夢のひかり速度旅行舎_3/3

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右手小指って仕事多くない?
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問題文
(こちらのぴにょんさんのかおからみるみるちのけがひいていきます。)
こちらのピニョンさんの顔からみるみる血の気が引いていきます。
(「そうそう、おきゃくさまのばあいだいえっとおぷしょんをえらばれましたから、)
「そうそう、お客様の場合ダイエットオプションを選ばれましたから、
(あなたさまおひとりでひとりとはんぶんでございました」)
貴方様お一人で一人と半分でございました」
(ぴにょんさんはこわくてこわくて、てんいんさんをつきとばしてにげだしました。)
ピニョンさんは恐くて恐くて、店員さんを突き飛ばして逃げ出しました。
(あちこちにからだをぶつけしろいふくのひとたちに)
あちこちに体をぶつけ白い服の人たちに
(けられたりなぐられたりしながらぴにょんさんははしりつづけます。)
蹴られたり殴られたりしながらピニョンさんは走りつづけます。
(すぐうしろにあしおとがせまります。)
すぐ後ろに足音が迫ります。
(「つかまえろ!」「てんしをよびだせ!」)
「捕まえろ!」「天使を呼びだせ!」
(「ほうりこめ!」「まわりこめ!」「そとのとびらをしめるんだ!」)
「放り込め!」「回りこめ!」「外の扉を閉めるんだ!」
(どごうがとびかいます。)
怒号が飛び交います。
(がりぎゃり、がりぎゃり、がりぎゃり、おとがちかづいてきます。)
ガリギャリ、ガリギャリ、ガリギャリ、音が近づいてきます。
(ぴにょんさんはみたくありませんでした。)
ピニョンさんは見たくありませんでした。
(でも、めをしっかりあけてないと、つかまってしまいます。)
でも、目をしっかりあけてないと、つかまってしまいます。
(つかまってしまうと、きっとおそろしいことになってしまいます。)
つかまってしまうと、きっと恐ろしいことになってしまいます。
(あかぐろいすーぷをたたえたおわんのようにみえます。)
赤黒いスープをたたえたおわんのように見えます。
(したあごだけがひっくりかえったのふねのようにおよいでいます。)
下あごだけがひっくり返ったの船のように泳いでいます。
(つめやかみがさざなみのようにただよっています。)
爪や髪がさざなみのようにただよっています。
(がりぎゃり、がが、じぃ、ずぅぅ、ずぅぅぅ。)
ガリギャリ、ガガ、ジィ、ズゥゥ、ズゥゥゥ。
(ちょうどみきさーがとまりました。)
ちょうどミキサーが止まりました。
(みるみるすーぷはすいあげられ)
みるみるスープは吸い上げられ
(あかとしろいまだらのかいがんせんがすがたをあらわします。)
赤と白いまだらの海岸線が姿をあらわします。
(からみあったかみのけがしまをつくります。)
絡み合った髪の毛が島を作ります。
(やはりみてはいけませんでした。)
やはり見てはいけませんでした。
(たとえつかまろうと、あしをふみはずそうと、みてはいけませんでした。)
たとえつかまろうと、足を踏み外そうと、見てはいけませんでした。
(たくさんのめがぴにょんさんをみています。)
たくさんの目がピニョンさんを見ています。
(やっとうごくてをぴにょんさんにのばすひとがいました。)
やっと動く手をピニョンさんに伸ばす人がいました。
(ちぎれたてをいだいたこどもがみえます。)
ちぎれた手を抱いた子供が見えます。
(ぽんぷにすいあげられまいと、)
ポンプに吸い上げられまいと、
(まだらのかいがんをつめのないてがかいています。)
まだらの海岸を爪のない手が掻いています。
(きっとめがさめていたのはぴにょんさんだけではなかったのです。)
きっと目が覚めていたのはピニョンさんだけではなかったのです。
(・・・・・・こえがきこえます。)
……声がきこえます。
(ぴにょんさんはくるったようにさけんで、)
ピニョンさんは狂ったように叫んで、
(もうまえもうしろもわからずはしりだします。)
もう前も後ろもわからず走り出します。
(ただ、ただ、あおいそらがみたかっただけなのに、)
