怖い話《終わらない鬼ごっこ》1

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問題文

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(これはおれがしょうがっこう6ねんのときに、)

これは俺が小学校6年の時に、

(おなじくらすのsっていうやつとのあいだにおこったできごとです。)

同じクラスのSっていう奴との間に起こった出来事です。

(こいつはいつもきょどうふしんでわけのわからないやつだった。)

こいつはいつも挙動不審でわけのわからない奴だった。

(じゅぎょうちゅうはいつもねていてきゅうしょくだけたべてかえっているだけというかんじだった。)

授業中はいつも寝ていて給食だけ食べて帰っているだけという感じだった。

(もちろんくらすではばかにされていたし、おれもばかにしていた。)

もちろんクラスでは馬鹿にされていたし、俺も馬鹿にしていた。

(しょうがっこうの3ねんか4ねんのころもいっしょのくらすで、)

小学校の3年か4年の頃も一緒のクラスで、

(このsもふくめてすうにんでおにごっこをやったことがいちどあった。)

このSも含めて数人で鬼ごっこをやったことが一度あった。

(ちゃいむがなったあとにいすにすわったらしゅうりょうというるーるだった。)

チャイムが鳴った後に椅子に座ったら終了というルールだった。

(つまりちゃいむがなったあとに、おにをのこしてぜんいんがせきについたら)

つまりチャイムが鳴った後に、鬼を残して全員が席に着いたら

(おにがまけということだ。さいしょはおれがじゃんけんにまけておにになった。)

鬼が負けという事だ。最初は俺がじゃんけんに負けて鬼になった。

(sはひとりだけとぼとぼあるいていたのですぐにsにたっちした。)

Sは一人だけトボトボ歩いていたのですぐにSにタッチした。

(sはおにになってもはしらないでとぼとぼあるいていた。)

Sは鬼になっても走らないでトボトボ歩いていた。

(ちゃいむがなってもそれはかわらなかった。)

チャイムが鳴ってもそれは変わらなかった。

(ちゃいむがなるとみないっせいにきょうしつにむかいじぶんのせきについた。)

チャイムが鳴ると皆一斉に教室に向かい自分の席に着いた。

(sいがいはぜんいんじぶんのせきについた。)

S以外は全員自分の席に着いた。

(「あいつおいかけてこないからつまんねーな」「あいつなんなんだよ」)

「あいつ追いかけてこないからつまんねーな」「あいつなんなんだよ」

(などとみなでsのもんくをいっていた。)

などと皆でSの文句を言っていた。

(そしてまもなくしてsはきょうしつにはいってきた。)

そして間もなくしてSは教室に入ってきた。

(そしてなぜかないているふうにみえた。)

そしてなぜか泣いている風に見えた。

(sはいすにすわっているおれにまっすぐむかってきた。)

Sは椅子に座っている俺にまっすぐ向かってきた。

など

(そしてあろうことかおれになぐりかかってきた。)

そしてあろうことか俺に殴りかかってきた。

(どうやらいすからむりやりたたせようとしてきたのだった。)

どうやら椅子から無理やり立たせようとしてきたのだった。

(それとほぼどうじにたんにんがきょうしつにはいってきたので)

それとほぼ同時に担任が教室に入ってきたので

(そのままけんかにもならないままおわってしまった。)

そのまま喧嘩にもならないまま終わってしまった。

(sのやったこうどはくらすのぜんいんがみていたので)

Sのやった高度はクラスの全員が見ていたので

(sとあそぶやつはもちろん、はなすやつもいなくなってしまった。)

Sと遊ぶ奴はもちろん、話す奴もいなくなってしまった。

(そしてsのはんけい5mいないにちかづかないげーむがくらすではやりだした。)

そしてSの半径5m以内に近づかないゲームがクラスで流行りだした。

(これはsとおなじくらすのあいだじゅうずっとつづいた。)

これはSと同じクラスの間中ずっと続いた・。

(・・・そういえばsがじゅぎょうちゅうにねるようになったのも)

・・・そういえばSが授業中に寝るようになったのも

(このころからだったようなきがする。)

この頃からだったような気がする。

(しょうがっこう6ねんの7がつにせきがえでsとおなじはんになった。)

小学校6年の7月に席替えでSと同じ班になった。

(これはせまいかいぎしつをいっしょにそうじすることをいみしていた。)

これは狭い会議室を一緒に掃除する事を意味していた。

(さすがにちかづかないげーむはおわっていたがかかわりたくなかった。)

さすがに近づかないゲームは終わっていたが関わりたくなかった。

(このかいぎしつはせんせいがみていないばしょなので、)

この会議室は先生が見ていない場所なので、

(だれもまじめにそうじするものがいないところだった。)

誰も真面目に掃除するものがいないところだった。

(おれはてのひらのうえにほうきをのせてばらんすをとってあそんでいた。)

俺は手のひらの上にほうきを乗せてバランスをとって遊んでいた。

(ほかのやつらもてのひらのうえにほうきをふりまわしてじかんをつぶしていた。)

他の奴らも手のひらの上にほうきを振り回して時間を潰していた。

(sだけがくそまじめにそうじしていた。)

Sだけがくそ真面目に掃除していた。

(そうじのおわりをつげるちゃいむがなった。)

掃除の終わりを告げるチャイムが鳴った。

(みんなそれとどうじにほうきをそうじばこにほうりこんで)

