もういいかい -6-

cicciさんのアカウント
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順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 8021 | 神 | 8.1 | 98.4% | 333.0 | 2715 | 44 | 59 | 2025/08/26 |
2 | HAKU | 7401 | 光 | 7.6 | 96.5% | 359.1 | 2757 | 99 | 59 | 2025/08/28 |
3 | だったかもしれな | 7249 | 王 | 7.4 | 96.9% | 374.1 | 2800 | 88 | 59 | 2025/09/02 |
4 | Jyo | 5418 | B++ | 5.5 | 96.8% | 485.6 | 2718 | 87 | 59 | 2025/08/27 |
5 | mipo | 4901 | B | 5.1 | 95.0% | 532.5 | 2755 | 145 | 59 | 2025/08/30 |
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問題文
(「どんなこえをきいたんです」とししょうがたたみかける。)
「どんな声を聞いたんです」と師匠が畳み掛ける。
(しょろうのだんせいは、「いや、じぶんはきいたわけじゃないが」ともぐもぐいったあと、)
初老の男性は、「いや、自分は聞いたわけじゃないが」ともぐもぐ言ったあと、
(「よる、こどもがあそんでいるようなこえがする」というかいだんじみたはなしが)
「夜、子どもが遊んでいるような声がする」という怪談じみた話が
(じゅうぎょういんたちのあいだにひろがっていたことをはなした。)
従業員たちの間に広がっていたことを話した。
(なんだこれは。しゅうかいしょのたてかえどころのはなしじゃない。)
なんだこれは。集会所の建て替えどころの話じゃない。
(いったいどこまでさかのぼるんだ?)
いったいどこまで遡るんだ?
(はなしのゆくすえにどきどきしていると、ししょうがさらにたたみかける。)
話の行く末にドキドキしていると、師匠がさらに畳み掛ける。
(「しざいおきばのまえは、ここにはなにが?」)
「資材置き場の前は、ここにはなにが?」
(このといにはなかなかそくとうできるひとがあらわれなかった。)
この問いにはなかなか即答できる人が現れなかった。
(やがておずおずとろくじゅっさいくらいのじょせいがてをあげて、)
やがておずおずと六十歳くらいの女性が手を挙げて、
(「まつばらさんのじしょだったはずです」といった。)
「松原さんの地所だったはずです」と言った。
(そのことばに、「そういえば」というこえがあがる。)
その言葉に、「そう言えば」という声が上がる。
(だが、ちょくせつとうじをしるひとはだれもいなかった。かなりふるいはなしなのだろう。)
だが、直接当時を知る人は誰もいなかった。かなり古い話なのだろう。
(「こりゃあ、うちのとしよりをつれてこにゃあ」といって)
「こりゃあ、うちの年寄りを連れてこにゃあ」と言って
(みょうにうれしそうにこのばをはなれるひとがいた。)
妙に嬉しそうにこの場を離れる人がいた。
(ししょうはもういちどじめんにはいつくばり、)
師匠はもう一度地面に這いつくばり、
(こんくりのじめんをこんこんとたたいたりなでたりしながら)
コンクリの地面をコンコンと叩いたり撫でたりしながら
(なにかをかんじとろうとするようにめとじたりひらいたりをくりかえしていた。)
なにかを感じとろうとするように目閉じたり開いたりを繰り返していた。
(やがてはちじゅっさいをこえているとおもわれるじょせいがむすこにつれられてやってきた。)
やがて八十歳を超えていると思われる女性が息子に連れられてやってきた。
(よるのくじをまわろうかというじかんにきゅうにそとへつれだされたにもかかわらず、)
夜の九時を回ろうかという時間に急に外へ連れ出されたにも関わらず、
(たいぜんじじゃくとしてあしどりもおちつきはらっていた。)
泰然自若として足取りも落ち着き払っていた。
(ししょうはからだをおこし、そのおばあさんにむかってきいた。)
師匠は身体を起こし、そのおばあさんに向かって訊いた。
(「ここにはまつばらさんというかたのいえがあったんですか」)
「ここには松原さんという方の家があったんですか」
