怖い話《祖母の日記》

(わたしはおさないころかられいのうりょくがつよく、いつもれいしょうになやまされていました。)

私は幼い頃から霊能力が強く、いつも霊障に悩まされていました。

(かなしばりはまいにちでねむれないひびがつづき、ふみんしょうでした。)

金縛りは毎日で眠れない日々が続き、不眠症でした。

(ねていてもあしをさわられたり、おなかをはりのようなものでさされたりと、)

寝ていても足を触られたり、おなかを針のようなもので刺されたりと、

(ねんねんえすかれーとしていきました。)

年々エスカレートしていきました。

(ははとれいのうりょくしゃのところにもなんどかおとずれたのですが、たかいおかねをせいきゅうされ、)

母と霊能力者のところにも何度か訪れたのですが、高いお金を請求され、

(しかもなにをやってもきかないのでわたしもあきらめていました。)

しかも何をやっても効かないので私も諦めていました。

(ちゅうがく３ねんになるころには、さらにれいしょうはひどくなり、)

中学３年になる頃には、さらに霊障は酷くなり、

(こうつうじこもなんどもけいけんし、まいばんくりかえされるかなしばりやれいによってみせられる)

交通事故も何度も経験し、毎晩繰り返される金縛りや霊によってみせられる

(まぼろしのようなもの（ごはんのうえにかみのけやむしがのっていたり）で、)

幻のようなもの（ご飯の上に髪の毛や虫が乗っていたり）で、

(せいしんをやみ、ふとうこうになりました。)

精神を病み、不登校になりました。

(そぼはははがしごとにでているじかん、)

祖母は母が仕事に出ている時間、

(うちにきてくれていつもてをにぎってくれていました。)

うちに来てくれていつも手を握ってくれていました。

(そぼといるじかんはわたしにとってゆいいつやすらげるじかんでした。)

祖母といる時間は私にとって唯一安らげる時間でした。

(ははおやはしごとでかえりがおそく、あまりくちをきくじかんがありませんでした。)

母親は仕事で帰りが遅く、あまり口をきく時間がありませんでした。

(まいにちのおうと、きょしょくしょうになったとおもったらかしょくしょうになり、)

毎日の嘔吐、拒食症になったと思ったら過食症になり、

(つねにたいちょうもせいしんもふあんていで、じさつみすいもなんどかおこしました。)

常に体調も精神も不安定で、自殺未遂も何度か起こしました。

(そのたびにしっぱいし、いきるのもつらい、)

その度に失敗し、生きるのも辛い、

(しかししねないというさいあくのじょうたいがつづきました。)

しかし死ねないという最悪の状態が続きました。

(そぼとのおまいりにもいけなくなりました。)

祖母とのお参りにも行けなくなりました。

(ちゅうがくをそつぎょうしてすぐのころ、ゆいいつのささえだったそぼがたかいしました。)

中学を卒業してすぐの頃、唯一の支えだった祖母が他界しました。

(わたしはおおなきしました。)

私は大泣きしました。

(しばらくそぼのつかっていたへやにひきこもり、)

暫く祖母の使っていた部屋に引きこもり、

(そぼがつかっていたようふくなどをだきしめながらなくひびがつづきました。)

祖母が使っていた洋服などを抱きしめながら泣く日々が続きました。

(そんなときでもははおやはへいぜんとしたかおでしごとにいっていて、)

そんな時でも母親は平然とした顔で仕事に行っていて、

(それでたべさせてもらってはいるものの、)

それで食べさせてもらってはいるものの、

(すこしははにたいしていかりもめばえました。)

少し母に対して怒りも芽生えました。

(そぼがたかいしてから２しゅうかんほどたったころ、)

祖母が他界してから２週間ほど経った頃、

(だんだんわたしのまわりでれいしょうがおこらなくなってきたことにきがつきました。)

