怪人二十面相22

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問題文

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(ものがいえなかったのです。」)

ものがいえなかったのです。」

(ああ、ではいまのおやこじきこそ、にじゅうめんそうそのひとだったのです。かれは)

ああ、では今の親乞食こそ、二十面相その人だったのです。かれは

(こじきにへんそうをして、それとなく、ぶつぞうがはこびだされたのをみきわめたうえ、)

乞食に変装をして、それとなく、仏像が運びだされたのを見きわめたうえ、

(やくそくどおりそうじくんをかえして、にげさったのにちがいありません。)

約束どおり壮二君をかえして、逃げさったのにちがいありません。

(それにしても、こじきとは、なんというおもいきったへんそうでしょう。)

それにしても、乞食とは、なんという思いきった変装でしょう。

(こじきならば、ひとのもんぜんにうろついていても、さしてあやしまれないという、)

乞食ならば、人の門前にうろついていても、さしてあやしまれないという、

(にじゅうめんそうらしいおもいつきです。)

二十面相らしい思いつきです。

(そうじくんはぶじにかえりました。きけば、せんぽうでは、ちかしつに)

壮二君はぶじに帰りました。聞けば、先方では、地下室に

(とじこめられてはいたけれど、べつにぎゃくたいされるようなこともなく、)

とじこめられてはいたけれど、べつに虐待されるようなこともなく、

(しょくじもじゅうぶんにあてがわれていたということです。)

食事もじゅうぶんにあてがわれていたということです。

(これではしばけのおおきなしんぱいはとりのぞかれました。おとうさまおかあさま)

これで羽柴家の大きな心配はとりのぞかれました。おとうさまおかあさま

(のよろこびがどんなであったかは、どくしゃしょくんのごそうぞうにおまかせします。)

の喜びがどんなであったかは、読者諸君のご想像におまかせします。

(さて、いっぽう、こじきにばけたにじゅうめんそうは、かぜのようにはしばけのもんを)

さて、いっぽう、乞食に化けた二十面相は、風のように羽柴家の門を

(とびだし、こぐらいよこちょうにかくれて、すばやくこじきのきものをぬぎずてますと、)

とびだし、小暗い横町にかくれて、すばやく乞食の着物をぬぎずてますと、

(そのしたにはちゃいろのじっとくすがたのおじいさんのへんそうがよういしてありました。)

その下には茶色の十徳姿のおじいさんの変装が用意してありました。

(あたまはしらが、かおもしわだらけの、どうみてもろくじゅうをこしたごいんきょさまです。)

頭はしらが、顔もしわだらけの、どう見ても六十をこしたご隠居さまです。

(かれはすがたをととのえると、かくしもっていたたけのつえをつき、せなかをまるめて、)

彼は姿をととのえると、かくし持っていた竹の杖をつき、背中をまるめて、

(よちよちと、あるきだしました。たとえはしばしがやくそくをむしして、)

よちよちと、歩きだしました。たとえ羽柴氏が約束を無視して、

(おってをさしむけたとしても、これではみやぶられるきづかいは)

追っ手をさしむけたとしても、これでは見やぶられる気づかいは

(ありません。じつにこころにくいばかりのよういしゅうとうなやりくちです。)

ありません。じつに心にくいばかりの用意周到なやりくちです。

など

(ろうじんはおおどおりにでると、いちだいのたくしーをよびとめて、のりこみましたが、)

老人は大通りに出ると、一台のタクシーを呼びとめて、乗りこみましたが、

(にじゅっぷんもでたらめのほうこうにはしらせておいて、べつのくるまにのりかえ、)

二十分もでたらめの方向に走らせておいて、べつの車に乗りかえ、

(こんどは、ほんとうのかくれがへいそがせました。)

こんどは、ほんとうのかくれがへいそがせました。

(くるまのとまったところは、とやまがはらのいりぐちでした。ろうじんはそこでくるまを)

車のとまったところは、戸山ヶ原の入り口でした。老人はそこで車を

(おりて、まっくらなはらっぱをよぼよぼとあるいていきます。さては、)

