【衒学シリーズ】超長文タイピング7

周りはみんな傘を持っていて、私だけびしょぬれ。
でもその恥ずかしさが、自分のことを深く考えるきっかけになった。
ただの雨なのに、まるで心が丸見えになるような午後だった。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 8406 | 神 | 8.5 | 98.7% | 284.9 | 2426 | 31 | 67 | 2025/06/17 |
2 | cherry | 8000 | 神 | 8.3 | 96.2% | 295.1 | 2457 | 96 | 67 | 2025/06/17 |
3 | あばばばば | 5513 | A | 5.7 | 96.1% | 422.8 | 2427 | 96 | 67 | 2025/06/17 |
4 | yoka bai | 4706 | C++ | 4.8 | 96.4% | 502.9 | 2458 | 91 | 67 | 2025/07/04 |
5 | Y | 4365 | C+ | 4.6 | 95.0% | 534.7 | 2461 | 127 | 67 | 2025/06/17 |
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問題文
(ごぜんじゅうじ、そらはゆだんのあおをよそおっていた。)
午前十時、空は油断の青を装っていた。
(よほうあぷりはちんもくをつらぬいていたが、)
予報アプリは沈黙を貫いていたが、
(わたしのちょっかんはどこかざわついていた。)
私の直感はどこかざわついていた。
(せんたくものはほした。かさはもたなかった。)
洗濯物は干した。傘は持たなかった。
(としせいかつとは、せんたくのれんぞくである。)
都市生活とは、選択の連続である。
(そのひとつが、いま、うらめにでている。)
その一つが、今、裏目に出ている。
(えきまえであめがふりはじめたのだった。)
駅前で雨が降りはじめたのだった。
(つぶはちいさいが、たしかにえきたいである。)
粒は小さいが、確かに液体である。
(たしゃはとうぜんのごとくかさをひらいた。)
他者は当然のごとく傘を開いた。
(わたしはひらくかさをもっていなかった。)
私は開く傘を持っていなかった。
(かさをわすれたというじじつではなく、)
傘を忘れたという事実ではなく、
(わたしだけがわすれたというこうずがいたい。)
私だけが忘れたという構図が痛い。
(しゅうちとは、こうぞうかされたこどくである。)
羞恥とは、構造化された孤独である。
(わたしはいってきずつ、こうきょうせいにぬらされる。)
私は一滴ずつ、公共性に濡らされる。
(じこはんだんのしっぱいが、しんたいにあらわれる。)
自己判断の失敗が、身体に現れる。
(ぬれたかみが、いいわけをもとめていた。)
濡れた髪が、言い訳を求めていた。
(「しかたないじゃない」ではたりない。)
「仕方ないじゃない」では足りない。
(ぬれはこじんのせきにんとしてかしかされる。)
濡れは個人の責任として可視化される。
(こどもにはかさをもたせたのに、わたしは。)
子どもには傘を持たせたのに、私は。
(なぜじぶんにはざつだったのだろうか。)
なぜ自分には雑だったのだろうか。
(そのといが、あめよりつめたくふる。)
その問いが、雨より冷たく降る。
(ひとびとのかさはとうめいで、わたしのしったいもすけた。)
人々の傘は透明で、私の失態も透けた。
(このさんじょうになまえをつけるとすれば、)
この惨状に名前をつけるとすれば、
(「きょくしょてきじここうかい」とでもよべよう。)
「局所的自己崩壊」とでも呼べよう。
(ほどうのみずたまりが、たにんのかおにみえた。)
歩道の水たまりが、他人の顔に見えた。
(むかんしんというなのしせんがつきささる。)
無関心という名の視線が突き刺さる。
(わたしはみられていないようで、みられていた。)
私は見られていないようで、見られていた。
(そのちゅうかんに、しゅうちはうまれるのだ。)
その中間に、羞恥は生まれるのだ。
(すれちがうひとがわずかにきょりをとる。)
すれ違う人がわずかに距離をとる。
(わたしはえきびょうがみのようなあつかいをうけた。)
私は疫病神のような扱いを受けた。
(このぬれはてんばつか、それともしゅうかんか。)
この濡れは天罰か、それとも習慣か。
(ごうりとぐうぜんのこうさてんに、わたしがいる。)
合理と偶然の交差点に、私がいる。
(すーぱーまであとごふん、されどえいえん。)
スーパーまであと五分、されど永遠。
(ふくのせんいがはだにはりつくたびに、)
服の繊維が肌に貼りつくたびに、
(わたしはじぶんというそうちをさいていぎした。)
私は自分という装置を再定義した。
(かさとはてんこうとにんげんかんけいのばいかいである。)
傘とは天候と人間関係の媒介である。
(それをもたぬわたしは、せかいにむぼうびだ。)
それを持たぬ私は、世界に無防備だ。
(しかしぼうびとは、ほんとうにひつようか?)
