未 本編 -47-

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師匠シリーズ
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7953 8.1 98.0% 379.1 3075 60 64 2025/11/29
2 Jyo 5979 A+ 6.1 97.1% 499.7 3079 91 64 2025/11/29

関連タイピング

問題文

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(かんすけさんもやってきた。おそいゆうしょくはあまりじゅんびができていなかったので、)

勘介さんもやってきた。遅い夕食はあまり準備ができていなかったので、

(しょにちのきのうほどごうせいとはいかなかったが、そのあとでさけをのみはじめたぼくらに、)

初日の昨日ほど豪勢とはいかなかったが、その後で酒を飲み始めた僕らに、

(なんどもてのこんださけのさかなをつくってきてはだまっておいていった。)

何度も手の込んだ酒の肴を作ってきては黙って置いていった。

(ぶきようなかれなりのかんしゃと、あるいはおわびのきもちなのだろう。)

不器用な彼なりの感謝と、あるいはお詫びの気持ちなのだろう。

(かえではすがたをみせなかった。うつむいたままおおひろまからにげるようにでていったきりだ。)

楓は姿を見せなかった。俯いたまま大広間から逃げるように出て行ったきりだ。

(かのじょがおったこころのきずはそうぞうするにむずかしくない。それもいつかはじかんが)

彼女が負った心の傷は想像するに難しくない。それもいつかは時間が

(いやしてくれるのだろうか。ただ、あのむくなしょうじょがしあわせになってほしいと、)

癒してくれるのだろうか。ただ、あの無垢な少女が幸せになって欲しいと、

(それだけをぼくはねがった。)

それだけを僕は願った。

(いちばんさいごにひろこさんがぼくらのへやにやってきた。)

一番最後に広子さんが僕らの部屋にやって来た。

(ばつのわるそうなかおをしてもじもじしている。)

バツの悪そうな顔をしてモジモジしている。

(「かずおのおんなぐせ、しってたんだろ」)

「和雄の女癖、知ってたんだろ」

(ししょうにそういわれて、すくわれたようなかおをした。)

師匠にそう言われて、救われたような顔をした。

(「あんなまちなかのきっさてんで、やましいかんけいのおんなとあってるなんて、)

「あんな街なかの喫茶店で、やましい関係の女とあってるなんて、

(わきがあますぎだっての。おぼっちゃんだね。)

脇が甘すぎだっての。お坊ちゃんだね。

(どうせしってるひとにはばればれだったんだろ」)

どうせ知ってる人にはバレバレだったんだろ」

(どうやらかずおのおんなぐせのわるさはひそかにゆうめいだったらしい。すくなくとも)

どうやら和雄の女癖の悪さは密かに有名だったらしい。少なくとも

(ひろこさんのようなじょうほうつうのじょせいたちには。ひろこさんもかえでに)

広子さんのような情報通の女性たちには。広子さんも楓に

(そのことをつたえようかまよっていたようだ。)

そのことを伝えようか迷っていたようだ。

(だけど、かずおもいつかはかえでのよさにきづいて、こころをいれかえて)

だけど、和雄もいつかは楓の良さに気づいて、心を入れ替えて

(しんけんにつきあうようになるかもしれない。そうおもうと、わかいそのめを)

真剣に付き合うようになるかも知れない。そう思うと、若いその芽を

など

(つんでしまうのにきがひけてしまっていたのだそうだ。)

摘んでしまうのに気が引けてしまっていたのだそうだ。

(「でもまさか、それがこんなそうどうになるなんてね」)

「でもまさか、それがこんな騒動になるなんてね」

(ひろこさんは、こころなしかしゅんとしょげながらも、)

広子さんは、心なしかしゅんとショゲながらも、

(さいごはかおのぱーつをちゅうおうによせてにっこりわらってみせた。)

最後は顔のパーツを中央に寄せてニッコリ笑って見せた。

(「ぜったいまたこてね」)

「絶対また来てね」

(そうしててをふってへやをでていった。)

そうして手を振って部屋を出て行った。

(こんないなか、ぜったいでていってやる、といっていたそのくちでそういうのだ。)

こんな田舎、絶対出て行ってやる、と言っていたその口でそう言うのだ。

(あんがいここのくらしがすきなのかもしれない。)

案外ここの暮らしが好きなのかも知れない。

(そしてこんかいも、ぼくはほとんどなんのやくにもたたなかった。)

そして今回も、僕はほとんどなんの役にも立たなかった。

(じょしゅとは、もっとじけんにとびこんでいってほころびがみえてくるまで)

