洒落怖《鏡の中の王子様》
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問題文
(わたしがちゅうがくせいのころ、おなじくらすにかわったこがいました。)
私が中学生の頃、同じクラスに変わった子がいました。
(いまいちはなしがかみあわず、いっぽうてきにじぶんのはなしたいことをはなすため、)
いまいち話が噛み合わず、一方的に自分の話したい事を話す為、
(ほかのくらすめいとからはきょりをおかれていました。)
他のクラスメイトからは距離を置かれていました。
(なまえはkごとしておきます。)
名前はK子としておきます。
(わたしはそれまでkごにはなしかけられたことはなかったのですが、)
私はそれまでK子に話しかけられた事はなかったのですが、
(せきがえでとなりのせきになってしまい、まいにちはなしをきかされるようになりました。)
席替えで隣の席になってしまい、毎日話を聞かされるようになりました。
(だいたいのはなしはおやのぐち、じゅくにいるいじわるなこのぐち、)
大体の話は親の愚痴、塾にいる意地悪な子の愚痴、
(ぶかつどうのぐち、すきなきょくやあにめのはなしだったのですが、)
部活動の愚痴、好きな曲やアニメの話だったのですが、
(あるひをさかいに「かがみのおうじさま」のはなしばかりをするようになりました。)
ある日を境に「鏡の王子様」の話ばかりをするようになりました。
(kごがいうには、あるあさにへやのすがたみをみていると、)
K子が言うには、ある朝に部屋の姿見を見ていると、
(とつぜんへやのおくにいけめんがうつったそうです。)
突然部屋の奥にイケメンが映ったそうです。
(へやにはじぶんいがいだれもいないのですが、)
部屋には自分以外誰も居ないのですが、
(そのいけめんはかがみごしにはなしかけてきました。)
そのイケメンは鏡越しに話しかけてきました。
(さいしょはていねいにあいさつをしてきて、じぶんをおうじとなのったそうです。)
最初は丁寧に挨拶をしてきて、自分を王子と名乗ったそうです。
(それからおうじはずっとかがみにうつるようになり、へやであさばんとはなしているんだとか。)
それから王子はずっと鏡に映るようになり、部屋で朝晩と話しているんだとか。
(さいしょはばかばかしいとおもっていたわたしですが、kごがまいにちまいにちおうじのはなしを)
最初は馬鹿馬鹿しいと思っていた私ですが、K子が毎日毎日王子の話を
(するものですから、しだいにしんじるようになりました。)
するものですから、次第に信じるようになりました。
(それに、すこしすてきだともおもっていました。)
それに、少し素敵だとも思っていました。
(へやのなかでいけめんとずっとはなせるなんてたのしいだろうな、と。)
部屋の中でイケメンとずっと話せるなんて楽しいだろうな、と。
(しばらくはなにごともなくとうこうしていたkごですが、)
暫くは何事もなく登校していたK子ですが、
(だんだんとちこくやけっせきがふえるようになっていきました。)
段々と遅刻や欠席が増えるようになっていきました。
(あんのじょう、ばんにおうじとはなしこみすぎてねぼうしたり、)
案の定、晩に王子と話し込みすぎて寝坊したり、
(いちにちちゅうおうじとはなすためにけっせきしていたようです。)
一日中王子と話す為に欠席していたようです。
(kごはかおいろがすぐれなくなり、じゅぎょうちゅうにいねむりすることがふえくちかずもげんしょうしました。)
K子は顔色が優れなくなり、授業中に居眠りする事が増え口数も減少しました。
(とくだんなかがよいというわけではなかったため、わたしからはなしかけることもなく、)
特段仲が良いと言う訳ではなかった為、私から話しかける事もなく、
(だんだんとkごのはなしをきくことはなくなっていきました。)
段々とK子の話を聞く事はなくなっていきました。
(あるとき、1しゅうかんほどけっせきしていたkごがひさびさにとうこうするなりわたしにいってきました。)
ある時、1週間程欠席していたK子が久々に登校するなり私に言ってきました。
(「わたし、おうじとけっこんすることになったの。しきにはしょうたいしてあげるね。」)
「私、王子と結婚する事になったの。式には招待してあげるね。」
(それだけいうとkごはそうたいしてしまいました。)
それだけ言うとK子は早退してしまいました。
(つぎのひ、あさのhrにかなりおくれてきたたんにんが)
次の日、朝のHRにかなり遅れて来た担任が
(kごはなくなったとくらすでいいました。)
K子は亡くなったとクラスで言いました。
(わたしにはなんとなくりゆうがわかりましたが、そんなはなしをしんじてもらえるはずも)
私には何となく理由が分かりましたが、そんな話を信じてもらえるはずも
(ないため、だまっておくことにしました。)
無い為、黙っておく事にしました。
(うわさばなしすきのくらすめいとが、kごはへやでくびをつっていただの、)
噂話好きのクラスメイトが、K子は部屋で首を吊っていただの、
(まんしょんのおくじょうからとびおりただのはなしていましたが、)
マンションの屋上から飛び降りただの話していましたが、
(kごのきんじょにすむこは、かがみにかおをつっこんでしんでいたらしい、)
K子の近所に住む子は、鏡に顔を突っ込んで死んでいたらしい、
(といっていました。)
と言っていました。
(くらすめいとからはばかにされていましたが、)
クラスメイトからは馬鹿にされていましたが、
(わたしはおそらくそれがじじつだろうなとおもいました。)
私は恐らくそれが事実だろうなと思いました。
(そのひのばん、へやでほんをよんでいたわたしはとつぜんkごのこえがきこえました。)
その日の晩、部屋で本を読んでいた私は突然K子の声が聞こえました。
(「おーい、しきにしょうたいしにきたよ。」)
「おーい、式に招待しに来たよ。」
(けしょうだいのかがみをみてみると、かがみにkごがうつっています。)
化粧台の鏡を見てみると、鏡にK子が映っています。
(きれいなどれすをきて、かおとくびはまっかにそまっていました。)
綺麗なドレスを着て、顔と首は真っ赤に染まっていました。
(おそらくはなさないほうがよい。)
恐らく話さない方が良い。
(そうかくしんしたわたしはだまったままけしょうだいのかがみをとじました。)
そう確信した私は黙ったまま化粧台の鏡を閉じました。
(それっきり、kごのすがたをみることも、こえをきくこともありませんでした。)
それっきり、K子の姿を見る事も、声を聞く事もありませんでした。
(kごはかがみのなかでしあわせになれたのでしょうか。)
K子は鏡の中で幸せになれたのでしょうか。
(いまとなってはわかりません。)
今となっては分かりません。