未 本編 -28-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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1 berry 8035 8.1 98.5% 356.4 2908 44 59 2025/11/13
2 Jyo 5587 A 5.7 96.6% 502.9 2911 101 59 2025/11/13

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問題文

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(しゃむしょのげんかんでくつをはいていると、しょういちさんがおおきなぬのぶくろをかかえてやってくる。)

社務所の玄関で靴を履いていると、章一さんが大きな布袋を抱えてやってくる。

(「これを」)

「これを」

(ししょうは「あ、わすれるところでした」といってそれをうけとり、)

師匠は「あ、忘れるところでした」と言ってそれを受け取り、

(なかをのぞきこんでひとつうなずいた。「どうもありがとうございます。ごじつかえします」)

中を覗き込んで一つ頷いた。「どうもありがとうございます。後日返します」

(「それ、なんですか」)

「それ、なんですか」

(ぼくものぞきこもうとすると、「おたのしみはあとだ」とみせてくれなかった。)

僕も覗き込もうとすると、「お楽しみは後だ」と見せてくれなかった。

(ちらりとなわのようなものがみえただけだった。)

ちらりと縄のようなものが見えただけだった。

(「そういえば、かずおさんは?」)

「そう言えば、和雄さんは?」

(はなしをそらすようにししょうがそうといかけると、)

話を逸らすように師匠がそう問い掛けると、

(「すこしまえにどこかへでかけましたな」とのへんじだった。)

「少し前にどこかへ出かけましたな」との返事だった。

(また「とかの」にてつだいにいったのかもしれない。まめなことだ。)

また「とかの」に手伝いに行ったのかも知れない。まめなことだ。

(「このじんじゃは、ごちょうなんのおさむさんがつがれるんですか」)

「この神社は、ご長男の修さんが継がれるんですか」

(「いやいや、まだまだ」)

「いやいや、まだまだ」

(そういってしょういちさんはてをふったが、そうごうをくずしている。)

そう言って章一さんは手を振ったが、相好を崩している。

(じまんのむすこのようだ。あとつぎぶそくになやむじんじゃはおおいのだろうが、)

自慢の息子のようだ。後継ぎ不足に悩む神社は多いのだろうが、

(こうがくかんまでいったむすこがいると、まずはひとあんしんというところだろう。)

皇學館まで行った息子がいると、まずは一安心というところだろう。

(もういちどおれいをいって、ぼくらはもときたさんどうのほうへむかう。)

もう一度お礼を言って、僕らはもときた参道の方へ向かう。

(とりいのところまでみおくりをしてくれたしょういちさんのすがたがちいさくなり、)

鳥居のところまで見送りをしてくれた章一さんの姿が小さくなり、

(さいごにかるくえしゃくをしてじてんしゃをおいてあるばしょまであるいていった。)

最後に軽く会釈をして自転車を置いてある場所まで歩いていった。

(そのとちゅうでししょうがつぶやく。)

その途中で師匠が呟く。

など

(「もうすこしでぜんぼうがみえる」)

「もう少しで全貌が見える」

(もうすこしもなにも、ぼくにはかんじんなわかみやじんじゃで)

もう少しもなにも、僕には肝心な若宮神社で

(ほとんどしゅうかくがなかったようにしかおもえなかった。)

ほとんど収穫がなかったようにしか思えなかった。

(ししょうはにやりとわらうと、「さあつぎだ」といった。)

師匠はニヤリと笑うと、「さあ次だ」と言った。

(じてんしゃをこいでにしかわまちのちゅうしんがいまででてきたぼくらがつぎにむかったさきは)

自転車をこいで西川町の中心街まで出てきた僕らが次に向かった先は

(としょかんだった。)

図書館だった。

(「うらをとるぞ」)

「裏を取るぞ」

(ししょうはそういってきょうどしのこーなーからほんをかかえてえつらんしつのいちかくにじんどった。)

師匠はそう言って郷土史のコーナーから本を抱えて閲覧室の一角に陣取った。

(そしてにしかわまちのへんせんやわかみやじんじゃのれきしなどをかたっぱしからしらべていった。)

そして西川町の変遷や若宮神社の歴史などを片っ端から調べていった。

(どちらもこれまでのじょうほうのしょうさいやさいかくにんといったものばかりで、)