段々私の周りで霊障が起こらなくなってきたことに気が付きました。

(わたしのよんにんだけいたともだちのひとりが、)

私の四人だけいた友達の一人が、

(「まるまる（わたしのなまえ）のいたみをおばあちゃんが)

「○○（私の名前）の痛みをおばあちゃんが

(ぜんぶてんごくへもっていってくれたんだよ」)

全部天国へ持って行ってくれたんだよ」

(と、でんわでいってくれました。そのときもわたしは、でんわぐちでおおなきしました。)

と、電話で言ってくれました。その時も私は、電話口で大泣きしました。

(いちねんごにはれいしょうがまったくなくなり、)

一年後には霊障が全く無くなり、

(せいしんもたいちょうもかいふくしたわたしは、つうしんせいのこうこうにもいけるようになり、)

精神も体調も回復した私は、通信制の高校にも行けるようになり、

(ばいとなかまたちにささえられてたのしいひびをおくっていました。)

バイト仲間たちに支えられて楽しい日々を送っていました。

(そぼのいえがひきはらわれることになったので、わたしはにもつのせいりにいきました。)

祖母の家が引き払われることになったので、私は荷物の整理に行きました。

(もうきもちもおちついていて、まいにちはかまいりにいっていました。)

もう気持ちも落ち着いていて、毎日墓参りに行っていました。

(おしいれのなかをせいりしていると、)

押入れの中を整理していると、

(そぼのふるいにっきがなんさつかふろしきにくるまれてでてきました。)

祖母の古い日記が何冊か風呂敷にくるまれて出てきました。

(そのにっきはまいしゅうにちようびにつけられていました。)

その日記は毎週日曜日に付けられていました。

(わたしはにっきをよんであぜんとしました。)

私は日記を読んで唖然としました。

(まずはじめのぺーじはちちがしんだひでした。)

まず初めのページは父が死んだ日でした。

(ふりょのじこときかされていましたが、)

不慮の事故と聞かされていましたが、

(じつはじさつだったということがかかれていました。)

実は自殺だったということが掛かれていました。

(げんいんはははのうわきだったそうです。しょっくでした。なみだがでました。)

原因は母の浮気だったそうです。ショックでした。涙が出ました。

(しかしつぎのぺーじにをめくったときに、いっしゅんでぜんしんがつめたくなりました。)

しかし次のページにを捲った時に、一瞬で全身が冷たくなりました。

(そこにはそぼのわたしにたいするいかりがかかれてありました。)

そこには祖母の私に対する怒りが書かれてありました。

(はしからはしまでぎっしりと。)

端から端までギッシリと。

(わたしがうわきあいてとのあいだにできたこだというぶんしょうからはじまり、)

私が浮気相手との間にできた子だという文章から始まり、

(ころしてやりたい、しねばいいなどという)

殺してやりたい、しねばいいなどという

(いままでのそぼとはまったくちがうかおがそこにはありました。)

今までの祖母とは全く違う顔がそこにはありました。

(わたしがくるしみながらしぬように、じんじゃでいのっていたのです。)

私が苦しみながら死ぬように、神社で祈っていたのです。

(あんなにながいあいだ、まいしゅうまいしゅう、ながいじかん。)

あんなに長い間、毎週毎週、長い時間。

(となりにいるおさないわたしをのろいころすことだけひたすらねがいつづけていたのです。)

隣にいる幼い私を呪い殺すことだけひたすら願い続けていたのです。

(そぼのねっしんないのりがつうじたのか、わたしはたいへんくるしみました。)

祖母の熱心な祈りが通じたのか、私は大変苦しみました。

(そしてそぼもくるしみながらしんでいきました。)

そして祖母も苦しみながら死んでいきました。

(にっきはもやしました。)

日記は燃やしました。

(ながいねんげつがたったいまでもわすれられないできごとです。)

長い年月が経った今でも忘れられない出来事です。

(だれにもいったことはありません。)

誰にも言ったことはありません。