未 本編 -33-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7630 7.8 97.8% 336.0 2621 57 55 2025/11/15
2 Jyo 5656 A 5.8 97.0% 449.4 2623 81 55 2025/11/15

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問題文

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(くれむっつか。ぼくはけさのあけむっつのときのおそろしいできごとがしぜんとのうりによみがえり、)

暮れ六つか。僕は今朝の明け六つの時の恐ろしい出来事が自然と脳裏に蘇り、

(あしがすくむおもいがした。)

足がすくむ思いがした。

(ろびーのふろんとにはひろこさんがたっていて、)

ロビーのフロントには広子さんが立っていて、

(なにかちょうめんにかきつけているところだった。)

なにか帳面に書き付けているところだった。

(「あ、おかえりぃ。あめふってた?」)

「あ、お帰りぃ。雨降ってた?」

(「このざまをみてのとおり」とししょうはわらいながらりょうてをひろげて)

「このざまを見てのとおり」と師匠は笑いながら両手を広げて

(ぬれたふくをみせる。)

濡れた服を見せる。

(「おかみは?」)

「女将は?」

(「だいよくじょうのほうだとおもう。さかんやさんがきてるから」)

「大浴場の方だと思う。左官屋さんが来てるから」

(「そうか。お、ありがとう」)

「そうか。お、ありがとう」

(ひろこさんがだしてくれたたおるをうけとる。そのひろこさんはおおげさなみぶりで)

広子さんが出してくれたタオルを受け取る。その広子さんは大袈裟な身振りで

(ししょうにみみうちするまねをした。)

師匠に耳打ちする真似をした。

(「ねえ。うちのおとうさん、かなりかりかりしてるよ。あんたたちが)

「ねえ。うちのお父さん、かなりカリカリしてるよ。あんたたちが

(ほかのおんせんにひたかりにいったってきいたから。ふんかすんぜんってかんじ」)

他の温泉に浸かりに行ったって聞いたから。噴火寸前って感じ」

(きいた、ってそれをつげぐちできたのひとりしかいないじゃないですか。)

聞いた、ってそれを告げ口できたの一人しかいないじゃないですか。

(「こわ。ひつようなじょうほうしゅうしゅうかつどうなんだけどな」とししょう。)

「こわ。必要な情報収集活動なんだけどな」と師匠。

(じょうだんじゃない!)

冗談じゃない!

(ぼくはくびをすくめてきょろきょろとあたりをみまわす。)

僕は首を竦めてキョロキョロとあたりを見回す。

(しゅういにはかんすけさんのかげはみえない。)

周囲には勘介さんの影は見えない。

(「そうそう。そのじょうほうしゅうしゅであったしゅうかくなんだけど、)

「そうそう。その情報集取であった収穫なんだけど、

など

(このたてものがたつまえにこのとちにほこらがあったんだって?)

この建物が建つ前にこの土地に祠があったんだって?

(ひろこさんはそれをきいてきょとんとしていたが、)

広子さんはそれを聞いてきょとんとしていたが、

(やがて「あー」とおもいだしたようなかおでうなずく。)

やがて「あー」と思い出したような顔で頷く。

(「あのおどうのことでしょ。ぼろいやつ。ちゅうしゃじょうのうらてにあるけど、)

「あのお堂のことでしょ。ぼろいやつ。駐車場の裏てにあるけど、

(あれがたしかりょかんたてるときにばしょをうつしたってやつだったとおもう」)

あれが確か旅館建てるときに場所を移したってやつだったと思う」

(ちゅうしゃじょうのうらてのおどうならきのうみまわりをしたときにみたきがする。)

駐車場の裏手のお堂なら昨日見回りをした時に見た気がする。

(なかにいしがまつられていたはずだ。)

中に石が祀られていたはずだ。

(「もういっかいみてくる」)

「もう一回見てくる」

(ししょうがそういうのでぼくもついていく。)

