溺惑

(なくまでいたぶりたいゆるしをこうどうこく)

泣く迄　甚振りたい　赦しを乞う慟哭

(ゆがんだえつらくをまどろむかおがせがむ)

歪んだ悦楽を　微睡む顔がせがむ

(しじょうにさばかれたいかさねたつみわけあい)

私情に裁かれたい　重ねた罪分け合い

(あましたよくぼうをさしちがえるよろこび)

余した欲望を　刺し違える歓び

(もつれるこころをといてすぎゆくひめでた)

縺れる心を解いて　過ぎ行く日　愛でた

(あけくれこばんだむくいをあさひにてらされしる)

明け暗れ　拒んだ報いを　朝陽に照らされ知る

(もとめてこわしてはなれられぬよう)

求めて　壊して　離れられぬよう

(しばられてもけがしてもいまだひかれてる)

縛られても　穢しても　未だ惹かれてる

(みつめてじらしてもえてつきるよう)

見詰めて　焦らして　燃えて尽きるよう

(むすばれてもなきぬれるなら)

結ばれても　泣き濡れるなら

(たがいのねつをあくまでうばいあおう)

互いの熱を飽く迄　奪い合おう

(うれいをさらすしゃよう)

憂いを晒す斜陽

(うそでもあいされたいうなじをなぞるこゆび)

嘘でも愛されたい　項をなぞる小指

(たしかなそんざいをかみしめられるしふく)

確かな存在を　噛み締められる至福

(きおくをのみほしたいむじょうをつらぬいても)

記憶を飲み干したい　無情を貫いても

(もてあそばれるゆめとわにまどううつしよ)

弄ばれる夢　永久に惑う現世

(つぐないつかれたみらいをこのみごとけして)

償い疲れた未来を　この身ごと消して

(ちぎりをためらうことばをむさぼるしたでうめた)

契りを躊躇う言葉を　貪る舌で埋めた

(いためてよじれてあとがのこるよう)

傷めて　捩れて　跡が残るよう

(あざむいてもあばいてもいまだしんじてる)

欺いても　暴いても　未だ信じてる

(うずいてもだえてこえがはてるまで)

疼いて　悶えて　声が果てるまで

(さげすんでもほだされたまま)

蔑んでも　絆された儘

(みなわにふれるふるえるこうこつかん)

水泡に触れる　震える恍惚感

(あさせでおぼれている)

浅瀬で溺れている

(はがしてうめいてきずをなめさせて)

剥がして　呻いて　傷を舐めさせて

(ひざまずいてくちづけてまたくるわせて)

跪いて　口付けて　又狂わせて

(あえいでからめてよごとおしふせて)

喘いで　絡めて　夜毎押し伏せて

(はずかしめてこときれるまで)

辱めて　事切れる迄

(もとめてこわしてはなれられぬよう)

求めて　壊して　離れられぬよう

(しばられてもけがしてもいまだひかれてる)

縛られても　穢しても　未だ惹かれてる

(みつめてじらしてもえてつきるよう)

見詰めて　焦らして　燃えて尽きるよう

(むすばれてもなきぬれるなら)

結ばれても　泣き濡れるなら

(たがいのねつをあくまでうばいあおう)

互いの熱を飽く迄　奪い合おう

(うれいをさらすしゃよう)

憂いを晒す斜陽