僕のセイバータイガーの爪を返してください 2
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問題文
(そのひはゆうじんとやくそくをしていてかなりおそくきたくしたのですが、)
その日は友人と約束をしていてかなり遅く帰宅したのですが、
(げんかんのどあのぶにまたびにーるぶくろがぶらさげてあり)
玄関のドアノブにまたビニール袋がぶら下げてあり
(またか?とおもいながらびにーるぶくろをもちあげると)
またか?と思いながらビニール袋を持ち上げると
(ずっしりとおもくべんとうはこのようなものがみえました。)
ずっしりと重く弁当箱のようなものが見えました。
(なんだこれとべんとうのなかをあけるとなにともいえぬしょくもつがくさったにおいがむあっとして)
何だこれと弁当の中を開けると何とも言えぬ食物が腐った匂いがむあっとして
(いとをひいたのりべんみたいなものがでてきました。)
糸を引いたのり弁みたいなものが出てきました。
(さすがにぞっとしたわたしはすぐさまおおやさんのところまでいきじじょうをせつめいすることに。)
流石にゾッとした私はすぐさま大家さんのところまで行き事情を説明する事に。
(さいしょこそわたしのけんまくにおどろいていたおおやさんでしたが)
最初こそ私の剣幕に驚いていた大家さんでしたが
(「でもたまたまくさっちゃっただけでしゃざいのきもちなのよ」とか)
「でもたまたま腐っちゃっただけで謝罪の気持ちなのよ」とか
(「こういうかたちでしかひょうげんできないこなの」とけんとうちがいのことばをかえしてきました。)
「こういう形でしか表現できない子なの」と見当違いの言葉を返してきました。
(あまりににえきらないたいどにおもわずわたしは)
あまりに煮え切らない態度に思わず私は
(「いやこれいじょうこういうことがつづくならけいさつにそうだんします」とつたえると)
「いやこれ以上こういう事が続くなら警察に相談します」と伝えると
(「わかったわ、わたしからつたえておくからおちついて」となだめられ)
「わかったわ、私から伝えておくから落ち着いて」と宥められ
(そのひはしかたなくへやにひきかえすことにしました。)
その日は仕方なく部屋に引き返す事にしました。
(よくじつのあさのことです。)
翌日の朝の事です。
(そうちょうにいんたーほんがならされおおやふうふがたずねてきました。)
早朝にインターホンが鳴らされ大家夫婦が訪ねてきました。
(「きよしちゃんのけんでね、おかあさんがせいしきにしゃざいしたいみたいで)
「清ちゃんの件でね、お母さんが正式に謝罪したいみたいで
(かのじょのいえによばれているの」)
彼女の家に呼ばれているの」
(かいこういちばんおくさんはわたしにいいました。)
開口一番奥さんは私に言いました。
(「えっ?わたしがいくんですか?」)
「えっ?私が行くんですか?」
(なんでひがいしゃのわたしはいちいちかがいしゃたくまでいかなきゃならないのかと)
何で被害者の私はいちいち加害者宅まで行かなきゃならないのかと
(おもうわたしのきもちにきづいたのか)
思う私の気持ちに気付いたのか
(「ごめんねぇ、なんだかじたくでのしごとでどうしてもいえからはなれられないらしくて」)
「ごめんねぇ、何だか自宅での仕事でどうしても家から離れられないらしくて」
(「きょうでにどとこういうことがないようにするから、)
「今日で二度とこういう事が無いようにするから、
(せいしんせいいあってしゃざいしたいって」たてつづけにこうしゃべりつづけました。)
誠心誠意会って謝罪したいって」立て続けにこう喋り続けました。
(しらねーよ!とないしんおもいましたがいかりしんとうだったわたしは、)
知らねーよ!と内心思いましたが怒り心頭だった私は、
(もんくのひとつでもいってやろうとかのじょのじたくにいくことをしょうちしました。)
文句の一つでも言ってやろうと彼女の自宅に行く事を承知しました。
(もちろんおおやふうふがいっしょにきてくれるというじょうけんだったというのもあります。)
勿論大家夫婦が一緒に来てくれるという条件だったというのもあります。
(おおやのだんなさんがくるまをだしてくれ、10ぷんほどであのおやこのいえにつきました。)
大家の旦那さんが車を出してくれ、10分程であの親子の家に着きました。
