洒落怖《一途な思い》

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プレイ回数239難易度(5.0) 3753打 長文

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問題文

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(ぼくのいえのとなりにおんなのこがこしてきたのはしょう4のなつやすみだった。)

僕の家の隣に女の子が越してきたのは小4の夏休みだった。

(かのじょのかていにはおとうさんがいなかった。)

彼女の家庭にはお父さんが居なかった。

(おかあさんはぼくのめからみたらとてもわかかったのをおぼえている。)

お母さんは僕の目から見たらとても若かったのを覚えている。

(ちがうくらすになったけどぼくとかのじょはなかよくなった。)

違うクラスになったけど僕と彼女は仲良くなった。

(かのじょはあまりあかるいほうではなく、じょしのともだちもすくなかった。)

彼女はあまり明るい方ではなく、女子の友達も少なかった。

(ほんばかりよんでしたしいゆうじんのいなかったぼくとかのじょは、)

本ばかり読んで親しい友人のいなかった僕と彼女は、

(おたがいのいえにあそびにいくほどなかよくなった。)

お互いの家に遊びに行くほど仲良くなった。

(そのうちかのじょはぐちをいうようになった。)

そのうち彼女は愚痴を言うようになった。

(ははおやがすぐなぐること。おなじくらすのじょしがいじわるをすること。)

母親がすぐ殴る事。同じクラスの女子が意地悪をする事。

(すきなおとこのこができたけど、そのこはほかのじょしからもにんきがあること。)

好きな男の子が出来たけど、その子は他の女子からも人気がある事。

(さいしょはぼくのほうがよくしゃべっていたけれど、)

最初は僕の方がよく喋っていたけれど、

(このころからはいっぽうてきにかのじょがはなしぼくがきくようになっていた。)

この頃からは一方的に彼女が話し僕が聴くようになっていた。

(あるひをさかいにかのじょはがっこうにこなくなった。)

ある日を境に彼女は学校に来なくなった。

(すきだっただんしのとりまきたちに、いじめられていたのがりゆうだった、)

好きだった男子の取り巻き達に、いじめられていたのが理由だった、

(かのじょはぼくにあうたびに、じぶんをいじめたじょしがにくいといった。)

彼女は僕に会う度に、自分をいじめた女子が憎いと言った。

(そのいじめをみてみぬふりしていたくらすのみなもにくいといった。)

そのいじめを見て見ぬ振りしていたクラスの皆も憎いと言った。

(そして、げんじつみのないふくしゅうやくらすめいとのわるくちをえんえんとはなしつづけた。)

そして、現実味のない復讐やクラスメイトの悪口を延々と話し続けた。

(ぼくはただだまってあいづちをうっていた。)

僕はただ黙って相槌を打っていた。

(ちゅうがくにはいってからかのじょのそこうがあれはじめた。)

中学に入ってから彼女の素行が荒れ始めた。

(よるおそくまでかえってこないようになり、これみよがしにたばこをすいはじめた。)

夜遅くまで帰ってこないようになり、これ見よがしに煙草を吸い始めた。

など

(かていかんきょうもあっかし、しんやにいきなりおやこけんかがはじまったりもした。)

家庭環境も悪化し、深夜にいきなり親子喧嘩が始まったりもした。

(いちどはけいさつがかのじょをむかえにやってきた。)

一度は警察が彼女を迎えにやってきた。

(このころからきんじょとおりあいがわるくなり、)

この頃から近所と折り合いが悪くなり、

(ちゅうしょうびらやらくがきなどのあくしつないやがらせがかのじょのいえにおこなわれた。)

中傷ビラや落書きなどの悪質な嫌がらせが彼女の家に行われた。

(いちどはゆうびんうけにきざんだねこがはいっていた。)

一度は郵便受けに刻んだ猫が入っていた。

(ぼくもははにかのじょとつきあうのをやめるよういわれた。)

僕も母に彼女と付き合うのを辞めるよう言われた。

(ぼくがこうこうをでたとき、かのじょはへやにひきこもるようになった。)

僕が高校を出た時、彼女は部屋に引きこもるようになった。

(ぼくもかのじょのすがたをみることがめっきりへった。)

僕も彼女の姿を見る事がめっきり減った。

(めっきりふけこんだかのじょのおかあさんにはなしをきくと、ひるはぜったいにでてこない。)

めっきりふけこんだ彼女のお母さんに話を聞くと、昼は絶対に出てこない。

(ごはんはへやのまえにおいておく。ふけよるになるとといれにいくときだけでてくる。)

ご飯は部屋の前に置いておく。深夜になるとトイレに行く時だけ出てくる。

(そんなせいかつをおくっているようだ。ぼくはひさしぶりにかのじょにあいにいった。)

そんな生活を送っているようだ。僕は久しぶりに彼女に会いに行った。

(かのじょはぼくにあうのをきょぜつしとびらごしにかえれとどなった。なにをはなしてもだまっていた。)

彼女は僕に会うのを拒絶し扉越しに帰れと怒鳴った。何を話しても黙っていた。

(いちどなんかは、どあがひらいたとおもったらみそしるをかけられた。)

