大祓詞

(あまつつみくにつつみここだくのつみいでん)

天つ罪　國つ罪　許許太久の罪出でむ

(かくいでばあまつみやごともちて)

此く出でば　天つ宮事以ちて

(あまつかなぎをもとうちきりすえうちたちて)

天つ金木を本打ち切り　末打ち斷ちて

(ちくらのおきくらにおきたらわして)

千倉の置座に置き足らはして

(あまつすがそをもとかりたちすえかりきりて)

天つ菅麻を本刈り斷ち　末刈り切りて

(やはりにとりさきて)

八針に取り辟きて

(あまつのりとのふとのりとごとをのれ)

天つ祝詞の太祝詞事を宣れ

(かくのらばあまつかみは)

此く宣らば　天つ神は

(あめのいわとをおしひらきて)

天の磐門を押し披きて

(あめのやえぐもをいつのちわきにちわきてきこしめさん)

天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて　聞こし食さむ

(くにつかみはたかやまのすえひきやまのすえにのぼりまして)

國つ神は　高山の末　短山の末に上り坐して

(たかやまのいほりひきやまのいほりをかきわけてきこしめさん)

高山の伊褒理　短山の伊褒理を掻き別けて聞こし食さむ

(かくきこしめしてばつみというつみはあらじと)

此く聞こし食してば　罪と云ふ罪は在らじと

(しなどのかぜのあめのやえぐもをふきはなつことのごとく)

科戶の風の天の八重雲を吹き放つことの如く

(あしたのみぎりゆうべのみぎりを)

朝の御霧　夕の御霧を

(あさかぜゆうかぜのふきはらうことのごとく)

朝風夕風の吹き拂ふ事の如く

(おおつべにおるおおふねを)

大津邊に居る大船を

(へときはなちともときはなちて)

舳解き放ち　艫解き放ちて

(おおうなばらにおしはなつことのごとく)

大海原に押し放つ事の如く

(をちかたのしげきがもとをやきがまのとがまもちて)

彼方の繁木が本を　焼鎌の敏鎌以ちて

(うちはらうことのごとく)

打ち掃ふ事の如く

(のこるつみはあらじとはらえたまいきよめたまうことを)

遺る罪は在らじと　祓へ給ひ淸め給ふ事を

(たかやまのすえひきやまのすえよりさくなだりにおちたぎつ)

高山の末　短山の末より　佐久那太理に落ち多岐つ

(はやかわのせにますせおりつひめというかみ)

速川の瀬に坐す　瀬織津比賣と云ふ神

(おおうなばらにもちいでなん)

大海原に持ち出でなむ

(かくもちいでいなば)

此く持ち出で往なば

(あらしおのしおのやおぢのやしおぢのしおのやおあいにます)

荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百會に坐す

(はやあきつひめというかみもちかかのみてん)

速開都比賣と云ふ神　持ち加加呑みてむ

(かくかかのみてば)

此く加加呑みてば

(いぶきどにますいぶきどぬしというかみ)

氣吹戶に坐す氣吹戶主と云ふ神

(ねのくにそこのくににいぶきはなちてん)

根國　底國に　氣吹放ちてむ

(かくいぶきはなちてば)

此く氣吹放ちてば

(ねのくにそこのくににますはやさすらひめというかみ)

根國　底國に坐す　速佐須良比賣と云ふ神

(もちさすらいうしないてん)

持ち佐須良ひ失ひてむ

(かくさすらいうしないてば)

此く佐須良ひ失ひてば

(つみというつみはあらじと)

罪と云ふ罪は在らじと

(はらえたまいきよめたまうことを)

祓へ給ひ淸め給ふ事を

(あまつかみくにつかみやおよろづのかみたちともに)

天つ神　國つ神　八百萬神等共に

(きこしめせともうす)

聞こし食せと白す