怪人二十面相76

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(「え、え、きみはなにをいっているんだ。なにもぬすまれてなんかいや)

「え、え、きみは何をいっているんだ。何もぬすまれてなんかいや

(しないじゃないか。ぼくは、ついいましがた、このめでちんれつしつをずっと)

しないじゃないか。ぼくは、つい今しがた、この目で陳列室をずっと

(みまわってきたばかりなんだぜ。それに、はくぶつかんのまわりには、ごじゅうにんの)

見まわってきたばかりなんだぜ。それに、博物館のまわりには、五十人の

(けいかんがはいちしてあるんだ。ぼくのところのけいかんたちはめくらじゃないん)

警官が配置してあるんだ。ぼくのところの警官たちはめくらじゃないん

(だからね。」)

だからね。」

(けいしそうかんは、あけちをにらみつけて、はらだたしげにどなりました。)

警視総監は、明智をにらみつけて、腹だたしげにどなりました。

(「ところが、すっかりぬすみだされているのです。にじゅうめんそうはれいによって)

「ところが、すっかりぬすみだされているのです。二十面相は例によって

(まほうをつかいました。なんでしたら、ごいっしょにしらべてみようでは)

魔法を使いました。なんでしたら、ごいっしょにしらべてみようでは

(ありませんか。」)

ありませんか。」

(あけちは、しずかにこたえました。)

明智は、しずかに答えました。

(「ふーん、きみはたしかにぬすまれたというんだね。よし、それじゃ、)

「ふーん、きみはたしかにぬすまれたというんだね。よし、それじゃ、

(みんなでしらべてみよう。かんちょう、このおとこのいうのがほんとうかどうか、)

みんなでしらべてみよう。館長、この男のいうのがほんとうかどうか、

(ともかくちんれつしつへいってみようじゃありませんか。」)

ともかく陳列室へ行ってみようじゃありませんか。」

(まさかあけちがうそをいっているともおもえませんので、そうかんもいちど)

まさか明智がうそをいっているとも思えませんので、総監も一度

(しらべてみるきになったのです。)

しらべてみる気になったのです。

(「それがいいでしょう。さあ、きたこうじせんせいもごいっしょにまいりましょう。」)

「それがいいでしょう。さあ、北小路先生もごいっしょにまいりましょう。」

(あけちははくはつはくぜんのろうかんちょうににっこりほほえみかけながら、うながし)

明智は白髪白髯の老館長にニッコリほほえみかけながら、うながし

(ました。)

ました。

(そこで、よにんは、つれだってかんちょうしつをでると、ろうかづたいにほんかんの)

そこで、四人は、つれだって館長室を出ると、廊下づたいに本館の

(ちんれつじょうのほうへはいっていきましたが、あけちはきたこうじかんちょうのろうたいを)

陳列場のほうへはいっていきましたが、明智は北小路館長の老体を

など

(いたわるようにそのてをとって、せんとうにたつのでした。)

いたわるようにその手を取って、先頭に立つのでした。

(「あけちくん、きみはゆめでもみたんじゃないか。どこにもいじょうはないじゃないか。」)

「明智君、きみは夢でも見たんじゃないか。どこにも異常はないじゃないか。」

(ちんれつじょうにはいるやいなや、けいじぶちょうがさけびました。)

陳列場にはいるやいなや、刑事部長がさけびました。

(いかにもぶちょうのいうとおり、がらすばりのちんれつだなのなかには、こくほうの)

いかにも部長のいうとおり、ガラス張りの陳列棚の中には、国宝の

(ぶつぞうがずらっとならんでいて、べつになくなったしなもないようすです。)

仏像がズラッとならんでいて、べつになくなった品もないようすです。

(「これですか。」)

「これですか。」

(あけちは、そのぶつぞうのちんれつだなをゆびさして、いみありげにぶちょうのかおをみ)

明智は、その仏像の陳列棚を指さして、意味ありげに部長の顔を見

(かえりながら、そこにたっていたしゅえいにこえをかけました。)

かえりながら、そこに立っていた守衛に声をかけました。

(「このがらすどをひらいてくれたまえ。」)

「このガラス戸をひらいてくれたまえ。」

(しゅえいは、あけちこごろうをみしりませんでしたけれど、かんちょうやけいしそうかんと)

守衛は、明智小五郎を見知りませんでしたけれど、館長や警視総監と

(いっしょだものですから、めいれいにおうじて、すぐさまもっていたかぎで、)

いっしょだものですから、命令に応じて、すぐさま持っていたかぎで、

(おおきながらすどを、がらがらとひらきました。)

大きなガラス戸を、ガラガラとひらきました。

(すると、そのしゅんかん、じつにいようなことがおこったのです。)

すると、そのしゅんかん、じつに異様なことがおこったのです。

(ああ、あけちたんていは、きでもちがったのでしょうか。かれは、ひろい)

ああ、明智探偵は、気でもちがったのでしょうか。彼は、広い

(ちんれつだなのなかへはいっていったかとおもうと、なかでもいちばんおおきい、)

陳列棚の中へはいって行ったかと思うと、中でもいちばん大きい、

(きぼりのこだいぶつぞうにちかづき、いきなり、どのかっこうのよいうでを、)

木彫りの古代仏像に近づき、いきなり、どのかっこうのよい腕を、

(ぽきんとおってしまったではありませんか。)

ポキンと折ってしまったではありませんか。

(しかもそのすばやいこと、さんにんのひとたちが、あっけにとられ、)

しかもそのすばやいこと、三人の人たちが、あっけにとられ、

(とめるのもわすれて、めをみはっているまに、おなじちんれつだなの、どれも)

とめるのもわすれて、目を見はっているまに、同じ陳列棚の、どれも

(これもこくほうばかりのいつつのぶつぞうを、つぎからつぎへと、たちまちもうちに)

これも国宝ばかりの五つの仏像を、つぎからつぎへと、たちまちもうちに

(かたっぱしからとりかえしのつかぬきずものにしてしまいました。)

片っぱしからとりかえしのつかぬ傷ものにしてしまいました。

(あるものはうでをおられ、あるものはくびをひきちぎられ、あるものは)

あるものは腕を折られ、あるものは首をひきちぎられ、あるものは

(ゆびをひきちぎられて、みるもむざんなありさまです。)

指をひきちぎられて、見るもむざんなありさまです。

(「あけちくん、なにをする。おい、いけない。よさんか。」)

「明智君、なにをする。おい、いけない。よさんか。」

(そうかんとけいじぶちょうとが、こえをそろえてどなりつけるのをききながして、)

総監と刑事部長とが、声をそろえてどなりつけるのを聞きながして、

(あけちはさっとちんれつだなをとびだすと、また、さいぜんのようにろうかんちょうの)

明智はサッと陳列棚を飛びだすと、また、さいぜんのように老館長の

(そばへより、そのてをにぎって、にこにことわらっているのです。)

そばへより、その手をにぎって、にこにこと笑っているのです。

(「おい、あけちくんいったい、どうしたというんだ。らんぼうにも)

「おい、明智くんいったい、どうしたというんだ。らんぼうにも

(ほどがあるじゃないか。これははくぶつかんのなかでもいちばんきちょうな)

ほどがあるじゃないか。これは博物館の中でもいちばん貴重な

(こくほうばかりなんだぞ。」)

国宝ばかりなんだぞ。」

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