刀 -1-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7491 7.6 98.4% 287.0 2184 34 59 2025/06/10
2 HAKU 7304 7.5 96.4% 291.2 2208 81 59 2025/06/12
3 Jyo 5547 A 5.6 97.5% 383.6 2184 56 59 2025/06/11

関連タイピング

問題文

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(ししょうからきいたはなしだ。)

師匠から聞いた話だ。

(だいがくにかいせいのはるのおわりだった。)

大学二回生の春の終わりだった。

(ぼくはししょうのあぱーとのどあをのっくした。おかるとどうのししょうだ。)

僕は師匠のアパートのドアをノックした。オカルト道の師匠だ。

(まったがおうとうがなかった。)

待ったが応答がなかった。

(かぎがかかっていないのはしっていたが、なにぶんじょせいのへや。)

鍵が掛かっていないのは知っていたが、なにぶん女性の部屋。

(さすがにいつもならちゅうちょしてしまうところだが、)

さすがにいつもなら躊躇してしまうところだが、

(ついさっきこのへやをでていったばかりなのだ。)

ついさっきこの部屋を出て行ったばかりなのだ。

(ようしゃなくどあをひらけはなつ。)

容赦無くドアを開け放つ。

(へやのまんなかでししょうはねていた。)

部屋の真ん中で師匠は寝ていた。

(そのひ、あさがたはまだそれほどでもなかったのにひるまえごろにはきゅうにきおんがあがり、)

その日、朝方はまだそれほどでもなかったのに昼前ごろには急に気温が上がり、

(きのうのあめもあってか、もうれつにむしあつかった。)

昨日の雨もあってか、猛烈に蒸し暑かった。

(そのへやはおせじにもあまりいいぶっけんとはいえず、)

その部屋はお世辞にもあまりいい物件とは言えず、

(こういうかんだんさのえいきょうはもろにうける。)

こういう寒暖差の影響はモロに受ける。

(ししょうはたたみのうえ、うつぶせのままぐったりしてざぶとんにかおをうずめている。)

師匠は畳の上、うつ伏せのままぐったりして座布団に顔をうずめている。

(ぼくはくつをぬいであがるとそのそばにちかよってこえをかけた。)

僕は靴を脱いで上がるとその側に近寄って声を掛けた。

(「・・・・・」)

「・・・・・」

(なにかおうとうがあったが、もごもごしてききとれない。)

なにか応答があったが、モゴモゴして聞き取れない。

(「ししょう」)

「師匠」

(もういちどいいながらかたをたたく。)

もう一度言いながら肩を叩く。

(ようやくざぶとんからかおがわずかながらうきあがる。ものすごくだるそうだ。)

ようやく座布団から顔がわずかながら浮き上がる。もの凄くだるそうだ。

など

(また、なにかいった。)

また、なにか言った。

(みみをよせる。)

耳を寄せる。

(「おばけみるいがい、したくない」)

「おばけ見る以外、したくない」

(はあ?)

はあ?

(「ちょっと」)

「ちょっと」

(ぼくはまたざぶとんにかおをうずめたししょうのからだをゆする。)

僕はまた座布団に顔をうずめた師匠の体を揺する。

(「これですよ、これ」)

「これですよ、これ」

(そうしてひだりてにさげたかみぶくろをがさがさとずじょうでふってみせる。)

そうして左手に下げた紙袋をガサガサと頭上で振ってみせる。

(「ちょっと。みてくださいよ、これ」)

「ちょっと。見てくださいよ、これ」

(ししょうはうっすらとかいたあせをほおにぬぐってかおをはんぶんこちらにむけ、)

師匠は薄っすらとかいた汗を頬に拭って顔を半分こちらに向け、

(ねむりかけのうたぐりぶかそうなめつきでぼそりとつぶやく。)

眠りかけのうたぐり深そうな目つきでボソリと呟く。

(「おばけいがい、みたくない」)

「おばけ以外、見たくない」

(ええと。)

ええと。

(そんなせんげんどうでもいいですから、おかねください。たてかえたおかね。)

そんな宣言どうでもいいですから、お金ください。立て替えたお金。

(そもそもついさっきおつかいをたのんだのはそっちでしょう。)

そもそもついさっきお遣いを頼んだのはそっちでしょう。

(ぼくはあきれてかみぶくろからいんかんをとりだすと、またもやかおをざぶとんに)

僕はあきれて紙袋から印鑑を取り出すと、またもや顔を座布団に

(うずめているししょうのまえでふってみせたが、)

うずめている師匠の前で振って見せたが、

(はんのうがないのでくびすじにおしつけてやった。)

反応がないので首筋に押し付けてやった。

(やっべ。)

やっべ。

(あかいものがついた。)

赤いものがついた。

(みせでためしにおしたときのいんくがのこっていたらしい。)

店で試しに押した時のインクが残っていたらしい。

(ししょうはようやくそのかんしょくにすべてをおもいだしたのか、)

師匠はようやくその感触にすべてを思い出したのか、

(ふかいためいきをついてじょうはんしんをおこした。)

深いため息をついて上半身を起こした。

(「そうか。たのんでたな。いくらだった」)

「そうか。頼んでたな。いくらだった」

(ちゅうもんしていたいんかんができてるはずだからとりにいっていってこいという、)

注文していた印鑑ができてるはずだから取りに行って行って来いという、

(おねがいというよりなかばめいれいだった。)

お願いというより半ば命令だった。

(「たかかったですよ」)

「高かったですよ」

(ぼくのいったねだんにはなをならしてうらめしそうにさいふをさぐる。)

僕の言った値段に鼻を鳴らして恨めしそうに財布を探る。

(やがてきまりのわるそうなかおになった。)

やがて決まりの悪そうな顔になった。

(「またきんけつですか」)

「また金欠ですか」

(こころなしかやせてみえる。)

心なしか痩せて見える。

(「いや、かねがはいるあてはあるんだよ。きょうだって・・・・・きょう?」)

「いや、金が入るあてはあるんだよ。今日だって・・・・・今日?」

(さいふをさぐるてをとめてぼくのかおをみた。そしてすぐさまでんわにとびつく。)

財布を探る手を止めて僕の顔を見た。そしてすぐさま電話に飛びつく。

(どこかにかけた。あいてがでる。)

どこかにかけた。相手が出る。

(「すんません。わすれてました」)

「すんません。忘れてました」

(かいこういちばんそれだ。)

開口一番それだ。

(ぼくはたてかえたいんかんだいがもどってくるのかふあんになった。)

僕は立て替えた印鑑代が戻ってくるのか不安になった。

(しばらくのやりとりのすえ、ししょうはじゅわきをおく。あたまをかきながら。)

しばらくのやりとりの末、師匠は受話器を置く。頭をかきながら。

(「じむしょいくのわすれてた」)

「事務所行くの忘れてた」

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