怖い話《あやちゃん》

(あやちゃんというおんなのこがいた。)

あやちゃんという女の子がいた。

(うまれつきしんぞうをわずらっており、にゅうたいいんをなんどもくりかえしていた。)

生まれつき心臓を患っており、入退院を何度も繰り返していた。

(しょうがくいちねんせいになったあやちゃんがじゅぎょうちゅう、)

小学一年生になったあやちゃんが授業中、

(ほっさをおこしすぐさまびょういんへはんそうされた。)

発作を起こしすぐさま病院へ搬送された。

(なんとかいちめいをとりとめたものの、いしはあやちゃんのかぞくをよびだし、)

なんとか一命を取り留めたものの、医師はあやちゃんの家族を呼び出し、

(あやちゃんのしんぞうはもうげんかいにたっしている。)

あやちゃんの心臓はもう限界に達している。

(かくごしておいてほしい、とのむねをつげた。)

覚悟しておいてほしい、との旨を告げた。

(よる、びょうしつでかたりあうははとむすめ。)

夜、病室で語り合う母と娘。

(「おかあさん、あや、こわいよ」)

「お母さん、あや、怖いよ」

(「・・・だいじょうぶ、あや。)

「・・・大丈夫、あや。

(あなたがこれからいくところはね、おほしさまよりたかいばしょ。)

あなたがこれから行く所はね、お星様より高い場所。

(あたたかくてきれいなはながどこまでもさいているの。)

暖かくて綺麗な花がどこまでも咲いているの。

(りっぱなおやしきにすんで、すきなおようふくもたべものもなんでもよういされてるの。)

立派なお屋敷に住んで、好きなお洋服も食べ物もなんでも用意されてるの。

(やさしいてんしたちがいつもがわにいてくれる、とてもすてきなばしょなの。)

優しい天使達がいつも側にいてくれる、とても素敵な場所なの。

(なんにもこわくないんだよ。」)

何にも怖くないんだよ。」

(「ほんとう？」)

「ほんとう？」

(「ほんとうよ。やくそくする。」)

「本当よ。約束する。」

(それからときをおかずようたいはきゅうへんし、あやちゃんはいきをひきとった。)

それから時を置かず容態は急変し、あやちゃんは息を引き取った。

(つや、そうぎをおえ、かなしみのいえぬまましじゅうくにちもすぎた。)

通夜、葬儀を終え、悲しみの癒えぬまま四十九日も過ぎた。

(しついのなかで、じかんだけがながれていく。)

失意の中で、時間だけが流れていく。