(「ええ、ええ、ございました」)
「ええ、ええ、ございました」
(「せんぜんですか」)
「戦前ですか」
(「ええ、にっちゅうせんそうのまえにいえをひきはらいましていっかそろってとなりまちへ)
「ええ、日中戦争の前に家を引き払いまして一家揃って隣町へ
(ひっこされました」)
引っ越されました」
(「ではまだまつばらさんがここにおられたころに、いえをたずねられたことは?」)
「ではまだ松原さんがここにおられた頃に、家を訪ねられたことは?」
(おばあさんのていねいなくちょうにしぜんとししょうのくちょうもあらたまっている。)
おばあさんの丁寧な口調に自然と師匠の口調も改まっている。
(「ございました。わたしとひとつちがいのやよいさんというおねえさんがおりまして、)
「ございました。私と一つ違いのやよいさんというお姉さんがおりまして、
(よくいっしょにあそんでおりましたので」)
よく一緒に遊んでおりましたので」
(「そのころ、いまのこのあたりはまつばらけでいうとなにがあったばしょでしょうか」)
「その頃、今のこの辺りは松原家でいうとなにがあった場所でしょうか」
(このといにはこたえられず、こくびをかしげた。)
この問いには答えられず、小首を傾げた。
(「ちかしつ、もしくはぼうくうごうのようなものは?」)
「地下室、もしくは防空壕のようなものは?」
(つづいてのといにもきおくがさだかでないらしく、かぶりをふるだけだった。)
続いての問いにも記憶が定かでないらしく、かぶりを振るだけだった。
(「では・・・・・」)
「では・・・・・」
(ししょうがいっしゅん、したなめずりをしたようなきがした。)
師匠が一瞬、舌なめずりをしたような気がした。
(「このあたりにじょうかそう、いや、べんそうはありませんでしたか?」)
「このあたりに浄化槽、いや、便槽はありませんでしたか?」
(おばあさんは、あ、というかおをした。)
おばあさんは、あ、という顔をした。
(「とうじはもちろんぼっとんべんじょでしたが、)
「当時はもちろんボットン便所でしたが、
(たしかげんかんからこちらにむかったところにあったようなきがします」)
確か玄関からこちらに向かったところにあったような気がします」
(「ここがだいじなところなんですが、どうでしょう。)
「ここが大事なところなんですが、どうでしょう。
(そのいえで、だれかいなくなったひとはいませんか?」)
その家で、誰かいなくなった人はいませんか?」
(いなくなった?)
いなくなった?
(さいしょは「なくなったひとはいませんか?」ときいたのだとおもった。)
最初は「亡くなった人はいませんか?」と訊いたのだと思った。
(しかしししょうはたしかに「いなくなったひとはいませんか?」ときいたのだった。)
しかし師匠は確かに「いなくなった人はいませんか?」と訊いたのだった。
(ゆくえふめいになったひとということか。)
行方不明になった人ということか。
(おばあさんは、きおくをたどるようにふしめがちにちいさくうなずいていたが、)
おばあさんは、記憶を辿るように伏目がちに小さく頷いていたが、
(やがてほっそりしたこえで「ちえさん」とつぶやいた。)
やがてほっそりした声で「ちえさん」と呟いた。
(「やよいさんには、ふたつかみっつとししたのいもうとさんがおりました。)
「やよいさんには、二つか三つ年下の妹さんがおりました。
(いまはなんともうすのでしょうか。その・・・・・ちえ・れのこでした。)
今はなんと申すのでしょうか。その・・・・・︎知恵・れの子でした。
(いつもやよいさんのうしろをついてまわって、おねえちゃんおねえちゃんと、)
いつもやよいさんの後ろをついて回って、おねえちゃんおねえちゃんと、
(はたからみてもそれはそれはなついておりました。)
傍から見てもそれはそれは懐いておりました。
(やよいさんもちえ・れのいもうとをしんぱいして、)
やよいさんも知恵・れの妹を心配して、
(あれこれとせわをやいていたのをおぼえております」)
あれこれと世話をやいていたのを覚えております」
(「いなくなったのは?」)
「いなくなったのは?」
(「さあ、それが・・・・・」)
「さあ、それが・・・・・」
(おばあさんはこまったようなかおをして、けんめいにきおくをよびさまそうとしていたが)
おばあさんは困ったような顔をして、懸命に記憶を呼び覚まそうとしていたが
(どうやらはっきりとわからないらしかった。)
どうやらはっきりと分からないらしかった。