大阪行きは何番ホーム／吉田拓郎

(じゅうくのころだったとおもうけれどうちをでることにゆめをたくして)

19の頃だったと思うけれど　家を出る事に夢をたくして

(ひとりきりでくらしてみようときぼうにみちていたときがあった)

1人きりで暮らしてみようと　希望に満ちていた時があった

(たとえとかいのかたすみであろうともなにかがおこりそうなきがして)

たとえ都会の片隅であろうとも　何かが起こりそうな気がして

(うしろがみをひかれるおもいをあしたのためにたちきってしまった)

後ろ髪をひかれる想いを　明日のために絶ち切ってしまった

(こいにやぶれるむなしさでさけにおぼれてしまったこともある)

恋に破れるむなしさで　酒におぼれてしまった事もある

(ひとをしんじるはかなさがこころのかたちをすこしかえてしまった)

人を信じるはかなさが　心の形を少し変えてしまった

(あいをむさぼるきもちのままひとりのおんなとのせいかつがはじまり)

愛をむさぼる気持ちのまま　1人の女との生活が始まり

(しあわせというかりのすまいにこどものなきごえまでくわわっていた)

幸福という仮の住いに　子供の泣き声まで加わっていた

(そとのけしきがかわってゆくなかで)

外の景色が変わって行く中で

(ひととのかかわりがわずらわしくなり)

人とのかかわりがわずらわしくなり

(ひとりのおとこであったはずだとしんじつをかくしたままたびにでた)

1人の男であった筈だと　真実を隠したまま旅に出た

(いえをすてたんじゃなかったのか)

家を捨てたんじゃなかったのか

(いえをすてたんじゃなかったのか)

家を捨てたんじゃなかったのか

(しぜんであることのふしぜんさはりゅうこうというなにもみけされ)

自然である事の不自然さは　流行という名にもみ消され

(ながされるままにたどりついたのは)

流されるままにたどり着いたのは

(あたらしいおんなとのめぐりあいだった)

新しい女とのめぐり会いだった

(おんなはおとこよりかしこかったけれどおとこはおろかさにみをまかすだけ)

女は男より賢かったけれど　男は愚かさに身を任すだけ

(なぜあいしたのかととわれても)

何故愛したのかと問われても

(ただおしだまるだけになっていた)

ただ押し黙るだけになっていた

(このよのなかにうつくしさがあるのなら)

この世の中に美しさがあるのなら

(きれいなことのほうをえらぼうと)

きれいな事の方を選ぼうと

(やさしさやおもいやりをなげだして)

やさしさや思いやりを投げ出して

(ふたりはちがうたびにでていった)

二人は違う旅に出て行った

(いえをすてたんじゃなかったのか)

家を捨てたんじゃなかったのか

(いえをすてたんじゃなかったのか)

家を捨てたんじゃなかったのか

(いまとうきょうえきにたちつくすぼくはながすぎるじんせいのくりかえしとおなじ)

今　東京駅に立ち尽くす僕は　長すぎる人生の繰り返しと同じ

(おおさかゆきのでんしゃはなんばんほーむ)

大阪行きの電車は何番ホーム

(くりかえしくりかえしたびにでている)

繰り返し　繰り返し　旅に出ている