どちらもこれまでの情報の詳細や再確認といったものばかりで、

(なにかこんかいのじけんにかんけいしていそうなものはみあたらない。)

なにか今回の事件に関係していそうなものは見当たらない。

(あきてきてうわのそらになりはじめたぼくをしりめに、)

飽きてきて上の空になり始めた僕を尻目に、

(ししょうはたのしそうにぺーじをめくりつづけている。)

師匠は楽しそうに頁を捲り続けている。

(「お、みろ。かめがぶちのことがのってる」)

「お、見ろ。亀ヶ淵のことが載ってる」

(あのどうろぞいのちょすいちのことか。)

あの道路沿いの貯水池のことか。

(かみがへんしょくしかかったふるいほんに、)

紙が変色しかかった古い本に、

(しろくろのしゃしんとともにちょすいちのれきしがしるされていた。)

白黒の写真とともに貯水池の歴史が記されていた。

(「あんまりくわしくないな」)

「あんまり詳しくないな」

(ぶつぶついいながらししょうはかおをちかづけてよんでいる。)

ぶつぶつ言いながら師匠は顔を近づけて読んでいる。

(せんごくぶしょうのたかはしながおきがこのだいきぼなどぼくこうじをおこなったはいけいと、)

戦国武将の高橋永熾がこの大規模な土木工事を行なった背景と、

(そのこうかがどのようなものであったかが、かんたんにせつめいされていた。)

その効果がどのようなものであったかが、簡単に説明されていた。

(かつてこのえだかわぞいにはかめがぶちというなまえのぬまちがあったそうだ。)

かつてこの枝川沿いには亀ヶ淵という名前の沼地があったそうだ。

(そこをあらたにほりぬいてためいけとしてほきょうし、かわからみずをひいてくるという)

そこを新たに掘り抜いて溜め池として補強し、川から水を引いてくるという

(こうじのこうていがずかいとともにしめされている。)

工事の工程が図解とともに示されている。

(ふんふん、とはなをはらしてよんでいたししょうが「うん?」とうなった。)

ふんふん、と鼻を晴らして読んでいた師匠が「うん?」と唸った。

(「かめがふちのよこに、かっこしてしょうがぶちとかたかたでかいてあるな」)

「亀ヶ淵の横に、括弧してショウガブチとカタカタで書いてあるな」

(「そうですね」)

「そうですね」

(べつのこうではちゃんと「かめがぶち」とふりがながふられていたので、)

別の項ではちゃんと「カメガブチ」と振り仮名が振られていたので、

(よみかたとしてはかめがぶちがただしいはずだ。というかそれいがいよみようがない。)

読み方としてはカメガブチが正しいはずだ。というかそれ以外読みようがない。

(ということはしょうがぶちというのはべつめいなのだろうか。)

ということはショウガブチというのは別名なのだろうか。

(「しょうがぶち・・・・・しょうがぶちか。)

「ショウガブチ・・・・・ショウガブチか。

(あのあたりではしょうがでもとれるのかな」とししょうはくびをひねる。)

あのあたりではショウガでも採れるのかな」と師匠は首を捻る。

(そういえばきのうのゆうしょくで、さんさいのてんぷらのなかにうすくきったしょうがを)

そう言えば昨日の夕食で、山菜の天麩羅の中に薄く切ったショウガを

(あげたものがあった。めいさんなのかもしれない。)

揚げたものがあった。名産なのかも知れない。

(そのあじをおもいだすと、くちのなかにしあわせなかんしょくのきおくがあふれてくる。)

その味を思い出すと、口の中に幸せな感触の記憶があふれてくる。

(きょうもうまいものにありつけるのだろうか。)

今日も旨いものにありつけるのだろうか。

(ぼくがしたなめずりをしていると、ししょうはたちあがって、ちかくでほんをひろげていた)

僕が舌なめずりをしていると、師匠は立ち上がって、近くで本を広げていた

(ろくじゅっさいすぎくらいのだんせいにこえをかけた。)

六十歳過ぎくらいの男性に声をかけた。

(じもとのひとのようだった。のうきょうのろごのはいったぼうしをこうむっている。)

地元の人のようだった。農協のロゴの入った帽子を被っている。

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