(おやこのいえはじゅうたくがいからすこしはずれたところに)
親子の家は住宅街から少し外れたところに
(ぽつんとたっているふるびたいっけんやでした。)
ぽつんと立っている古びた一軒家でした。
(おおやのおくさんがいんたーほんをならすと)
大家の奥さんがインターホンを鳴らすと
(すぐにげんかんがひらきまんめんのえがおでははおやがでてきました。)
すぐに玄関が開き満面の笑顔で母親が出てきました。
(「どうぞ、どうぞ、いらっしゃい」そういうかのじょをみてわたしはぎょっとしました。)
「どうぞ、どうぞ、いらっしゃい」そういう彼女を見て私はぎょっとしました。
(なぜかかのじょはいわかんがあるほどどぎついめいくをしていてきものをきていたのです。)
何故か彼女は違和感がある程どぎついメイクをしていて着物を着ていたのです。
(おおやふうふはとくにおどろくようすもなくいえへはいっていきました。)
大家夫婦は特に驚く様子も無く家へ入っていきました。
(すこしおどろきながらもしかたなくわたしもつづくことに。)
少し驚きながらも仕方なく私も続く事に。
(いえのなかはがいそうとどうようでかなりねんきがはいっていてすえたようなにおいに)
家の中は外装と同様でかなり年季が入っていて饐えたような臭いに
(りょうりのようなにおいがいりまじっていました。)
料理のような匂いが入り混じっていました。
(いやなくうきをかんじながらながいろうかをあるいていちばんおくのふすまのまえにつくと)
嫌な空気を感じながら長い廊下を歩いて一番奥の襖の前に着くと
(「じゅんびがあるのですこしこのへやでおまちください」)
「準備があるので少しこの部屋でお待ちください」
(かのじょはそういいちがうへやにはいっていきました。)
彼女はそう言い違う部屋に入って行きました。
(いわれたとおりかのじょにあんないされたへやにはいると)
言われた通り彼女に案内された部屋に入ると
(しょうげきてきなえいぞうがわたしのめにとびこんできました。)
衝撃的な映像が私の目に飛び込んできました。
(よくおみあいなんかででてくるながいつくえのうえに)
よくお見合いなんかで出てくる長い机の上に
(おかしらつきのたいやせきはんなどのごうせいなりょうりがところせましとならべられていたのです。)
尾頭付きの鯛や赤飯などの豪勢な料理がところ狭しと並べられていたのです。
(べつだんおどろくこともなくすわりだしたおおやふうふのとなりにすわり、)
別段驚く事も無く座り出した大家夫婦の隣に座り、
(「これなんなんですかね?」とたずねると)
「これなんなんですかね?」と尋ねると
(がらーとふすまがひらきははおやがへやのなかにはいってきました。)
ガラと襖が開き母親が部屋の中に入って来ました。
(するとかのじょはきゅうにどげざのようなかたちのぽーずをとり、)
すると彼女は急に土下座のような形のポーズを取り、
(「このたびはむすこのきよめのえんだんをごしょうちくださいましてありがとうございます。」)
「この度は息子の清の縁談をご承知くださいましてありがとうございます。」
(とおおごえでしゃべりはじめました。)
と大声で喋り始めました。
(わたしがぱにっくになっていると)
私がパニックになっていると
(「ほんじつはおひがらもよく、こんやくのしるしとしてゆいのうのしなじなをごじさんいたしました。)
「本日はお日柄もよく、婚約のしるしとして結納の品々をご持参致しました。
(いくひさしくおおさめください」とははおやがしゃべりつづけるのです。)
幾久しくお納めください」と母親が喋り続けるのです。
(「いや、どういうことですか?なになんですかこれ?」)
「いや、どういう事ですか?何なんですかこれ?」
(わたしがつよめのくちょうでおおやのおくさんにいうと)
私が強めの口調で大家の奥さんに言うと
(「なにってめでたいことじゃない、むすばれるっていうことは」)
「何ってめでたい事じゃない、結ばれるっていうことは」
(まんめんのえみをうかべておくさんはわたしにいいました。)
満面の笑みを浮かべて奥さんは私に言いました。
(まともじゃない・・・きゅうにせなかにひやあせがながれみみがかーっとあつくなりました。)
まともじゃない・・・急に背中に冷や汗が流れ耳がカーっと熱くなりました。
(いっこくもはやくこのばをはなれなければ、とはいうもののあまりのできごとに)
