怖い話《わたしはマツダさん？》

(こうこうせいのころ、きっかけはわすれたけどけいたいのでんわばんごうをへんこうしたら)

高校生の頃、きっかけは忘れたけど携帯の電話番号を変更したら

(そのとたんまちがいでんわがよくかかってくるようになった。)

その途端間違い電話がよくかかってくるようになった。

(そのでんわのあるじはきまって「まつださんですか？」というので)

その電話の主は決まって「マツダさんですか？」と言うので

(いぜんこのばんごうをつかっていたのがまつださんというほうで、)

以前この番号を使っていたのがマツダさんという方で、

(でんわにでたしゅんかんきられることもおおかったからおそらくだんせいだったんだとおもう。)

電話に出た瞬間着られることも多かったから恐らく男性だったんだと思う。

(それからしらないばんごうはちゃくしんしないせっていにしてから)

それから知らない番号は着信しない設定にしてから

(そんあでんわになやまされることはなくなったけど。)

そんあ電話に悩まされることはなくなったけど。

(ｓｍｓではひんぱんにぶらっくでもゆうしかのうだの、)

SMSでは頻繁にブラックでも融資可能だの、

(さいむがどうたらだのそんなのばかりくるし、)

債務がどうたらだのそんなのばかりくるし、

(けいれきにのこっているばんごうをしらべたらふどうさんどうたらとかまちきんとか、)

経歴に残っている番号を調べたら不動産どうたらとか街金とか、

(そんなのばかりだったからきっとまつださんは)

そんなのばかりだったからきっとマツダさんは

(まあろくでもないひとだったんだろうね。)

まあ碌でもない人だったんだろうね。

(それからじもとをはなれてしんがくからしゅうしょくしてじぶんめいぎのすまほをもつために)

それから地元を離れて進学から就職して自分名義のスマホを持つために

(またでんわばんごうをかえて、すっかりそんなこともわすれてたあるひのつうきんとちゅうのえき。)

また電話番号を変えて、すっかりそんなことも忘れてたある日の通勤途中の駅。

(わたしがおとしたものをみずしらずのおばさんがひろってくれたので)

私が落としたものを見ず知らずのおばさんが拾ってくれたので

(おれいをいってうけとったら)

お礼を言って受け取ったら

(「あの、まつださんじゃないですよね？」といわれた。)

「あの、マツダさんじゃないですよね？」と言われた。

(ちがいますといってにげてきたけど、いまおもいかえしてもすこしこわい。)

違いますと言って逃げてきたけど、今思い返しても少し怖い。

(まつだはもちろんふぇいくだけどありふれているみょうじだし、)

マツダはもちろんフェイクだけどありふれている苗字だし、

(なんのかんけいもないとわかってはいてもなんだかほんのりこわかったできごとです。)

なんの関係もないとわかってはいてもなんだかほんのり怖かった出来事です。