満月の雫は媚薬

(どこへいくんですか？)

･･･どこへ行くんですか？

(きみはとわのせつなよ)

君は永久（とわ）の刹那よ

(むねのいたみのこすなみだ)

胸の痛み残す涙

(まんげつのしずくはびやく)

満月の雫は　媚薬･･･

(はなのかげすりぬけたまよいちょうがひらりと)

花の影すり抜けた　迷い蝶がひらりと

(まいおりたきみのすあしつまさきははなびら)

舞い降りた君の素足　つま先は花びら

(とがびとににあわないうつくしすぎるよるよ)

咎人に似合わない　美しすぎる今宵（よる）よ

(これいじょうかかわってはいけないとだれにいう？)

これ以上関わってはいけないと　誰に言う？

(きみをこのままこのしっこくのころもで)

君をこのまま　この漆黒の衣で

(かくしてもかくせないまぶしさ)

隠しても隠せない　まぶしさ

(きみはかわいいひとですね)

君は可愛い人ですね

(ほしをかぞえながらいつかあわいうたたね)

星を数えながら　いつか淡いうたた寝

(そしてきみはいけないひとですね)

そして君はいけない人ですね

(ふいのどうこくひざにふれるあついなみだ)

不意の慟哭　膝にふれる熱い涙

(まんげつのしずくはびやく)

満月の雫は　媚薬

(あしおとをしのばせてかこがわたどのをゆく)

足音を忍ばせて　幻（かこ）が渡殿（わたどの）をゆく

(まゆひとつうごかさずにみおくればせいじゃく)

眉ひとつ動かさずに　見送れば静寂

(とがびとはいつのひかむくいうけるんでしょう)

咎人はいつの日か　報い受けるんでしょう

(はじめからきえるはずのきみをなくすことで)

初めから消えるはずの　君を失くすことで

(うつりぎというあじさいのはなことば)

うつり気という　紫陽花の花言葉

(うつろいてうつろえぬおもいよ)

移ろいて移ろえぬ　想いよ

(きみはやさしいひとですね)

君は優しい人ですね

(だれのくるしみさえしんにかんじきずつく)

誰の苦しみさえ　真に感じ傷つく

(そしてきみはいけないひとですね)

そして君はいけない人ですね

(ふいにめざめてなにもかもをしったひとみ)

不意に目覚めて　何もかもを知った瞳

(まんげつのしずくはびやく)

満月の雫は　媚薬

(きみはけだかきひとですね)

君は気高き人ですね

(いつもむかいかぜにかみをなびかせすすむ)

いつも向かい風に　髪をなびかせ進む

(そしてきみはいけないひとですね)

そして君はいけない人ですね

(ぼくにせつなくむねのいたみのこすなみだ)

僕に切なく　胸の痛み残す涙

(まんげつのしずくはびやく)

満月の雫は　媚薬