一刻も早くこの場を離れなければ、とはいうもののあまりの出来事に
(しこうもからだもかんぜんにていししてしまっていました。)
思考も体も完全に停止してしまっていました。
(そのあいだにも「すみませんねーきよしいまきがえてておそくなっちゃって」)
その間にも「すみませんねー清今着替えてて遅くなっちゃって」
(とははおやがいいだし、おおやふうふもまんめんのえみで)
と母親が言い出し、大家夫婦も満面の笑みで
(「まあまあきよしちゃんもきんちょうしているんでしょう」「ははあはっははっ」)
「まあまあ清ちゃんも緊張しているんでしょう」「ははあはっははっ」
(とだんしょうしつづけています。)
と談笑し続けています。
(げんじつとはいえないじょうきょうのなか、うごかないからだとははんたいにめだけが)
現実とは言えない状況の中、動かない体とは反対に目だけが
(かのじょなどのいっきょいちどうをかんさつしていました。)
彼女等の一挙一動を観察していました。
(すると、ちらっとめのはしにいわかんがあるものがうつったきがしました。)
すると、ちらっと目の端に違和感があるものが写った気がしました。
(ちょうどだんしょうしているははおやのうしろ)
ちょうど談笑している母親の後ろ
(「ひっ」こえにならないこえがでました。)
「ひっ」声にならない声が出ました。
(ははおやのうしろにはあのおとこのいえいとりっぱなぶつだんがあったんです。)
母親の後ろにはあの男の遺影と立派な仏壇があったんです。
(「お、おてあらいおかりします!!」)
「お、お手洗いお借りします!!」
(そういうとわたしはげんかんまでいきおいよくかけだしました。)
そういうと私は玄関まで勢いよく駆けだしました。
(「あら、ちょっとーー」うしろからははおやのこえがおいかけてきましたが、)
「あら、ちょっとーー」後ろから母親の声が追いかけてきましたが、
(むししてくつもはかずにげんかんをとびだしできるだけひとがおおいところへはしりだしました。)
無視して靴も履かずに玄関を飛び出し出来るだけ人が多い所へ走り出しました。
(あたまのなかではなんで?どうして?というかんがえがぐるぐるとめぐっていました。)
頭の中ではなんで?どうして?という考えがぐるぐると巡っていました。
(はんぶんぱにっくじょうたいになりながら、ゆうじんにでんわをすると)
半分パニック状態になりながら、友人に電話をすると
(わたしのききせまるようすがつたわったのか、すぐにゆうじんがむかえにきてくれました。)
私の鬼気迫る様子が伝わったのか、すぐに友人が迎えに来てくれました。
(ただゆうじんにどうせつめいしていいかもわからず、とらぶるにまきこまれたとだけいい)
ただ友人にどう説明していいかも分からず、トラブルに巻き込まれたとだけ言い
(そのひはなんとかとめてもらいよくじつにはじっかにきせいしました。)
その日は何とか泊めてもらい翌日には実家に帰省しました。
(あのあぱーとにはいろいろなにもつもありましたし、)
あのアパートには色々な荷物もありましたし、
(てつづきもなにもせずほぼよにげじょうたいでいなくなったのですが、)
手続きも何もせずほぼ夜逃げ状態でいなくなったのですが、
(いまのところおおやかられんらくはきていません。)
今のところ大家から連絡は来ていません。
(きてもりょうしんにたいおうしてもらうつもりですが・・・。)
来ても両親に対応してもらうつもりですが・・・。
(また、どうしてもあのとちにちかづきたくなく)
また、どうしてもあの土地に近付きたくなく
(けっきょくしゅうしょくさきもじたいしてしまいました。)
結局就職先も辞退してしまいました。
(おちもなくしんそうもわからぬままですがわかりたくもないし、)
オチもなく真相も分からぬままですが分かりたくもないし、
(にどとかかわりあいになりたくないのでこのようなかたちになってしまいました。)
二度と関わり合いになりたくないのでこのような形になってしまいました。
(みなさんもきょくたんにやすかったり、いんうつなふんいきのあぱーとにはきをつけてください。)
皆さんも極端に安かったり、陰鬱な雰囲気のアパートには気を付けてください。
(やはりそれなりのりゆうがあるんだとおもいます。)
やはりそれなりの理由があるんだと思います。