M.C.D -4-

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プレイ回数75順位2617位  難易度(4.6) 2810打 長文 長文モードのみ
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 8115 8.2 98.6% 336.9 2772 38 63 2025/12/05
2 Haku 7304 7.5 96.2% 369.5 2807 108 63 2025/12/04
3 Jyo 5745 A 5.9 96.6% 466.1 2773 95 63 2025/12/04

関連タイピング

問題文

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(すてーじのまえはすでにもっしゅじょうたいだ。かんきのひめいなのか、)

ステージの前はすでにモッシュ状態だ。歓喜の悲鳴なのか、

(おされててっさくにはさまれていたくてあげているひめいなのかわからないが、)

押されて鉄柵に挟まれて痛くて上げている悲鳴なのか分からないが、

(おとこもおんなもりょうてをふりみだしてわめいている。)

男も女も両手を振り乱して喚いている。

(「え?」)

「え?」

(その、おしあいとびはねまわっているれんちゅうのあいだに、)

その、押し合い飛び跳ね回っている連中のあいだに、

(ぼくはふといわかんのあるものをみた。)

僕はふと違和感のあるものを見た。

(かおだ。)

顔だ。

(かおがみえた。)

顔が見えた。

(ねっきょうのはざまに、はりついたこおりのようなもの。)

熱狂の狭間に、張り付いた氷のようなもの。

(はげしくうごいているひとびとのせなかとせなかのあいだに、ほんのいっしゅんこちらを)

激しく動いている人々の背中と背中の間に、ほんの一瞬こちらを

(むいているかおをみたのだ。それはさいぜんれつふきんにいるのに、すてーじに)

向いている顔を見たのだ。それは最前列付近にいるのに、ステージに

(せをむけるかっこうでかおをこちらにむけていた。)

背を向ける格好で顔をこちらに向けていた。

(あおじろく、そしてとてもつめたいめをしているようなきがした。)

蒼白く、そしてとても冷たい目をしているような気がした。

(となりのししょうのひじをつつく。)

隣の師匠の肘をつつく。

(なんだかいやなかんじがした。)

なんだか嫌な感じがした。

(「わかってる」)

「分かってる」

(ししょうはみじかくそういうとびーるをのみほしてかみかっぷをにぎりつぶした。)

師匠は短くそう言うとビールを飲み干して紙カップを握りつぶした。

(そしてちゅうちょなくまえへいこうとする。)

そして躊躇なく前へ行こうとする。

(しかしぜんぽうにはひとのかべができており、そこへからだをねじこんでいくのは)

しかし前方には人の壁が出来ており、そこへ身体をねじ込んでいくのは

(しなんのわざだ。ぼくもあとにつづいたが、ひじうちのあらしのなかでもみくちゃにされ、)

至難の業だ。僕も後に続いたが、肘打ちの嵐の中でもみくちゃにされ、

など

(ちっともすすめない。)

ちっとも進めない。

(わりこみをどなられ、ししょうがまけじとどなりかえす。)

割り込みを怒鳴られ、師匠が負けじと怒鳴り返す。

(あしをなんどもふまれた。つまさきがいたい。おやゆびのつめがわれたかもしれない。)

足を何度も踏まれた。爪先が痛い。親指の爪が割れたかも知れない。

(しゅんかん、ぞくりとした。みみになにかいわかんのあるものがはいってきた。)

瞬間、ぞくりとした。耳になにか違和感のあるものが入ってきた。

(うただ。)

歌だ。

(にきょくめもえいごのうただったが、ぼーかるのすきとおったこえにかぶるように)

二曲目も英語の歌だったが、ボーカルの透き通った声に被るように

(べつのうたがきこえた。)

別の歌が聴こえた。

(しゅういのかんきゃくもきょくにあわせてうたっているが、そんなこえとはまったくちがう。)

周囲の観客も曲に合わせて歌っているが、そんな声とは全く違う。

(ほーるのすぴーかーをとおしたこえだ。ぼーかるのうたとおなじちへいの。)

ホールのスピーカーを通した声だ。ボーカルの歌と同じ地平の。

(なにしょうせつかあとで、またきこえた。あきらかにいまのぼーかるとはべつのこえだ。)

何小節か後で、また聴こえた。明らかに今のボーカルとは別の声だ。

(それにすこしおくれるかたちで、ざわっというおどろきのようなしょうどうがぜんぽうから)

それに少し遅れる形で、ざわっという驚きのような衝動が前方から

(じゅんにながれてくる。)

順に流れてくる。

(こんせん?)

