もういいかい -7-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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2 HAKU 7434 7.6 97.4% 342.2 2612 68 61 2025/08/28
3 だったかもしれな 7340 7.5 97.1% 348.2 2632 76 61 2025/09/02
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問題文

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(わかったことといえば、まつばらちえというおんなのこがおそらくじゅっさいをすぎたころ、)

分かったことと言えば、松原ちえという女の子が恐らく十歳を過ぎた頃、

(あるひきゅうにすがたがみえなくなったということだった。)

ある日急に姿が見えなくなったということだった。

(「どこかにもらわれていったか、どうかしたのだとおもうのですが」)

「どこかにもらわれて行ったか、どうかしたのだと思うのですが」

(こどもごころにもたいしたじけんではなかったということか。)

子ども心にも大した事件ではなかったということか。

(それともあねのやよいさんとなかのよかったむすめからすれば、)

それとも姉のやよいさんと仲の良かった娘からすれば、

(そのあねにべったりのいもうとはむしろおじゃまむしであり、)

その姉にべったりの妹はむしろお邪魔虫であり、

(あるひきゅうにいなくなってもしんぱいするようなことはなかったのだろうか。)

ある日急にいなくなっても心配するようなことはなかったのだろうか。

(「まつばらちえ」)

「松原ちえ」

(ししょうはゆっくりとつぶやいてもういちどじめんにはいつくばった。)

師匠はゆっくりと呟いてもう一度地面に這いつくばった。

(こんくりにひたいをぴったりとつけて、めをとじる。)

コンクリに額をぴったりとつけて、目を閉じる。

(「ちえ」)

「ちえ」

(もういちどそうつぶやく。そのしゅんかん、ぼくにもわかった。)

もう一度そう呟く。その瞬間、僕にも分かった。

(さっき、げんかんで「もういいかい」ときこえたときにこちらのほうがくからかんじた)

さっき、玄関で「もういいかい」と聞こえた時にこちらの方角から感じた

(けはいのようなものが、あしもとからじわじわとわきあがってくるのを。)

気配のようなものが、足元からじわじわと湧き上がってくるのを。

(あしさきがおもくなっていく。)

足先が重くなっていく。

(ずぶずぶとこんくりのなかにくつがめりこんでいくようなさっかくをおぼえる。)

ずぶずぶとコンクリの中に靴がめり込んでいくような錯覚を覚える。

(「ちゃんねるが、あった」)

「チャンネルが、合った」

(ぼそりとししょうがそういう。そして「おまえは?」ときく。)

ぼそりと師匠がそう言う。そして「おまえは?」と訊く。

(ぼくはかぶりをふる。)

僕はかぶりを振る。

(ししょうがいうのは、ぼくがいまかんじているていどのかんかくではないのだろうから。)

師匠が言うのは、僕が今感じている程度の感覚ではないのだろうから。

など

(はったままししょうのひだりてがさしだされる。ぼくはそれをためらいがちににぎる。)

這ったまま師匠の左手が差し出される。僕はそれを躊躇いがちに握る。

(そのしゅんかん、じぶんのしかいにかぶるようなべつのしかいがひらけた。)

その瞬間、自分の視界に被るような別の視界が開けた。

(のいずのようなものがはしり、ふせんめいだが、わらっているおんなのこがみえた。)

ノイズのようなものが走り、不鮮明だが、笑っている女の子が見えた。

(じゅうだいぜんはんだろうか。きものをきている。)

十代前半だろうか。着物を着ている。

(そのこがきのみきにむかってかおをふせた。)

その子が木の幹に向かって顔を伏せた。

(なにかいっている。)

なにか言っている。

(かずだ。かずをかぞえている。)

数だ。数をかぞえている。

(しかいがうごいた。きとおんなのこにせをむけて、はしりだす。)

視界が動いた。木と女の子に背を向けて、走り出す。

(とちゅうでしげみをかきわけようとしていたが、あきらめてまたはしる。)

