夏目漱石「こころ」2-13

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投稿者投稿者たけしいいね0お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」2-13
(中)両親と私
こっちゃん様が(上)の方を上げて下さっていたものの続きでございます。
タイピングを投稿するのは初めてですので、誤字脱字等ありましたらご連絡何卒宜しくお願い致します。

こっちゃん様による(上)
https://typing.twi1.me/profile/userId/86231

今回は変なところで切り上げておりますが、ご容赦ください。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7793 7.9 97.9% 274.2 2182 45 42 2024/04/04
2 subaru 7752 8.1 95.3% 269.2 2195 108 42 2024/03/14
3 HAKU 7725 8.0 95.7% 272.6 2204 98 42 2024/03/20
4 □「いいね」する 7446 7.7 95.8% 282.4 2199 96 42 2024/03/19
5 ヤス 7112 7.5 94.9% 293.3 2204 118 42 2024/03/16

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問題文

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(わたくしはすわったままこしをうかしたときのおちつかないきぶんで、またさんよっかすごした。)

私は坐ったまま腰を浮かした時の落付かない気分で、又三四日過ごした。

(するとちちがまたそっとうした。いしゃはぜったいにあんがをめいじた。)

すると父が又卒倒した。医者は絶対に安臥を命じた。

(「どうしたものだろうね」とははがちちにきこえないようなちいさなこえでわたくしにいった。)

「どうしたものだろうね」と母が父に聞こえないような小さな声で私に云った。

(ははのかおはいかにもこころぼそそうであった。)

母の顔は如何にも心細そうであった。

(わたくしはあにといもうとにでんぽうをうつよういをした。)

私は兄と妹に電報を打つ用意をした。

(けれどもねているちちにはほとんどなんのくもんもなかった。)

けれども寝ている父には殆んど何の苦悶もなかった。

(はなしをするところなどをみると、かぜでもひいたときとまったくおなじことであった。)

話をするところなどを見ると、風邪でも引いた時と全く同じ事であった。

(そのうえしょくよくはふだんよりもすすんだ。)

その上食慾は不断よりも進んだ。

(はたのものが、ちゅういしてもよういにいうことをきかなかった。)

傍のものが、注意しても容易に云う事を聞かなかった。

(「どうせしぬんだから、うまいものでもくってしななくっちゃ」)

「どうせ死ぬんだから、旨いものでも食って死ななくっちゃ」

(わたくしにはうまいものというちちのことばがこっけいにもひさんにもきこえた。)

私には旨いものという父の言葉が滑稽にも悲酸にも聞こえた。

(ちちはうまいものをくちにいれられるみやこにはすんでいなかったのである。)

父は旨いものを口に入れられる都には住んでいなかったのである。

(よにいってかきもちなどをやいてもらってぼりぼりかんだ。)

夜に入ってかき餅などを焼いて貰ってぼりぼり噛んだ。

(「どうしてこうかわくのかね。)

「どうしてこう渇くのかね。

(やっぱりしんにじょうぶのところがあるのかもしれないよ」)

やっぱり心に丈夫のところがあるのかも知れないよ」

(はははしつぼうしていいところにかえってたのみをおいた。)

母は失望していいところに却って頼みを置いた。

(そのくせびょうきのときにしかつかわないかわくというむかしふうのことばを、)

その癖病気の時にしか使わない渇くという昔風の言葉を、

(なんでもたべたがるいみにもちいていた。)

何でも食べたがる意味に用いていた。

(おじがみまいにきたとき、ちちはいつまでもひきとめてかえさなかった。)

伯父が見舞に来たとき、父は何時までも引き留めて帰さなかった。

(さむしいからもっといてくれというのがおもなりゆうであったが、)

淋しいからもっと居てくれというのが重な理由であったが、

など

(ははやわたくしが、たべたいだけものをたべさせない)

母や私が、食べたいだけ物を食べさせない

(というふへいをうったえるのも、そのもくてきのひとつであったらしい。)

という不平を訴たえるのも、その目的の一つであったらしい。

(じゅう)

(ちちのびょうきはおなじようなじょうたいでいっしゅうかんいじょうつづいた。)

父の病気は同じような状態で一週間以上つづいた。

(わたくしはそのあいだにながいてがみをきゅうしゅうにいるあにあてでだした。いもうとへはははからださせた。)

私はその間に長い手紙を九州にいる兄宛で出した。妹へは母から出させた。

(わたくしははらのなかで、)

私は腹の中で、

(おそらくこれがちちのけんこうにかんしてふたりへやるさいごのたよりだろうとおもった。)

恐らくこれが父の健康に関して二人へ遣る最後の音信だろうと思った。

(それでりょうほうへ)

それで両方へ

(いよいよというばあいにはでんぽうをうつからでてこいといういみをかきこめた。)

愈という場合には電報を打つから出て来いという意味を書き込めた。

(あにはいそがしいしょくにいた。いもうとはにんしんちゅうであった。)

兄は忙がしい職にいた。妹は妊娠中であった。

(だからちちのきけんがめのまえにせまらないうちによびよせるじゆうはきかなかった。)

だから父の危険が眼の前に逼らないうちに呼び寄せる自由は利かなかった。

(といって、せっかくつごうしてきたにはきたが、)

と云って、折角都合して来たには来たが、

(まにあわなかったといわれるのもつらかった。)

間に合わなかったと云われるのも辛かった。

(わたくしはでんぽうをかけるじきについて、ひとのしらないせきにんをかんじた。)

私は電報を掛ける時機について、人の知らない責任を感じた。

(「そうはっきりしたことになるとわたくしにもわかりません。)

「そう判然りした事になると私にも分りません。

(しかしきけんはいつくるかわからないということだけはしょうちしていてください」)

然し危険は何時来るか分らないという事だけは承知していて下さい」

(すてーしょんのあるまちからむかえたいしゃはわたくしにこういった。)

停車場のある町から迎えた医者は私にこういった。

(わたくしはははとそうだんして、そのいしゃのしゅうせんで、)

私は母と相談して、その医者の周旋で、

(まちのびょういんからかんごふをひとりたのむことにした。)

町の病院から看護婦を一人頼む事にした。

(ちちはまくらもとへきてあいさつするしろいふくをきたおんなをみてへんなかおをした。)

父は枕元へ来て挨拶する白い服を着た女を見て変な顔をした。

(ちちはしびょうにかかっていることをとうからじかくしていた。)

父は死病に罹っている事をとうから自覚していた。

(それでいて、がんぜんにせまりつつあるしそのものにはきがつかなかった。)

それでいて、眼前にせまりつつある死そのものには気が付かなかった。

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