M.C.D -5-(完)

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 8257 8.3 98.9% 232.4 1940 21 42 2025/12/05
2 Haku 7638 7.8 97.0% 249.0 1962 60 42 2025/12/04
3 Jyo 6122 A++ 6.3 97.2% 307.9 1940 55 42 2025/12/04

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問題文

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(せすじにつめたいものがはしる。このじょうたいでぱにっくになればぶじではすまない。)

背筋に冷たいものが走る。この状態でパニックになれば無事では済まない。

(ししょうのふくのせなかのあたりをつかんで、はさまれたひとのかべからひきぬこうとする。)

師匠の服の背中のあたりを掴んで、挟まれた人の壁から引き抜こうとする。

(はやくにげないときけんだ。あせってゆびさきからぬのじがぬける。またつかもうとする。)

早く逃げないと危険だ。焦って指先から布地が抜ける。また掴もうとする。

(そのときだ。)

その時だ。

(どらむせっとにすわっていたおとこがきゅうにたちあがり、すてーじからとびおりた。)

ドラムセットに座っていた男が急に立ち上がり、ステージから飛び降りた。

(すごいぎょうそうで、さいぜんれつにいたかんきゃくにむかってなにごとかさけぶ。)

凄い形相で、最前列にいた観客に向かってなにごとか叫ぶ。

(そのけんまくにたじろいでそのしゅうへんのひとかべがわれた。)

その剣幕にたじろいでその周辺の人壁が割れた。

(どらむのおとこはてっさくをこえ、そこへとびこんでいった。)

ドラムの男は鉄柵を超え、そこへ飛び込んでいった。

(そしてひとびとのむれをかきわけながらななめにすすみ、かべぎわにたどりついた。)

そして人々の群れを掻き分けながら斜めに進み、壁際にたどり着いた。

(ぼくからみて、みぎてまえかただ。)

僕から見て、右手前方だ。

(そのかべぎわにはりつくように、ひとりのだんせいのすがたがあった。)

その壁際に張り付くように、一人の男性の姿があった。

(そのよこがおにはみおぼえがあった。)

その横顔には見覚えがあった。

(にきょくめのぼうとう、あのいわかんをかんじたときのかお。ひとりだけすてーじではなく)

二曲目の冒頭、あの違和感を感じた時の顔。一人だけステージではなく

(きゃくせきのほうをむいていたあのあおじろいかおだ。)

客席の方を向いていたあの蒼白い顔だ。

(そのかおがいっしゅん、おびえたようにゆがむ。)

その顔が一瞬、怯えたように歪む。

(しかしつぎのしゅんかん、そのかおがあったばしょにくろいとっぷうのようなものが)

しかし次の瞬間、その顔があった場所に黒い突風のようなものが

(たたきつけられた。はかいてきなおとがして、てんじょうのしょうめいがゆれた。)

叩きつけられた。破壊的な音がして、天井の照明が揺れた。

(どらむのおとこがなぐったのだ。あおじろいかおを。いや、なぐったのはかべだ。)

ドラムの男が殴ったのだ。蒼白い顔を。いや、殴ったのは壁だ。

(かおはきえている。)

顔は消えている。

(きえた?)

消えた?

など

(かべぎわにいたにんげんがひとり、きえてしまった。)

壁際にいた人間が一人、消えてしまった。

(いや、にんげんではなかったのか。)

いや、人間ではなかったのか。

(たちつくすぼくのめのまえで、ひとのむれがぎゃくりゅうをはじめた。われさきにと)

立ち尽くす僕の目の前で、人の群れが逆流を始めた。われ先にと

(みんなでぐちへむかってにげていく。そのなかでもみくちゃにされながら、)

みんな出口へ向かって逃げて行く。その中でもみくちゃにされながら、

(ぼくはなんとかそのばにとどまろうとする。)

僕はなんとかその場に留まろうとする。

(なにがおこったのか。それがしりたくて。)

なにが起こったのか。それが知りたくて。

(あらしのようなじかんがすぎ、きがつくとぼくのめのまえにはししょうのせなかがあった。)

嵐のような時間が過ぎ、気がつくと僕の目の前には師匠の背中があった。

(もうひとのかべはない。)

もう人の壁はない。

(ししょうはゆっくりと、ぜんぽうのかべぎわにすすむ。)

師匠はゆっくりと、前方の壁際に進む。

(「なつお」)

「夏雄」

(そうよびかけながら。)

そう呼びかけながら。

(どらむのおとこは、じぶんのみぎこぶしをみつめている。こぶしのさきからひじのあたりまで)

ドラムの男は、自分の右拳を見つめている。拳の先から肘の辺りまで

(ちがしたたっている。かべにはそのはかいのこんせきとしておおきなあながのこされている。)

血が滴っている。壁にはその破壊の痕跡として大きな穴が残されている。

(すさまじいこうけいだった。)

凄まじい光景だった。

(おとこはこぶしからめをはなし、ししょうをみてにやりとわらう。みあげるようなちょうしんだ。)

男は拳から目を離し、師匠を見てにやりと笑う。見上げるような長身だ。

(しゃついちまいみにつけていないじょうはんしんにはきたえぬかれたきんにくがはりついて、)

シャツ一枚身に着けていない上半身には鍛え抜かれた筋肉が張り付いて、

(じょうきのようなあせがたちのぼっている。)

蒸気のような汗が立ち上っている。

(そいつがししょうにちけっとをわたしたおとこだ。)

そいつが師匠にチケットを渡した男だ。

(それがわかった。)

それが分かった。

(しんぞうがつめたくたかぶる。どうしようもなく。)

心臓が冷たく高ぶる。どうしようもなく。

(こいつに、かたなくてはならない。)

こいつに、勝たなくてはならない。

(ぼくにはそれがわかったのだった。)

僕にはそれが分かったのだった。

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