夏目漱石「こころ」3-1

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夏目漱石「こころ」3-1
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
14:煩らっていた(わずらっていた)
18:馳足(かけあし)
34:無躾(ぶしつけ)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 逆立ち 6476 S 6.5 98.1% 283.5 1871 35 37 2024/06/06
2 すもさん 5742 A 6.1 93.5% 313.8 1936 134 37 2024/06/11
3 もっちゃん先生 4970 B 5.2 94.5% 354.5 1870 108 37 2024/04/20
4 レイコ 4533 C++ 4.6 97.0% 398.8 1865 57 37 2024/05/05
5 りつ 4113 C 4.3 95.4% 440.0 1901 91 37 2024/06/06

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問題文

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(いち)

(「・・・・・・わたくしはこのなつあなたからにさんどてがみをうけとりました。)

「……私はこの夏あなたから二三度手紙を受け取りました。

(とうきょうでそうとうのちいをえたいからよろしくたのむとかいてあったのは、)

東京で相当の地位を得たいから宜しく頼むと書いてあったのは、

(たしかにどめにてにはいったものときおくしています。)

たしか二度目に手に入ったものと記憶しています。

(わたくしはそれをよんだときなんとかしたいとおもったのです。)

私はそれを読んだ時何とかしたいと思ったのです。

(すくなくともへんじをあげなければすまんとはかんがえたのです。)

少なくとも返事を上げなければ済まんとは考えたのです。

(しかしじはくすると、)

然し自白すると、

(わたくしはあなたのいらいにたいして、まるでどりょくをしなかったのです。)

私はあなたの依頼に対して、まるで努力をしなかったのです。

(ごしょうちのとおり、こうさいくいきのせまいというよりも、)

御承知の通り、交際区域の狭いというよりも、

(よのなかにたったひとりでくらしているといったほうがてきせつなくらいのわたくしには、)

世の中にたった一人で暮しているといった方が適切な位の私には、

(そういうどりょくをあえてするよちがまったくないのです。)

そういう努力を敢てする余地が全くないのです。

(しかしそれはもんだいではありません。)

然しそれは問題ではありません。

(じつをいうと、わたくしはこのじぶんをどうすればよいのかと)

実をいうと、私はこの自分をどうすれば好いのかと

(おもいわずらっていたところなのです。)

思い煩らっていたところなのです。

(このままにんげんのなかにとりのこされたみいらのようにそんざいしていこうか、)

このまま人間の中に取り残されたミイラの様に存在して行こうか、

(それとも・・・・・・そのじぶんのわたくしは「それとも」ということばをこころのうちで)

それとも……その時分の私は『それとも』という言葉を心のうちで

(くりかえすたびにぞっとしました。)

繰り返すたびにぞっとしました。

(かけあしでぜっぺきのはじまできて、きゅうにそこのみえないたにをのぞきこんだひとのように。)

馳足で絶壁の端まで来て、急に底の見えない谷を覗き込んだ人のように。

(わたくしはひきょうでした。)

私は卑怯でした。

(そうしておおくのひきょうなひととおなじていどにおいてはんもんしたのです。)

そうして多くの卑怯な人と同じ程度に於て煩悶したのです。

など

(いかんながら、そのときのわたくしには、)

遺憾ながら、その時の私には、

(あなたというものがほとんどそんざいしていなかった)

あなたというものが殆んど存在していなかった

(といってもこちょうではありません。)

と云っても誇張ではありません。

(いっぽすすめていうと、あなたのちい、あなたのここうのし、)

一歩進めていうと、あなたの地位、あなたの糊口の資、

(そんなものはわたくしにとってまるでむいみなのでした。)

そんなものは私にとってまるで無意味なのでした。

(どうでもかまわなかったのです。わたくしはそれどころのさわぎでなかったのです。)

どうでも構わなかったのです。私はそれどころの騒ぎでなかったのです。

(わたくしはじょうさしへあなたのてがみをさしたなり、)

私は状差へ貴方の手紙を差したなり、

(いぜんとしてうでくみをしてかんがえこんでいました。)

依然として腕組をして考え込んでいました。

(うちにそうおうのざいさんがあるものが、)

宅に相応の財産があるものが、

(なにをくるしんで、そつぎょうするかしないのに、ちいちいといってもがきまわるのか。)

何を苦しんで、卒業するかしないのに、地位々々といって藻掻き廻るのか。

(わたくしはむしろにがにがしいきぶんで、とおくにいるあなたにこんないちべつをあたえただけでした。)

私は寧ろ苦々しい気分で、遠くにいる貴方にこんな一瞥を与えただけでした。

(わたくしはへんじをあげなければすまないあなたにたいして、)

私は返事を上げなければ済まないあなたに対して、

(いいわけのためにこんなことをうちあけるのです。)

言訳のためにこんな事を打ち明けるのです。

(あなたをおこらすためにわざとぶしつけなことばをろうするのではありません。)

あなたを怒らすためにわざと無躾な言葉を弄するのではありません。

(わたくしのほんいはあとをごらんになればよくわかることとしんじます。)

私の本意は後を御覧になれば能く解る事と信じます。

(とにかくわたくしはなんとかあいさつすべきところをだまっていたのですから、)

とにかく私は何とか挨拶すべきところを黙っていたのですから、

(わたくしはこのたいまんのつみをあなたのまえにしゃしたいとおもいます。)

私はこの怠慢の罪をあなたの前に謝したいと思います。

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