みんなそれと同時にほうきを掃除箱に放り込んで

(にげるようにかいぎしつをでていった。)

逃げるように会議室を出て行った。

(おれはほうきでばらんすをとるあそびのとちゅうだったので、)

俺はほうきでバランスを取る遊びの途中だったので、

(ばらんすをくずしておわったらほうきをしまおうとおもっていた。)

バランスを崩して終わったらほうきをしまおうと思っていた。

(おれはばらんすをくずしげーむがおわったとき、)

俺はバランスを崩しゲームが終わった時、

(かいぎしつにsとふたりきりということにきづいたので、)

会議室にSと二人きりということに気づいたので、

(すぐにほうきをしまってきょうしつからでようとおもった。)

すぐにほうきをしまって教室から出ようと思った。

(そしてどうじにしまったとおもった。)

そして同時にしまったと思った。

(sがそうじばこのまえでにおうだちしているのだった。)

Sが掃除箱の前で仁王立ちしているのだった。

(いまおもえばほうきをそのへんにほっぽりだしてきょうしつからでればよかったのだが。)

今思えばほうきをその辺にほっぽり出して教室から出ればよかったのだが。

(ほうきがでているといかられるとおもったので、sにいった。)

ほうきが出ていると怒られると思ったので、Sに行った。

(「そこじゃまだからどけよ・・」)

「そこ邪魔だからどけよ・・」

(sはいった「あのときたっちされてない」)

Sは言った「あの時タッチされてない」

(そういうともうだっしゅでsはおれからにげていった。)

そういうと猛ダッシュでSは俺から逃げて行った。

(きょうしつにかえってからもsはおいかけていないのにおれからかってににげまわっていた。)

教室に帰ってからもSは追いかけていないのに俺から勝手に逃げ回っていた。

(じぶんのいすにすわるとsはにやにやしてかちほこったかおでおれをみてきた。)

自分の椅子に座るとSはニヤニヤして勝ち誇った顔で俺を見てきた。

(あのときのつづきをやっているのだろうか??)

あの時の続きをやっているのだろうか??

(そしてこれは、このひからまいにちつづいた。)

そしてこれは、この日から毎日続いた。

(さいしょはあきれていたしあいてにしていなかったが、)

最初は呆れていたし相手にしていなかったが、

(まえにとつぜんなぐられたときやりかえしていなかったことなどもあってか、)

前に突然殴られた時やり返していなかった事などもあってか、

(すごくむかつくようになった。)

凄くムカつくようになった。

(しかし、たっちでもしようものならこのばかとおにごっこをすることに)

しかし、タッチでもしようものならこの馬鹿と鬼ごっこをすることに

(なるとおもったのでこたえた。)

なると思ったので堪えた。

(あいてにしなければかってにとめるとおもっていたのが、)

相手にしなければ勝手に止めると思っていたのが、

(sのこうどうはえすかれーとしていった。)

Sの行動はエスカレートしていった。

(といれにいくのにもいすにすわったままひきずりながらいくようになったのだ。)

トイレに行くのにも椅子に座ったまま引き摺りながら行くようになったのだ。

(そしてかちほこったかおでおれをみてきた。)

そして勝ち誇った顔で俺を見てきた。

(おれはsがむかついてしょうがなくなっていた。)

俺はSがムカついてしょうがなくなっていた。

(そしておれはあることをおもいついた。)

そして俺はある事を思いついた。

(しゅうぎょうしきのひにおれがたっちしてにげればがっこうがはじまるまであいつはずっと)

終業式の日に俺がタッチして逃げれば学校がはじまるまであいつはずっと

(おにになるのだから、ものすごくくやしがるにちがいないとおもったのだ。)

鬼になるのだから、物凄く悔しがるに違いないと思ったのだ。

(もちろんsはおれのすんでいるところをしらないし、おしえてくれるともだちもいない。)

もちろんSは俺の住んでいる所を知らないし、教えてくれる友達もいない。

(あいかわらずsはおれからにげまわっていたが、)

相変わらずSは俺から逃げ回っていたが、

(たっちされたときのくやしがるさまがそうぞうできてぎゃくにわらえるようになってきた。)

タッチされた時の悔しがるさまが想像できて逆に笑えるようになってきた。

(そして、とうとうしゅうぎょうしきのひがやってきた。)

そして、とうとう終業式の日がやってきた。

(おれはsがうんどうぐつにはきかえるためにうわばきをぬいだときに)

俺はSが運動靴に履き替える為に上履きを脱いだ時に

(たっちしてにげるというさくせんをたてていた。)

タッチして逃げるという作戦を立てていた。

(しゅうぎょうしきがおわりがえりのかいもおわった。)

終業式が終わり帰りの会も終わった。

(おれはsをあいてにしていないふりをしてそそくさときょうしつをでた。)

俺はSを相手にしていないふりをしてそそくさと教室を出た。

(sはばかなのでがっこうでつかうどうぐをこまめにもってかえっていなかったので、)

Sは馬鹿なので学校で使う道具をこまめに持って帰っていなかったので、

(sのつくえだけにもつがすごいことになっていた。)

Sの机だけ荷物が凄いことになっていた。

(おれはにげやすいようにてぶらですむようにしていた。)

俺は逃げやすいように手ぶらで済むようにしていた。

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