混戦?

(いや、ちがう。ちがうとおもう。あまりにせんめいなおとだからだ。)

いや、違う。違うと思う。あまりに鮮明な音だからだ。

(だーく・・・・・)

ダーク・・・・・

(ざわめきのなかにそんなひめいがきこえる。のけぞってみみをふさいでいるひともいた。)

ざわめきの中にそんな悲鳴が聞こえる。のけぞって耳を塞いでいる人もいた。

(だーく。)

ダーク。

(すぐとなりのひとがうめいた。)

すぐ隣の人が呻いた。

(なんだ、いったい。)

なんだ、いったい。

(ぼくはししょうのほうをみた。しゅういのたてのりがこおりついたようにとまり、)

僕は師匠の方を見た。周囲のタテ乗りが凍りついたように止まり、

(そのひとのかべにからだをはんぶんはさまれたままみうごきできなくなっているようだ。)

その人の壁に身体を半分挟まれたまま身動き出来なくなっているようだ。

(すてーじのほうにめをやると、ぼーかるがきょとんとしたかおをして)

ステージの方に目をやると、ボーカルがきょとんとした顔をして

(まいくをくちからはなした。そのしゅんかん、ぞわっとするようなえたいのしれないこえが)

マイクを口から離した。その瞬間、ゾワっとするような得体の知れない声が

(ほーるじゅうにひびいた。)

ホール中に響いた。

(にほんごだった。こんどはおとがわれ、ないようはよくききとれなかった。)

日本語だった。今度は音が割れ、内容はよく聞き取れなかった。

(きょうこうが。)

恐慌が。

(おころうとしていた。それだけはわかる。)

起ころうとしていた。それだけは分かる。

(きょうふにはらのそこがひえた。あたりいちめんからひめいがあがる。わけのわからないまま)

恐怖に腹の底が冷えた。辺り一面から悲鳴が上がる。訳の分からないまま

(とっさにそのばをひこうとする。)

とっさにその場を引こうとする。

(おなじようになにがおこっているのかわからないらしいじょせいが、)

同じようになにが起こっているのか分からないらしい女性が、

(となりのつれらしいおとこのそでをひいている。そのおとこはりょうてをつきだしてわめいた。)

隣の連れらしい男の袖を引いている。その男は両手を突き出して喚いた。

(そのおとこやほかのしゅういのにんげんのひめいをかいどくすると、そのないようはこうだ。)

その男や他の周囲の人間の悲鳴を解読すると、その内容はこうだ。

(れべるだーくのぼーかるのこえがきこえる。すうかげつまえにでいすいしてじてんしゃをうんてんし、)

レベルダークのボーカルの声が聞こえる。数ヶ月前に泥酔して自転車を運転し、

(じこをおこしてしんだはずのおとこのこえが・・・・・・)

事故を起こして死んだはずの男の声が・・・・・・

(れべるだーくというばんどはらいぶはうすのかつてのじょうれんで、)

レベルダークというバンドはライブハウスのかつての常連で、

(m.c.dともなんどかたいばんをしていたらしい。だが、たしかにそのぼーかるはしに、)

M.C.Dとも何度か対バンをしていたらしい。

(だが、たしかにそのぼーかるはしに、とっくにかいさんしてしまっているというのだ。)

だが、確かにそのボーカルは死に、とっくに解散してしまっていると言うのだ。

(いつのまにかきょくはとまっている。すてーじのうえのめんばーたちは)

いつの間にか曲は止まっている。ステージの上のメンバーたちは

(とまどったようにじぶんたちのまわりをみまわしている。)

戸惑ったように自分たちの周りを見回している。

(またきこえた。)

また聴こえた。

(まいくはおどろいたぼーかるのてからゆかにおちている。なのにうたがきこえる。)

マイクは驚いたボーカルの手から床に落ちている。なのに歌が聴こえる。

(ひめいがれんさしていく。)

悲鳴が連鎖していく。

(まずい。)

まずい。

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