また別の家　覗きこむ家族の時間

(きみはよそのこどこにいてもきみはよそのこだれといても)

君はよその子　何処にいても　君はよその子　誰といても

(あんなになかよくあそんだあとかえるともだちのせなかをみてる)

あんなに仲良く遊んだあと　帰る友達の背中を見てる

(おかのうえからみおろすまちはいくつものいえいくつものまど)

丘の上から見おろす町は　いくつもの家いくつもの窓

(すべてのまどはあかないまどだそういってきみはないたよ)

全ての窓はあかない窓だ　そう言って君は泣いたよ

(もえあがるあかいゆうやけまちをやきつくせあとかたもなく)

燃え上がる赤い夕焼け　町を焼き尽くせ跡形もなく

(きみのゆめはなみだにゆがむさびしいかげがせかいになる)

君の夢は涙に歪む　寂しい影が世界になる

(きみはげんえいのやけあとをみるやけこげたきみのこころを)

君は幻影の焼け跡を見る　焼け焦げた君の心を

(きみはよそのこははにあこがれきみはよそのこははをにくんだ)

君はよその子　母に憧れ　君はよその子　母を憎んだ

(はてしないたびのはじまりはもうおもいだせないきおくのかなた)

果てしない旅の始まりは　もう思い出せない記憶の彼方

(それでもぼくはすべてのいえのすべてのひとのしあわせを)

それでも僕は全ての家の　全ての人の幸せを

(いのれるくらいにつよいこころをつよいこころをぼくはもちたい)

祈れるくらいに強い心を　強い心を僕は持ちたい

(くものなかきょだいなひとがきょだいなうでをそらにひろげた)

雲の中　巨大な人が　巨大な腕を空にひろげた

(きみをこがすあついほのおはいつかあたたかなひかりになる)

君を焦がす熱い炎は　いつか温かな光になる

(こころつつむゆうやけまんとだきしめたきみのいのちを)

心つつむ夕焼けマント　抱きしめた君の命を

(おかのうえからみおろすまちのひとつのいえのまどがひらいた)

丘の上から見おろす町の　ひとつの家の窓が開いた

(やがてまたひとつそしてまたひとつつぎつぎとまどがひらいた)

やがて又ひとつ　そして又ひとつ　次々と窓が開いた

(ここからみえるすべてのいえのすべてのひとのしあわせを)

ここから見える全ての家の　全ての人の幸せを

(いのれるくらいにつよいこころをつよいこころをぼくはもちたい)

祈れるくらいに強い心を　強い心を　僕は持ちたい

(ここからみえないすべてのいえのすべてのひとのしあわせを)

ここから見えない全ての家の　全ての人の幸せを

(いのれるくらいにつよいこころをつよいこころをぼくはもちたい)

祈れるくらいに強い心を　強い心を　僕は持ちたい

(きみはよそのこうちゅうのこどもすべてのいえのまどをひらくよ)

君はよその子　宇宙の子供　全ての家の窓を開くよ

(きみはよそのこわたしのこどもとざしたこころのまどをひらくよ)

君はよその子　私の子供　閉ざした心の窓を開くよ