雨と雲と犬

(ごうのよしひろがさくとうめいぶつさみだれごう)

「郷義弘が作刀、名物、五月雨江。

(えこれですか)

え？　これですか。

(これはまえのあるじにたいしてのぎりのようなもの)

これは前の主に対しての義理のようなもの。

(それよりは)

それよりは...」

(おなじじだいにいきたあのかた)

同じ時代に生きた　あの方

(わたしのなまえをよんでくれたあのかた)

私の名前を詠んでくれた　あの方

(おもいがあふれてくる)

思いが溢れてくる

(きごとともに)

季語と共に...

(あめにかくれてなにをしましょうか)

雨に隠れて　何をしましょうか？

(あめにしのんでなにをいたしましょう)

雨に忍んで　何をいたしましょう？

(わん)

わん

(あめにぬれたこいぬが)

雨に濡れた子犬が

(わん)

わん

(あなたのためによみましょう)

あなたのために詠みましょう

(わん)

わん

(すばらしいいっくを)

素晴らしい一句を

(わん)

わん

(あなたのためだけに)

あなたのためだけに

(あめにかくれてひそかにせめこみ)

雨に隠れて　密かに攻め込み

(あめにしのんでやみうちしましょう)

雨に忍んで　闇討ちしましょう

(ごうのよしひろがさくとうめいぶつむらくもごう)

「郷義弘が作刀、名物、村雲江。」

(かつてのあるじたちはあくにんとよばれてる)

かつての主たちは悪人と呼ばれてる

(どうせおれはにそくさんもんだし)

どうせ俺は二束三文だし

(せいぎとかあくとかきょうみない)

正義とか悪とか興味ない

(どうせかったほうがせいぎなんだろう)

どうせ勝った方が正義なんだろう？

(あぁおなかいたい)

あぁ　お腹いたい...

(あめさんはどこ)

「......雨さんはどこ？」

(くもにかくれてなにをするきなのさ)

雲に隠れて　何をする気なのさ？

(くもにかくれたってなにもできやしない)

雲に隠れたって　何もできやしない

(わん)

わん

(みてのとおりまけいぬ)

見てのとおり負け犬

(わん)

わん

(おれよりたかいものばかり)

俺より高いものばかり

(わん)

わん

(いやしてあめさん)

癒して　雨さん

(わん)

わん

(いやしてよあめさん)

癒してよ　雨さん

(くもにかくれてにげてもいいけど)

雲に隠れて　逃げてもいいけど

(くもにかくれたってなにもかわらないから)

雲に隠れたって　何も変わらないから

(うつりゆくきせつは)

移り行く季節は

(くもとなりあめとなる)

雲となり雨となる

(うつりゆくじだいは)

移り行く時代は

(みちてらすひかりもとめるけど)

道照らす光求めるけど

(うつりゆくおもいは)

移り行く想いは

(だれがつなぎとめる)

誰が繋ぎとめる？

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...

(わん)

わん...