怪人二十面相25

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問題文

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(ああ、どくしゃしょくん、まだあんしんはできません。なにしおうかいとうのことです。)

ああ、読者諸君、まだ安心はできません。名にしおう怪盗のことです。

(まけたとみせて、そのじつ、どんなさいごのきりふだをのこしていないとも)

負けたとみせて、そのじつ、どんな最後の切り札を残していないとも

(かぎりません。)

かぎりません。

(「おやっ、きさま、なにがおかしいんだ。」)

「おやっ、きさま、何がおかしいんだ。」

(かんのんさまに、ばけたしょうねんは、ぎょっとしたようにたちどまって、)

観音さまに、化けた少年は、ギョッとしたように立ちどまって、

(ゆだんなくみがまえました。)

ゆだんなく身がまえました。

(「いや、しっけい、しっけい、きみがおとなのことばなんかつかって、)

「いや、しっけい、しっけい、きみがおとなのことばなんか使って、

(あんまりこまっちゃくれているもんだから、ついふきだして)

あんまりこまっちゃくれているもんだから、つい吹きだして

(しまったんだよ。」)

しまったんだよ。」

(ぞくはやっとわらいやんで、こたえるのでした。)

賊はやっと笑いやんで、答えるのでした。

(「というのはね。おれはとうとう、きみのしょうたいをみやぶってしまったからさ。)

「というのはね。おれはとうとう、きみの正体を見やぶってしまったからさ。

(このにじゅうめんそうのうらをかいて、これほどのげいとうのできるやつは、)

この二十面相の裏をかいて、これほどの芸当のできるやつは、

(そうたんとはないからね。じつをいうと、おれはまっさきに)

そうたんとはないからね。じつをいうと、おれはまっ先に

(あけちこごろうをおもいだした。)

明智小五郎を思いだした。

(だが、そんなちっぽけなあけちこごろうなんてありゃしないね。きみは)

だが、そんなちっぽけな明智小五郎なんてありゃしないね。きみは

(こどもだ。あけちりゅうのやりかたをえとくしたこどもといえば、ほかにはない。)

子どもだ。明智流のやり方を会得した子どもといえば、ほかにはない。

(あけちのしょうねんじょしゅのこばやしよしおとかいったっけな。ははは・・・・・・、どうだ、)

明智の少年助手の小林芳雄とかいったっけな。ハハハ……、どうだ、

(あたったろう。」)

あたったろう。」

(かんのんぞうにへんそうしたこばやししょうねんは、ぞくのめいさつに、ないしんぎょっとしないでは)

観音像に変装した小林少年は、賊の明察に、内心ギョッとしないでは

(いられませんでした。しかし、よくかんがえてみれば、もくてきをはたして)

いられませんでした。しかし、よく考えてみれば、目的をはたして

など

(しまった、いま、あいてになまえをさとられたところで、すこしもおどろくことは)

しまった、今、相手に名前をさとられたところで、少しもおどろくことは

(ないのです。)

ないのです。

(「なまえなんかどうだっていいが、おさっしのとおりぼくはこどもに)

「名まえなんかどうだっていいが、お察しのとおりぼくは子どもに

(ちがいないよ。だが、にじゅうめんそうともあろうものが、ぼくみたいなこどもに)

ちがいないよ。だが、二十面相ともあろうものが、ぼくみたいな子どもに

(やっつけられたとあっては、すこしなおれだねえ。ははは・・・・・・。」)

やっつけられたとあっては、少し名折れだねえ。ハハハ……。」

(こばやししょうねんはまけないでおうしゅうしました。)

小林少年は負けないで応しゅうしました。

(「ぼうや、かわいいねえ・・・・・・。きさま、それで、このにじゅうめんそうにかった)

「坊や、かわいいねえ……。きさま、それで、この二十面相に勝った

(つもりでいるのか。」)

つもりでいるのか。」

(「まけおしみは、よしたまえ。せっかくぬすみだしたぶつぞうはいきてうごきだすし、)

「負けおしみは、よしたまえ。せっかく盗みだした仏像は生きて動き出すし、

(だいやもんどはとりかえされるし、それでもまだまけないっていうのかい。」)

ダイヤモンドはとりかえされるし、それでもまだ負けないっていうのかい。」

(「そうだよ。おれはけっしてまけないよ。」)

「そうだよ。おれはけっして負けないよ。」

(「で、どうしようっていうんだ!」)

「で、どうしようっていうんだ!」

(「こうしようというのさ!」)

「こうしようというのさ!」

(そのこえとどうじに、こばやししょうねんのあしのしたのゆかいたが、とつぜんきえてしまった)

その声と同時に、小林少年の足の下の床板が、とつぜん消えてしまった

(ようにかんじました。)

ように感じました。

(はっとからだがちゅうにういたかとおもうと、そのつぎのしゅんかんには、)

ハッとからだが宙にういたかと思うと、そのつぎのしゅんかんには、

(めのまえにひばながちって、からだのどこかが、おそろしいちからで)

目の前に火花が散って、からだのどこかが、おそろしい力で

(たたきつけられたような、はげしいいたみをかんじたのです。)

たたきつけられたような、はげしい痛みを感じたのです。

(ああ、なんというふかくでしょう。ちょうどそのとき、かれがたっていた)

ああ、なんという不覚でしょう。ちょうどそのとき、彼が立っていた

(ぶぶんのゆかいたが、おとしあなのしかけになっていて、ぞくのゆびがそっとかべの)

部分の床板が、おとしあなのしかけになっていて、賊の指がソッと壁の

(かくしぼたんをおすとどうじに、とめがねがはずれ、そこにまっくらな)

かくしボタンをおすと同時に、とめ金がはずれ、そこにまっくらな

(しかくいじごくのくちがあいたのでした。)

四角い地獄の口があいたのでした。

(いたみにたえかねて、みうごきもできず、くらやみのそこにうつぶしている)

痛みにたえかねて、身動きもできず、暗やみの底にうつぶしている

(こばやししょうねんのみみに、はるかうえのほうから、にじゅうめんそうのこきみよげな)

小林少年の耳に、はるか上のほうから、二十面相のこきみよげな

(ちょうしょうがひびいてきました。)

嘲笑がひびいてきました。

(「ははは・・・・・・、おいぼうや、さぞいたかっただろう。きのどくだねぇ。まぁ、)

「ハハハ……、おい坊や、さぞ痛かっただろう。気のどくだねぇ。まぁ、

(そこでゆっくりかんがえてみるがいい。きみのてきがどれほどのちからを)

そこでゆっくり考えてみるがいい。きみの敵がどれほどの力を

(もっているかということをね。ははは・・・・・・、このにじゅうめんそうを)

持っているかということをね。ハハハ……、この二十面相を

(やっつけるのには、きみはちっととしがわかすぎたよ。ははは・・・・・・。」)

やっつけるのには、きみはちっと年が若すぎたよ。ハハハ……。」

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