洒落怖《吊り橋》

(なぜてんちょうがくるまをとめたのかわからずに、しばらくかたまっていたそうです。)

何故店長が車を停めたのか分からずに、暫く固まっていたそうです。

(しかし、いっこうにうごかすけはいもないので、かれがようすをみにいこうと)

しかし、一向に動かす気配も無いので、彼が様子を見に行こうと

(どあをひらけかけたしゅんかん、まえのくるまのこうせきにすわっていたゆうじんのかっぷるが、)

ドアを開けかけた瞬間、前の車の後席に座っていた友人のカップルが、

(くるまからとびだしてきたそうです。)

車から飛び出してきたそうです。

(かれもおどろいてくるまからふり、「なんかあったんか？」とさけんでちかづこうとしたそのとき)

彼も驚いて車から降り、「なんかあったんか？」と叫んで近付こうとしたその時

(ふたりはてをつないですごいいきおいではしりだし、そのままひろばのはしのがーどれーるを)

二人は手を繋いで凄い勢いで走り出し、そのまま広場の端のガードレールを

(とびこえて、たににみをなげてしまったのです・・・。)

飛び越えて、谷に身を投げてしまったのです・・・。

(かれらはおどろいて、がーどれーるまでかけよりたにぞこをみましたが、)

彼らは驚いて、ガードレールまで駆け寄り谷底を見ましたが、

(きりでなにもみえなかったそうです。)

霧で何も見えなかったそうです。

(ぼうぜんじしつしていたかれら４にんもわれにかえり、)

呆然自失していた彼ら４人も我に返り、

(まえのくるまのてんちょうのようすをみにくるままでもどりました。)

前の車の店長の様子を見に車まで戻りました。

(てんちょうはうんてんせきではんどるをてがしろくなるまでしっかりにぎり、こごえでぶつぶつと、)

店長は運転席でハンドルを手が白くなるまでしっかり握り、小声でブツブツと、

(「いっちゃだめいっちゃだめいっちゃだめ」とつぶやいていたそうです。)

「行っちゃだめ行っちゃだめ行っちゃだめ」と呟いていたそうです。

(とりあえずかれらはけいさつにつうほうしました。)

とりあえず彼らは警察に通報しました。

(けいさつがすぐとうちゃくし、すっかりしょうきをなくしたてんちょうはきゅうきゅうしゃではこばれたそうです。)

警察がすぐ到着し、すっかり正気をなくした店長は救急車で運ばれたそうです。

(そのあとふたりは、とうぜんですがしたいとなってはっけんされました。)

その後二人は、当然ですが死体となって発見されました。

(かれらはしつこくじんもんされましたが、けっきょくじさつというかたちになったそうです。)

彼らはしつこく尋問されましたが、結局自殺という形になったそうです。

(そのあと、てんちょうのみまいにいったかれは、)

その後、店長の見舞いに行った彼は、

(てんちょうのあのときなにがあったのかきいたそうです。)

店長のあの時何があったのか聞いたそうです。

(てんちょうがいうには、あのとき、とつぜんくるまのまえにこふうなきものをきたおんなのこが、)

店長が言うには、あの時、突然車の前に古風な着物を着た女の子が、

(きりのなかからあらわれたそうです。)

霧の中から現れたそうです。

(「あぶない」とおもってきゅうぶれーきをふんでくるまをていしさせると、)

「危ない」と思って急ブレーキを踏んで車を停止させると、

(まるでじだいげきかめいじのどらまにでてくるようなかっこうをした)

まるで時代劇か明治のドラマに出てくるような恰好をした

(おかっぱあたまのおんなのこで、なぜかわらっていたそうです。)

おかっぱ頭の女の子で、何故か笑っていたそうです。

(こんなところに・・・？とおもうよりさきにぶきみにおもい、にげるか？とおもったとき、)

こんなところに・・・？と思うより先に不気味に思い、逃げるか？と思った時、

(くるまのまわりを、おなじようなかっこうをしたこどもたちにかこまれていることにきづいたそうです。)

車の周りを、同じ様な格好をした子供達に囲まれている事に気付いたそうです。

(やばいとおもったてんちょうは、とっさにおきょうをとなえはじめたそうです。)

ヤバいと思った店長は、とっさにお経を唱え始めたそうです。

(くるまをかこんだこどもたちは、そのままてをつなぎうたいだしました。)

車を囲んだ子供達は、そのまま手を繋ぎ歌い出しました。

(「か～ごぉめぇ、ぁ～ごぉめぇ、かぁごのなかのとぉりぃはぁ・・・」)

「か～ごぉめぇ、ぁ～ごぉめぇ、かぁごのなかのとぉりぃはぁ・・・」

(とひびいてきたそうです。)

と響いてきたそうです。

(そのとき、てんちょうのあたまのなかにこどものこえが)

その時、店長の頭の中に子供の声が

(「おいでよぉ。おいでよぉ。おいでよぉ。」とひびいてきたそうです。)

「おいでよぉ。おいでよぉ。おいでよぉ。」と響いてきたそうです。

(てんちょうは「いっちゃだめいっちゃだめいっちゃだめ」)

店長は「行っちゃだめ行っちゃだめ行っちゃだめ」

(とはんどるをにぎり、ひたすらおきょうをとなえていたそうです。)

とハンドルを握り、ひたすらお経を唱えていたそうです。

(そのとき、うしろのふたりがとつぜんしゃからおりると、)

その時、後ろの二人が突然車から降りると、

(こどもたちとてをつなぎ、いっしょにはしりだしたそうです。)

子供達と手を繋ぎ、一緒に走り出したそうです。

(がーどれーるのむこうへ・・・。がけにむかって。)

ガードレールの向こうへ・・・。崖に向かって。

(「こんなはなし、けいさつはしんじてくれねーしよぉ。)

「こんな話、警察は信じてくれねーしよぉ。

(おれだって、もうあれがほんとうかどうかなんてじしんねーよ」)

俺だって、もうあれが本当かどうかなんて自身ねーよ」

(と、てんちょうはさいごにかれにいったそうです。)

と、店長は最後に彼に言ったそうです。

(そのはなしをいっしょにきいていたべつにゆうじんが、)

その話を一緒に聞いていた別に友人が、

(「またー、よくできたつくりばなしだなぁ」とちゃかすと、)

「またー、よくできた作り話だなぁ」と茶化すと、

(かれはひとこと、「ほんとうだよ、まるまるとばつばつはそれでしんだんだ」といいました。)

彼は一言、「本当だよ、○○と××はそれで死んだんだ」と言いました。

(ぼくもほんとうだとおもいます。)

僕も本当だと思います。