おりて、まっくらな原っぱをよぼよぼと歩いていきます。さては、

(ぞくのそうくつはとやまがはらにあったのです。)

賊の巣くつは戸山ヶ原にあったのです。

(はらっぱのいっぽうのはずれ、こんもりとしたすぎばやしのなかに、ぽっつりと、)

原っぱのいっぽうのはずれ、こんもりとした杉林の中に、ポッツリと、

(いっけんのふるいようかんがたっています。あれはててすみてもないような)

一軒の古い洋館が建っています。荒れはてて住みてもないような

(たてものです。ろうじんは、そのようかんのとぐちを、とんとんとんとみっつたたいて、)

建物です。老人は、その洋館の戸口を、トントントンと三つたたいて、

(すこしあいだをおいて、とんとんとふたつたたきました)

少し間をおいて、トントンと二つたたきました。

(すると、これがなかまのあいずとみえて、なかからどあがひらかれ、)

すると、これが仲間のあいずとみえて、中からドアがひらかれ、

(さいぜんぶつぞうをぬすみだしたてしたのひとりが、にゅっとかおをだしました。)

さいぜん仏像をぬすみだした手下のひとりが、ニュッと顔を出しました。

(ろうじんはだまったままさきにたって、ぐんぐんおくのほうへはいっていきます。)

老人はだまったまま先に立って、ぐんぐん奥のほうへはいっていきます。

(ろうかのつきあたりに、むかしは、さぞりっぱであったろうとおもわれる、)

廊下のつきあたりに、むかしは、さぞりっぱであったろうと思われる、

(ひろいへやがあって、そのへやのまんなかに、ぬのをまきつけたままの)

広い部屋があって、その部屋のまんなかに、布をまきつけたままの

(ぶつぞうのがらすばこが、でんとうもない、はだかろうそくのあかちゃけたひかりに、)

仏像のガラス箱が、電燈もない、はだかろうそくの赤茶けた光に、

(てらしだされています。)

照らしだされています。

(「よしよし、おまえたちうまくやってくれた。これはほうびだ。)

「よしよし、おまえたちうまくやってくれた。これはほうびだ。

(どっかへいって、あそんでくるがいい。」)

どっかへ行って、遊んでくるがいい。」

(さんにんのものにすうまいのせんえんさつをあたえて、そのへやをたちさらせると、)

三人の者に数枚の千円札をあたえて、その部屋を立ちさらせると、

(ろうじんは、がらすばこのぬのをゆっくりとりさって、そこにあった)

老人は、ガラス箱の布をゆっくりとりさって、そこにあった

(はだかろうそくをかたてに、ぶつぞうのしょうめんにたち、ひらきどになっている)

はだかろうそくを片手に、仏像の正面に立ち、ひらき戸になっている

(がらすのとびらをひらきました。)

ガラスのとびらをひらきました。

(「かんのんさま、にじゅうめんそうのうでまえは、どんなもんですね。きのうは)

「観音さま、二十面相の腕まえは、どんなもんですね。きのうは

(にひゃくまんえんのだいやもんど、きょうはこくほうきゅうのびじゅつひんです。このちょうし)

二百万円のダイヤモンド、きょうは国宝級の美術品です。このちょうし

(だと、ぼくのけいかくしているだいびじゅつかんも、まもなくかんせいしようと)

だと、ぼくの計画している大美術館も、まもなく完成しようと

(いうものですよ。ははは・・・・・・、かんのんさま。あなたはじつに)

いうものですよ。ハハハ……、観音さま。あなたはじつに

(よくできていますぜ。まるでいきているようだ。」)

よくできていますぜ。まるでいきているようだ。」

(ところが、どくしゃしょくん、そのときでした。にじゅうめんそうのひとりごとが、)

ところが、読者諸君、そのときでした。二十面相のひとりごとが、

(おわるかおわらぬかに、かれのことばどおりに、じつにおそろしい)

終わるか終わらぬかに、彼のことばどおりに、じつにおそろしい

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