洒落怖《雨の音》

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プレイ回数149難易度(4.9) 2380打 長文

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問題文

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(そのばんはあめがつよくふっていた。)

その晩は雨が強く降っていた。

(げんばにつき、とんねるのてまえでくるまをわきによせ、いちじていしゃ。)

現場に着き、トンネルの手前で車を脇に寄せ、一時停車。

(そのてのかんかくはにぶいほうだが、ぶきみなふんいきはかんじた。)

その手の感覚は鈍い方だが、不気味な雰囲気は感じた。

(「こわいばしょだ」という、せんこういめーじのせいもあるだろうが。)

「恐い場所だ」という、先行イメージのせいもあるだろうが。

(しばらくきゅうけいのあと、ゆっくりとくるまをすすめ、とんねるにしんにゅうかいし。)

暫く休憩の後、ゆっくりと車を進め、トンネルに進入開始。

(こういうたいけんははじめてなので、わくわくするようなみょうなこうようかんをかんじる。)

こういう体験は初めてなので、ワクワクするような妙な高揚感を感じる。

(ゆうじんたちもいいとししてゆうえんちののりものをまえにしたこどものようなひょうじょうで、)

友人達もいい年して遊園地の乗り物を前にした子供の様な表情で、

(めをかがやかせていた。)

目を輝かせていた。

(それほどさびれたばしょではないとおもうのだが、こうぞくのくるまはこなかった。)

それほど寂れた場所ではないと思うのだが、後続の車は来なかった。

(なのですぴーどをかなりおとしてすすんだ。なにかがおこることをきたいしながら。)

なのでスピードをかなり落として進んだ。何かが起こる事を期待しながら。

(しかしとくになにもおこらず、とんねるのしゅうたんまでついてしまった。)

しかし特に何も起こらず、トンネルの終端まで着いてしまった。

(とんねるのかべなどをかんさつしていたゆうじんたちも、)

トンネルの壁などを観察していた友人達も、

(べつにたえなものをみたわけではなさそうだ。)

別に妙なモノを見たわけではなさそうだ。

(「もういちどいってみよう」とていあんがでて、みなさんせいした。)

「もう一度行ってみよう」と提案が出て、皆賛成した。

(くるまをとんねるのはしでuたーんさせた、)

車をトンネルの端でUターンさせた、

(なにもおこらなかった。)

何も起こらなかった。

(ふまんなので、なんとかおうふくしてみようということになった。)

不満なので、何とか往復してみようという事になった。

(あめがつよくなってきたのか、あまつぶがくるまをたたくおとがうるさくなってきた。)

雨が強くなってきたのか、雨粒が車を叩く音がうるさくなってきた。

(3、4おうふくほどしただろうか。)

3、4往復程しただろうか。

(ゆうじんのひとりが「おい、もうかえろう」といいだした。)

友人の一人が「おい、もう帰ろう」と言い出した。

など

(なにもかわったこともおこらず、あきてきたのだろうとおもった。)

何も変わった事も起こらず、飽きてきたのだろうと思った。

(だが、なにかこえのちょうしがおかしかった。)

だが、何か声の調子がおかしかった。

(とんねるのでぐちがみえるあたりでいったんしゃをとめ、うしろをふりむいた。)

トンネルの出口が見える辺りで一旦車を停め、後ろを振り向いた。

(かえろうといいだしたゆうじんはかたをちぢめ、さむさにふるえるようなかっこうをしている。)

帰ろうと言い出した友人は肩を縮め、寒さに震える様な格好をしている。

(もうひとりじゃそのようすをみてきょとんとしている。)

もう一人じゃその様子を見てキョトンとしている。

(「え、どうした?なにかみえたのか?」ときいたが、)

「え、どうした?何か見えたのか?」と聞いたが、

(「いいから、とにかくここをでよう」という。)

「いいから、とにかくここを出よう」と言う。

(”なにか”をみたのか?きたいとふあんでどうきがはげしくなってきた。)

”何か”を見たのか?期待と不安で動悸が激しくなってきた。

(あめはいっそうひどくなり、ぼんねっとをたたくおとがみみざわりにかんじる。)

雨は一層ひどくなり、ボンネットを叩く音が耳障りに感じる。

(とにかくいったんここをでて、どこかおちつけるばしょをさがすことにした。)

とにかく一旦ここを出て、どこか落ち着ける場所を探す事にした。

(こくどうぞいのふぁみれすにより、ようやくひといきついた。)

国道沿いのファミレスに寄り、ようやく一息ついた。

(なつもちかいきせつだというのにこごえるようにふるえていたゆうじんも、)

夏も近い季節だというのに凍えるように震えていた友人も、

(ようやくおちついてきたようだ。)

ようやく落ち着いてきたようだ。

(「なぁ、もうだいじょうぶだろ?なにをみたんだよ」)

「なぁ、もう大丈夫だろ?何を見たんだよ」

(「きこえなかったのか?あれが」)

「聞こえなかったのか?あれが」

(ゆうじんはけげんそうなかおでぼくたちをみた。)

友人は怪訝そうな顔で僕達を見た。

(たえなかいおんのるいか?それともこえ?しかし、ぼくにはこころあたりはなかった。)

妙な怪音の類か?それとも声?しかし、僕には心当たりはなかった。

(もうひとりのゆうじんも、なにがなにやらといったひょうじょうをしている。)

もう一人の友人も、何が何やらといった表情をしている。

(「べつになにも・・・まぁ、うんてんしてたし、あめもうるさかったしなぁ」)

「別に何も・・・まぁ、運転してたし、雨もうるさかったしなぁ」

(「きこえてたじゃんか!!」)

「聞こえてたじゃんか!!」

(いきなりこえをはりあげておどろいた。)

いきなり声を張り上げて驚いた。

(しんやなのでふぁみれすにはほとんどひとがいなかったが、)

深夜なのでファミレスにはほとんど人がいなかったが、

(ばいとのてんいんがめをまるくしてこちらをふりむいた。)

バイトの店員が目を丸くしてこちらを振り向いた。

(しかし、かれがなにをいっているのかりかいできない。)

しかし、彼が何を言っているのか理解できない。

(「なにかきこえてたって?はっきりいってよ」)

「何か聞こえてたって?はっきり言ってよ」

(きはずかしさといらだちもあって、すこしつよいくちょうでいってしまった。)

気恥ずかしさと苛立ちもあって、少し強い口調で言ってしまった。

(しばらくおもいちんもくがつづいたあと、かれがくちをあいた。)

暫く思い沈黙が続いた後、彼が口を開いた。

(「あめだよ、あめのおと。おれたちはずっととんねるのなかにいただろ!)

「雨だよ、雨の音。俺達はずっとトンネルの中に居ただろ!

(なんであめがくるまにあたるんだよ!!」)

なんで雨が車に当たるんだよ!!」

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