途中で茂みを掻き分けようとしていたが、諦めてまた走る。

(よぶこえ。へんじをする。いえがうつる。ふるいもくぞうかおく。そのえんがわをまわりこむ。)

呼ぶ声。返事をする。家が映る。古い木造家屋。その縁側を回り込む。

(となりのいえのかきね。そのそばにいど。)

隣の家の垣根。そのそばに井戸。

(ちいさなはなれのようなたてものがみえ、きどがかぜでゆれている。)

小さな離れのような建物が見え、木戸が風で揺れている。

(またよぶこえ。へんじをする。しかいがしゃがむ。)

また呼ぶ声。返事をする。視界がしゃがむ。

(きどのそばにがんじょうそうないたがうまっている。それをくろうしながらとりはずす。)

木戸の傍に頑丈そうな板が埋まっている。それを苦労しながら取り外す。

(なかをのぞきこむ。くらい。)

中を覗き込む。暗い。

(しかいがふりかえる。いえとかきねのあいだ、そのむこうにはまだひとかげはみえない。)

視界が振り返る。家と垣根の間、その向こうにはまだ人影は見えない。

(じめんにひらいたあなにしかいはすべりおちていく。)

地面に開いた穴に視界は滑り落ちていく。

(しゅうき。)

臭気。

(こしまでおでいのようなものにつかる。くらい。)

腰まで汚泥のようなものに浸かる。暗い。

(うえをみると、まるいあなからそらがのぞいている。)

上を見ると、丸い穴から空が覗いている。

(よぶこえ。こんどはちいさなこえでへんじ。みつからないように。)

呼ぶ声。今度は小さな声で返事。見つからないように。

(じかんがすぎる。)

時間が過ぎる。

(さがすこえ。)

探す声。

(やがてとおざかる。)

やがて遠ざかる。

(さらにじかんがすぎる。なんだかたのしいきぶん。)

さらに時間が過ぎる。なんだか楽しい気分。

(そらからこえ。なんだ、あぶないな。ひらいているじゃないか。)

空から声。なんだ、危ないな。開いているじゃないか。

(まるいあなからみおろすおとこのかお。おどろく。みけんにしわ。)

丸い穴から見下ろす男の顔。驚く。眉間に皺。

(しかいははんつきになる。わらいかけているのだ。)

視界は半月になる。笑いかけているのだ。

(よぶこえ。こんどはちいさなこえでへんじ。みつからないように。)

呼ぶ声。今度は小さな声で返事。見つからないように。

(じかんがすぎる。)

時間が過ぎる。

(さがすこえ。)

探す声。

(やがてとおざかる。)

やがて遠ざかる。

(さらにじかんがすぎる。なんだかたのしいきぶん。)

さらに時間が過ぎる。なんだか楽しい気分。

(そらからこえ。なんだ、あぶないな。ひらいているじゃないか。)

空から声。なんだ、危ないな。開いているじゃないか。

(まるいあなからみおろすおとこのかお。おどろく。みけんにしわ。)

丸い穴から見下ろす男の顔。驚く。眉間に皺。

(しかいははんつきになる。わらいかけているのだ。)

視界は半月になる。笑いかけているのだ。

(ますますけわしくなるおとこのかお。ふるえるほお。)

ますます険しくなる男の顔。震える頬。

(みじかいじかんのあいだにふくざつなへんかをして、そしてあなからはなれる。)

短い時間の間に複雑な変化をして、そして穴から離れる。

(つぎにまるいそらのあなからおとこがみえたとき、そのてにはおおきないしがにぎられていた。)

次に丸い空の穴から男が見えた時、その手には大きな石が握られていた。

(うちおろされるて。)

打ち下ろされる手。

(しょうげき。あかくそまるしかい。あんてん・・・・・)

衝撃。赤く染まる視界。暗転・・・・・

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