一度なんかは、ドアが開いたと思ったら味噌汁をかけられた。

(ちらりとみえたかのじょはげっそりとあおじろくやつれていてしぼったぞうきんのようだった。)

チラリと見えた彼女はげっそりと青白くやつれていて絞った雑巾のようだった。

(ぼくはまいにちかのじょにあいにいった。おやとけんかした。)

僕は毎日彼女に会いに行った。親と喧嘩した。

(やっとできたともだちとそえんになった。それでもまいにちかのじょのへやまであいにいった。)

やっとできた友達と疎遠になった。それでも毎日彼女の部屋まで会いに行った。

(そのうちかのじょはとびらごしにはなしをするようになった。わるいなかまとつきあっていたこと。)

そのうち彼女は扉越しに話をするようになった。悪い仲間と付き合っていた事。

(まんびきがくせになってけいさつにつかまったこと。)

万引きが癖になって警察に捕まった事。

(こいびとできたとおもったら、こどもができたとたんににげられたこと。)

恋人出来たと思ったら、子供が出来た途端に逃げられた事。

(たすけてほしくてそうだんしたははおやにはんきょうらんになってなぐられたこと。)

助けてほしくて相談した母親に半狂乱になって殴られた事。

(こどもをおろしたこと。しのうとおもったこと。てくびをきったこと。)

子供をおろした事。死のうと思った事。手首を切った事。

(むかしとおなじようにかのじょがいっぽうてきにしゃべりつづけ、ぼくはあいづちをうつ。)

昔と同じように彼女が一方的に喋り続け、僕は相槌を打つ。

(いけんをもとめられたときは、なるべくぶなんないけんをいう。)

意見を求められた時は、なるべく無難な意見を言う。

(そのうちかのじょはへやをでた。あるばいともはじめた。)

そのうち彼女は部屋を出た。アルバイトも始めた。

(だんだんせいかくもあかるくなりはじめた。かのじょのおかあさんからなきながらおれいをいわれた。)

段々性格も明るくなり始めた。彼女のお母さんから泣きながらお礼を言われた。

(あるひ、かのじょはきんじょのだんちからとびおりた。)

ある日、彼女は近所の団地から飛び降りた。

(したがうえこみだったことと、たいしたたかさじゃなかったため、いちめいはとりとめたが、)

下が植え込みだった事と、大した高さじゃなかった為、一命は取り留めたが、

(せきずいがきずついたために、こんごのじんせいはくるまいすのおせわになるそうだ。)

脊髄が傷ついた為に、今後の人生は車椅子のお世話になるそうだ。

(べっどによこになったかのじょはなきながらあやまった。)

ベッドに横になった彼女は泣きながら謝った。

(おややぼくにめいわくをかけていたのがすごくもうしわけなかったから、)

親や僕に迷惑をかけていたのがすごく申し訳なかったから、

(とびおりたんだそうだ。ないているかのじょをなぐさめた。)

飛び降りたんだそうだ。泣いている彼女を慰めた。

(ねころんだままないているひとをなぐさめるのはむずかしいとおもった。)

寝転んだまま泣いている人を慰めるのは難しいと思った。

(なぐさめながらかのじょにぷろぽーずした。けっこんをぜんていにつきあってくれるようたのんだ。)

慰めながら彼女にプロポーズした。結婚を前提に付き合ってくれるよう頼んだ。

(かのじょはぜんしんのすいぶんをしぼりつくすようにしてなきながら、)

彼女は全身の水分を絞り尽くすようにして泣きながら、

(「ほんき?わたしでいいの?ほんとうにいいの?」となんどもききかえした。)

「本気?私でいいの?本当にいいの?」と何度も聞き返した。

(きかれるたびにうなずきかえした。きみのことがずっとすきだった。)

訊かれる度に頷き返した。君の事がずっと好きだった。

(かおをゆがめてくらすめいとのわるくちをいっていたときも、)

顔を歪めてクラスメイトの悪口を言っていた時も、

(わるいともだちとつきあってあれていたときも、)

悪い友達と付き合って荒れていた時も、

(いっぽうてきにぐちをしゃべりつづけていたときも、)

一方的に愚痴を喋り続けていた時も、

(きみがなきながらおかあさんがじぶんをなぐることをこくはくしたときも、)

君が泣きながらお母さんが自分を殴る事を告白した時も、

(ひきこもってべつじんのようにやせたときも、)

引き籠って別人のように痩せた時も、

(しょうがくせいのころにきみがすきなだんしのなまえをそのとりまきたちにおしえたときも、)

小学生の頃に君が好きな男子の名前をその取り巻き達に教えた時も、

(きみのけのぽすとにいれるねこをきざんでいたときも、)

君の家のポストに入れる猫を刻んでいた時も、

(あしのかんかくをうしないしろいべっどにのみこまれそうにちいさくよこたわっているいまも、)

足の感覚を失い白いベッドに飲み込まれそうに小さく横たわっている今も、

(ずっときみがすきだ。これでかんぺきにきみはぼくだけの「かのじょ」だ。)

ずっと君が好きだ。これで完璧に君は僕だけの「彼女」だ。

(ぼくたちこんどけっこんします。)

僕たち今度結婚します。

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