しかし防備とは、本当に必要か?
(しゅうちにたえることでみえるけしきもある。)
羞恥に耐えることで見える景色もある。
(しゅうちは、にんげんであることのあかしなのだ。)
羞恥は、人間であることの証なのだ。
(それをうけいれたとき、わたしはすこしつよい。)
それを受け容れたとき、私は少し強い。
(すーぱーにはいった。れいきがほねにささる。)
スーパーに入った。冷気が骨に刺さる。
(「ぬれましたね」とれじのこえがひびく。)
「ぬれましたね」とレジの声が響く。
(わたしはわらった。くしょうではなく、りょうかいのびしょう。)
私は笑った。苦笑ではなく、了解の微笑。
(かえりみち、あめはやみかけていたが、)
帰り道、雨は止みかけていたが、
(わたしはまだふられているきがしていた。)
私はまだ降られている気がしていた。
(なぜなら、といはまだぬれていたから。)
なぜなら、問いはまだ濡れていたから。
(わたしはきょう、じぶんをおきざりにした。)
私は今日、自分を置き去りにした。
(だが、それにきづいたからよかった。)
だが、それに気づいたからよかった。
(ぬれるじゆうもまた、としのいちぶである。)
濡れる自由もまた、都市の一部である。
(かんぺきでないいちにちもまた、せいかつである。)
完璧でない一日もまた、生活である。
(いま、かさをかえば、すべてはかいけつする。)
今、傘を買えば、すべては解決する。
(だが、わたしはあえてぬれたままかえる。)
だが、私はあえて濡れたまま帰る。
(このぬれにいみをあたえたくなったのだ。)
この濡れに意味を与えたくなったのだ。
(ひとはものがたりをもとめてぬれるのかもしれない。)
人は物語を求めて濡れるのかもしれない。
(ぬれはくつじょくではなく、こうちくである。)
濡れは屈辱ではなく、構築である。
(わたしはきょう、しゅうちをひとつそだてた。)
私は今日、羞恥をひとつ育てた。
(それはたにんにはみえないはなである。)
それは他人には見えない花である。
(だがわたしにとっては、じゅうようなしるしだった。)
だが私にとっては、重要な印だった。
(げんかんについた。ぬれたかぎがおもかった。)
玄関に着いた。濡れた鍵が重かった。
(このすいぶんには、わたしのしこうがやどっていた。)
この水分には、私の思考が宿っていた。
(あしたははれるらしい。だが、)
明日は晴れるらしい。だが、
(わたしのなかのくもは、もうすこしたいざいする。)
私の中の雲は、もう少し滞在する。
(それでもわたしはあるく。ぬれながらも。)
それでも私は歩く。濡れながらも。
(わたしというそんざいのりんかくを、たしかめながら。)
私という存在の輪郭を、確かめながら。
(あめにまけたのではない。ただぬれただけ。)
雨に負けたのではない。ただ濡れただけ。
(そのちがいを、わたしはしっている。)
その違いを、私は知っている。