助手とは、もっと事件に飛び込んでいって綻びが見えてくるまで

(かきまわすやくめではないのか。なにからなにまでししょうがやってしまっている。)

かき回す役目ではないのか。なにからなにまで師匠がやってしまっている。

(こうしんじょのなけなしのばいとだいではとまれないようなやどにふたばんもしゅくはくして、)

興信所のなけなしのバイト代では泊まれないような宿に二晩も宿泊して、

(なかばかんこうばかりしていたきがする。もうしわけないきもちだ。)

なかば観光ばかりしていた気がする。申し訳ない気持ちだ。

(ましてこんなくりすますなんかに、ししょうとふたりでなんて。)

ましてこんなクリスマスなんかに、師匠と二人でなんて。

(はっとした。そうだ。きょうはにじゅうごにちだった。わすれかけていた。)

ハッとした。そうだ。今日は二十五日だった。忘れかけていた。

(そうおもってみると、まどのそとにふるゆきにも、じんぐるべるのひびきが)

そう思って見ると、窓の外に降る雪にも、ジングルベルの響きが

(きこえてくるようなかぜじょうがあるではないか。)

聞こえてくるような風情があるではないか。

(「ほわいとくりすますですね」)

「ホワイトクリスマスですね」

(ぼそっとそういったが、ししょうはおちょこをかたてにほんのりあかいかおをして)

ぼそっとそう言ったが、師匠はお猪口を片手にほんのり赤い顔をして

(かーてんをあけはなしたまどのそとをみながら、ふん、とはなでわらった。)

カーテンを開け放した窓の外を見ながら、ふん、と鼻で笑った。

(「くりすますってのは、にじゅうよっかのにちぼつからはじまってにじゅうごにちの)

「クリスマスってのは、二十四日の日没から始まって二十五日の

(にちぼつでおわるんだ。いわなかったか?」)

日没で終わるんだ。言わなかったか?」

(そうだっただろうか。じゃあいまはもうくりすますという)

そうだっただろうか。じゃあ今はもうクリスマスという

(とくべつなじかんではないということか。)

特別な時間ではないということか。

(なんだかたえなふごうをかんじた。こんやのくれむっつで、うつしよとかくりよのきょうかいを)

なんだか妙な符号を感じた。今夜の暮れ六つで、現世と幽世の境界を

(こえたように、ちょうどそのおなじころ、くりすますとそうでないじかんとの)

超えたように、ちょうどその同じころ、クリスマスとそうでない時間との

(はざまをこえていたのか。)

狭間を超えていたのか。

(ふしぎなきもちだった。)

不思議な気持ちだった。

(「そういえばあのとき、かなへびだっていってましたよね」)

「そういえばあの時、カナヘビだって言ってましたよね」

(おかみのこどものころのたいけんだんをきいたあとのことだ。あれはあしがあるかないかの)

女将の子どものころの体験談を聞いた後のことだ。あれは足が歩かないかの

(ちがいだけで、へびはべつのいきものになるということをいいたかったのだろう。)

違いだけで、蛇は別の生き物になるということを言いたかったのだろう。

(「いったっけなあ」)

「言ったっけなあ」

(ししょうはとろんとしためでまどのそとにめをやっている。)

師匠はとろんとした目で窓の外に目をやっている。

(よいもまわり、きぶんがよさそうだった。)

酔いも回り、気分がよさそうだった。

(「いいましたよ」)

「言いましたよ」

(ぼくもじぶんのことばなどにたいしたしゅうちゃくもなく、ただぼんやりとそうかえして)

僕も自分の言葉などに大した執着もなく、ただぼんやりとそう返して

(まどのそとをみつめていた。)

窓の外を見つめていた。

(しずかだった。いなかのよるだ。とかいではこうはいかないだろう。)

静かだった。田舎の夜だ。都会ではこうはいかないだろう。

(ただおともなくまどいちめんにふかいやみのなかにあわいゆきだけがまっている。)

ただ音もなく窓一面に深い闇の中に淡い雪だけが舞っている。

(しんしんと。)

しんしんと。

(しんしんと。)

しんしんと。

(とおく、ちかく。ただまどをむいたかおだけがつめたい。)

遠く、近く。ただ窓を向いた顔だけが冷たい。

(ぼくらはまどべのてーぶるにすわり、そのなまえのないよるのふうけいを)

僕らは窓辺のテーブルに座り、その名前のない夜の風景を

(いつまでもながめつづけていた。)

いつまでも眺め続けていた。

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