ただ、ただ、青い空が見たかっただけなのに、
(ほんもののそらがみたかっただけなのに。)
本物の空が見たかっただけなのに。
(ぴにょんさんはうまくかんがえることができません。)
ピニョンさんはうまく考えることができません。
(いろんなところにかすみがかかってゆめのなかのようでした。)
いろんなところにかすみが掛かって夢の中のようでした。
(ほんとうにくるってしまったのかもしれません。)
本当に狂ってしまったのかもしれません。
(ぴにょんさんははしります。もうどれくらいはしりつづけたかわかりません。)
ピニョンさんは走ります。もうどれくらい走りつづけたかわかりません。
(あかるいほうへあかるいほうへ、ぴにょんさんははしりつづけます。)
明るいほうへ明るいほうへ、ピニョンさんは走り続けます。
(きがつくとぴにょんさんは)
気が付くとピニョンさんは
(てんじょうのせかいのようにひかりにみちあふれたへやにいました。)
天上の世界のように光に満ち溢れた部屋にいました。
(もう、いたみもありません。)
もう、痛みもありません。
(いたみがなくなったかわりに、にげるきりょくもなくなってしまいました。)
痛みがなくなったかわりに、逃げる気力もなくなってしまいました。
(たったひとつだけあしおとがまだおってきます。)
たった一つだけ足音がまだ追ってきます。
(あしおとはゆっくりちかづいてきます。)
足音はゆっくり近づいてきます。
(あしおとのぬしはもうぴにょんさんのめのまえです。)
足音の主はもうピニョンさんの目の前です。
(それはうつくしいてんしのようにみえます。)
それは美しい天使のように見えます。
(どこからかさんびかのこえがきこえてくるようなきがします。)
どこからか賛美歌の声が聞こえてくるような気がします。
(いいえ、ぴにょんさんのみみには、はっきりとそれがきこえてきます。)
いいえ、ピニョンさんの耳には、はっきりとそれが聞こえてきます。
(だったらここは、ほんとうにてんじょうのせかいなのかもしれません。)
だったらここは、本当に天上の世界なのかも知れません。
(ぴにょんさんは、あんしんして、なんだかぜんぶのちからが)
ピニョンさんは、安心して、なんだか全部の力が
(なくなったようにかんじました。)
なくなったように感じました。
(てんしににたものは、ほうけたぴにょんさんのみみもとでささやきます。)
天使に似たものは、ほうけたピニョンさんの耳元でささやきます。
(「このせかいをつくったかみさまが、もっと、やさしかったらよかったのにね」)
「この世界を作った神様が、もっと、やさしかったらよかったのにね」
(ぴにょんさんはうなずきます。)
ピニョンさんはうなずきます。
(「ばいばい、ぴにょんさん」)
「ばいばい、ピニョンさん」
(てんしににたもののこえは、あおいそらのした、)
天使に似たものの声は、青い空の下、
(ヴぃるれとだきあったぴにょんさんにはとどきませんでした。)
ヴィルレと抱き合ったピニョンさんには届きませんでした。
(りょう)
了
(ちゅうしゃく:ほんさくにおける「ひかりそくどりょこう」は、)
注釈:本作における「ひかり速度旅行」は、
(このせかいでじつようかされているぎじゅつです。)
この世界で実用化されている技術です。
(ただし、りょうしのーくろーんていりにだいひょうされる)
ただし、量子ノークローン定理に代表される
(ぶつりてきせいやくがほんしつてきにかいけつされたかどうかについては、)
物理的制約が本質的に解決されたかどうかについては、
(ぎじゅつかいはつきぎょうおよびかくしゅせいふきかんからはめいかくなかいとうがえられておりません。)
技術開発企業および各種政府機関からは明確な回答が得られておりません。
(しかしながらじっさいにしようされたおきゃくさまからの)
しかしながら実際に使用されたお客様からの
(くじょうやいぎもうしたてもいっさいそんざいせず、)
苦情や異議申し立ても一切存在せず、
(さーびすはえんかつにうんようされております。)
サービスは円滑に運用されております。
(ゆめのりょこうをおたのしみください。)
夢の旅行をお楽しみください。