師匠がそう言うので僕もついていく。

(かりたかさをさし、しょうあめがふりつづくりょかんのそとへでて、ちゅうしゃじょうのほうへむかう。)

借りた傘をさし、小雨が降り続く旅館の外へ出て、駐車場の方へ向かう。

(そのしきちのすみに、くちはてたようなもくぞうのちいさなおどうがひっそりとたたずんでいた。)

その敷地の隅に、朽ち果てたような木造の小さなお堂がひっそりと佇んでいた。

(のぞきこむと、ちいさなしでのついたこうしどのむこうに)

覗き込むと、小さな紙垂(しで)のついた格子戸の向こうに

(いしがあんちされているのがみえる。)

石が安置されているのが見える。

(どうするのかとおもっていると、ししょうがいきなりそのこうしどにてをのばして)

どうするのかと思っていると、師匠がいきなりその格子戸に手を伸ばして

(てまえにひらいた。そしてむぞうさにいしをつかみだす。)

手前に開いた。そして無造作に石を掴み出す。

(しでのついたこうしどはあきらかにしんいきとがいかいとをわかつきょうかいだ。)

紙垂のついた格子戸は明らかに神域と外界とを分かつ境界だ。

(そのいみをしりながらへいぜんとそれをやぶるあたりがこのひとらしい。)

その意味を知りながら平然とそれを破るあたりがこの人らしい。

(いつかこのひとがしんでひとびとにがいをなすあくりょうにでもなったら、)

いつかこの人が死んで人々に害を成す悪霊にでもなったら、

(とめるしゅだんがあるんだろうかと、ぼくはそんなことをぼんやりとおもった。)

止める手段があるんだろうかと、僕はそんなことをぼんやりと思った。

(「じがかいてあるな」)

「字が書いてあるな」

(のぞきこむと、いしのひょうめんにちいさなもじがすうぎょうにわたってほられている。)

覗き込むと、石の表面に小さな文字が数行にわたって彫られている。

(こけむしていることと、ふるいじたいのせいでほとんどよめなかったが、)

苔むしていることと、古い字体のせいでほとんど読めなかったが、

(かろうじて「とかの」というひらがななふくまれているのはわかった。)

かろうじて「とかの」という平仮名な含まれているのは分かった。

(ふんふん、とうなずいてからししょうはいしをもとにもどした。よめたのだろうか。)

ふんふん、と頷いてから師匠は石を元に戻した。読めたのだろうか。

(「なんてかいてあったんです」)

「なんて書いてあったんです」

(「かみさまにかわってこのちをまもるってさ。)

「神様に代わってこの地を守るってさ。

(ごしんたいとしてはたいしてめずらしいものじゃないよ。」)

御神体としては大して珍しいものじゃないよ。」

(あんまりじかんがなくなってきたな。)

あんまり時間がなくなってきたな。

(ししょうはそうつぶやくとげんかんのほうへひきかえした。それからふろんとのあたりで)

師匠はそう呟くと玄関の方へ引き返した。それからフロントのあたりで

(ふきそうじをしていたひろこさんに「でんわかしてね」とこえをかける。)

拭き掃除をしていた広子さんに「電話貸してね」と声をかける。

(そしてたったふつかしかいないのに、すでにかってしったるたにんのいえ、)

そしてたった二日しかいないのに、すでに勝手知ったる他人の家、

(とばかりにふろんとのおくのじむしょにいりこんでいく。)

とばかりにフロントの奥の事務所に入り込んでいく。

(むねぽけっとからてちょうをとりだして、それをみながらだいあるをする。)

胸ポケットから手帳を取り出して、それを見ながらダイアルをする。

(「あ、きょうじゅ?わたしだけど、きのうたのんだの、わかった?え?」)

「あ、教授?わたしだけど、昨日頼んだの、分かった?え?」

(こえがとおかったのか、でんわきのおんりょうをあげながらししょうはつづける。)

声が遠かったのか、電話機の音量を上げながら師匠は続ける。

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