洒落怖《ハンバーグ》
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問題文
(わたしがちゅうがくせいぐらいのときのことです。)
私が中学生ぐらいの時の事です。
(ははがすーぱーで”てづくりはんばーぐ”をかってきました。)
母がスーパーで”手作りハンバーグ”を買ってきました。
(しんくうぱっくにはいったちょうりずみのものではなく、そこのすーぱーのにくやさんで)
真空パックに入った調理済みのものではなく、そこのスーパーの肉屋さんで
(ひきにくをこねてせいけいし、あとはやくだけというじょうたいにしてうっていたものです。)
ひき肉をこねて成形し、後は焼くだけという状態にして売っていたものです。
(ふだんならはんばーぐはいえでつくっていたのですが、そのひはははたいちょうが)
普段ならハンバーグは家で作っていたのですが、その日母は体調が
(よくなかったため、やくだけですむそれをかってきたのでした。)
良くなかった為、焼くだけで済むそれを買ってきたのでした。
(わたしは「できあいのものだしなぁ」とたいしてきたいはしていなかったのですが、)
私は「出来合いのものだしなぁ」と大して期待はしていなかったのですが、
(やきあがったはんばーぐはよそうにはんしなかなかおいしそうでした。)
焼きあがったハンバーグは予想に反しなかなか美味しそうでした。
(「いただきまーす!」)
「いただきまーす!」
(わたしははんばーぐをたべやすいおおきさにきろうとないふをいれ、)
私はハンバーグを食べやすい大きさに切ろうとナイフを入れ、
(はんばーぐをさしたふぉーくをよこにずらし、そのままのかっこうでこおりつきました。)
ハンバーグを刺したフォークを横にずらし、そのままの格好で凍り付きました。
(ないふをいれたはんばーぐのだんめん・・・ほんらいであればにくじゅうがしみだして、)
ナイフを入れたハンバーグの断面・・・本来であれば肉汁が染み出して、
(たべざかりだったわたしのしょくよくをそそったであろうそのぶぶんにあったのは、)
食べ盛りだった私の食欲をそそったであろうその部分にあったのは、
(おびただしいほんすうのかみのけ!)
おびただしい本数の髪の毛!
(さゆうにきりわけられたにくとにくのあいだに、はしのように、びっしりと。)
左右に切り分けられた肉と肉の間に、橋のように、びっしりと。
(そのかずは10ぽんや20ぽんではありませんでした。)
その数は10本や20本ではありませんでした。
(ふぉーくをうごかすとそれがにくのあいだからびぃーっとぬけていって・・・)
フォークを動かすとそれが肉の間からびぃーっと抜けていって・・・
(そのひはきもちがわるくてろくにばんごはんをたべられませんでした。)
その日は気持ちが悪くてろくに晩御飯を食べられませんでした。
(1ぽんや2ほんならしらないうちにはいってしまうこともあるとおもうので)
1本や2本なら知らないうちに入ってしまう事もあると思うので
(しかたがないのですが、あのほんすうはこいにいれられたとしかおもえません。)
仕方が無いのですが、あの本数は故意に入れられたとしか思えません。
(なにかのじこでひきにくのなかにこんにゅうしてしまったものかとおもいましたが、)
何かの事故でひき肉の中に混入してしまったものかと思いましたが、
(かみのけははんばーぐのひょうめんには1ぽんたりとも、けさきさえでていなかったのです。)
髪の毛はハンバーグの表面には1本たりとも、毛先さえ出ていなかったのです。
(なにものかが、たいりょうのかみのけをていねいにていねいにひきにくにつつんで・・・)
何者かが、大量の髪の毛を丁寧に丁寧にひき肉に包んで・・・
(そのいじょうさにぞっとしました。)
その異常さにぞっとしました。
(そのすーぱーにはははがくじょうのでんわをいれました。)
そのスーパーには母が苦情の電話を入れました。
(それいらいわがやのしょくたくにできあいのはんばーぐがならぶことはありません。)
それ以来我が家の食卓に出来合いのハンバーグが並ぶ事はありません。
(わたしはしばらくいえでつくったものいがいのはんばーぐをたべることができませんでした。)
私は暫く家で作った物以外のハンバーグを食べる事が出来ませんでした。
(にくをきるとまた、なんじゅっぽんものかみのけがいとをひくのではないかとおもうと・・・)
肉を切るとまた、何十本もの髪の毛が糸を引くのではないかと思うと・・・